ヴィヴィアン・タム : Vivienne Tam

ヴィヴィアン・タム : Vivienne Tam

ヴィヴィアン・タム : 概要

ヴィヴィアン・タム Vivienne Tam (谭玉燕)は、ニューヨーク・コレクションに参加する中国人女性のファッション・デザイナー(衣服設計師)。1983年に自身で設立したEast Wind Code, Ltd.のCEOとチーフ・デザイナーをも務めます。主な顧客に、ジュリア・ロバーツ、マドンナ(Madonna)、ヘザー・グラハム、サラ・ジェシカ・パーカー、ビヨンセら。

作風

斬新でトレードマークにもなっている「東西融合」(East-meets-West)の姿勢に貫かれた衣服設計は国際的に評価が高い。他方で、CHINA CHIC(中国風)も主題の一つにし、作品には必ず「Made in Hong Kong」か「Made in China」と記され、広告キャンペーンでは必ずアジアの女性を起用することで有名です。ヴィヴィアン・タムのEast-meets-Westはとても広い視野を持っています。1949年10月1日の朝、毛沢東は中華人民共和国建国の演説で、「我々中国人は我々独自の慣習を持っている」として人民服(中山装、Mao suit)を着ました。これは1912年の中華民国建国時の孫中山(孫文)のスーツを土台にしたものです。そして、中山装は当時の日本の学生服をもとに設計され、日本の学生服は当時のドイツの大学生服から借用したものでした(Vivienne Tam, China Chic, Harper Design, Reprint, 2006, p.99)。

ヴィヴィアン・タム 『中国風』。Vivienne Tam, "china chic"
ヴィヴィアン・タム 『中国風』。Vivienne Tam, “china chic”

彼女の制作した衣服はメトロポリタン美術館、アルバート美術館、エフ・アイ・ティー美術館、アンディ・ウォーホル・ミュージアム等のコレクションに展示されています。彼女は、ニューヨーク市に暮らし、ファッションを基本にした国際的なビジネスで成功を続けています。

経歴

ヴィヴィアン・タムは中国・広東省生まれ。3歳の時、香港に移住。子供の頃、母親が家族の服をつくっているところをみて感銘を受けました。8歳の時、旧暦の正月に自分の兄弟姉妹のためにデザインをして服やドレスを作成しました。香港理工学院ファッション・デザイン科を卒業後、地元のデザイナーや「メイド・イン・ホンコン」(香港製)ファッションの評価が芳しくないことに気づき、香港貿易振興協会(the Hong Kong Trade Development council)での就業をきっかけに、1981年に渡米しました。北京製のビニール・バッグには、彼女自身による20点ほどの中国風デザインが忍んでいたといわれています。

ヴィヴィアン・タム 2007年春コレクション。07 Spring Collection (c) Vivienne Tam
ヴィヴィアン・タム 2007年春コレクション。07 Spring Collection (c) Vivienne Tam

ニューヨークでは、百貨店や特設店での展示会に努力を惜しまず、1983年、若いデザイナーたちが集まったコレクションで、ヘンリ・ベンデル(HENRI BENDEL)社のバイヤーたちに影響を与えました。同社は名声の高い57番街のウィンドウ・ディスプレイを提供しています。90年に自らの名前を冠したブランドを設立し、1993年秋からニューヨークコレクションに参加する。ニューズウィーク、ピーポー、ヴォーグ、コスモポリタン、エル、タウン・アンド・カントリー、マリ・クレール、ハーパース・バザー、インスタイル、各誌で特集記事が組まれました。94年、ヴィヴィアン・タムは初めてニューヨーク・コレクションに参加し、翌95年には春夏コレクションで毛沢東プリントを発表。97年には仏陀コレクション(Buddha collection)を発表し、ペリー・エリス賞を獲得。作品の数々は上記美術館などに陳列されることとなりました。

Vivienne Tam, "china chic"
Vivienne Tam, “china chic”

China Chic

2000年、中華圏における服飾史の知識を集大成させたヴィヴィアン・タムの著書『China Chic』が出版されました。撮影は、ウォン・カーウァイ(王家衛)映画の協力者で有名なウィン・シャ。写真が豊富で、タム自身のコレクション情報という代物ではなく、彼女や出版社が集め回った昔の絵画写真や映画の一場面など、時代時代の服飾史がテーマ別に語られています。李小龍(Bruce Lee)がいて、毛沢東主席がいて、仏像があり、香港という街があり、人が歩いています。明や清の時代の建築が出てきたと思えば、室内の家具や調度品が写しだされ、戦前上海の旗袍を着た映画女優や広告ポスターがあったと思えば、戦後の新中国下の衣装や1960年代香港の衣装が写しだされます。本書はインタビューワーを除けば、すべてタム自身の文章とお気に入り写真。本書は、長衫(Cheungsam)に始まり、明と清の時代の衣装を押さえ、最後に長衫に戻りながら東西融合という服飾感で締めくくっている点が上手く仕上がっています。いたずらに古代や現代を引っ張り出す失敗を犯していません。同書は、2005年にリプリント版も出ています。

広告

あなたはこの記事のどこに興味をもたれましたか? 読まれて何か発見がありましたか?