モード史を学ぶマストブック10冊

モノクロームとカラフルを着わける:岩下志麻

岩下志麻さんのホステス・ウェア。ラメ入りセーター、綾絹の長い巻きスカート、 シフォンのサッシュ・ベルトの組み合わせです。 写真批評
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このページでは、岩下志麻の写真を6点紹介しています。

これらの写真は「婦人画報」1975年1月号に掲載されました。「私のワードローブ」と題して著名人の所持衣装を紹介するコーナーで、「モノクロームとカラフルを着わける」と題して、志麻ちゃんの衣装が6点、出てきます。

撮影・吉田大朋、ヘア・宮崎定夫。

特集リード文

私のワードローブ・岩下志麻 : いつも”衣裳”と呼ばれる服装を身につけることの多い女優さんは、ブライベートには、どんなお好みかしら?と、今月は特に忙しい岩下志麻さんのワードローブを拝見しました。

「婦人画報」1975年1月号、100頁。

特集リード文批評

衣裳は衣と裳からなるツーピースの服装です。

衣は上衣、裳は下裳といって、語源となる中国語では古代からジャケットとスカートの組み合わせを言ってきました。したがって衣裳は誤用で衣装とすべきところ。

白いコート

岩下志麻さんの白いコート。ダブルジョーゼットのコートは、切り替えで体にそわせた優雅なシルエット。

白いコート(岩下志麻)「婦人画報」1975年1月号、100頁

リード文

ダブルジョーゼットのコートは、切り替えで体にそわせた優雅なシルエット。きつねの毛皮は、取りはずしのきく仕立てです。白い帽子と、黒のバッグとブーツできめた着こなしです。

「婦人画報」1975年1月号、101頁

リード文批評

帽子が志麻ちゃんの容姿を駄目にしています。続く2作品のように、もう少しおでこを出させないと映えません。

白色帽子をもう少し暗い色(濃い茶色や紺色など)にして、ブーツに合わせるという手があった気がします。ブーツも濃い茶色や紺色などに変えて。

波模様のセーターとカーディガン

岩下志麻さんの波模様のセーターとカーディガン。黒のパンタロンにあわせた白黒のアンサンプルです。

波模様のセーターとカーディガン(岩下志麻)/「婦人画報」1975年1月号、101頁。

リード文

軽くて暖かいニットウェアは、日常着として欠かせない条件を備えているので、岩下さんも数多くお持ちですが、特にお気に入りはこの白黒のアンサンプルです。黒のパンタロンとシックな組み合わせ。森英恵さんの最も好む白黒のデザインの、最高の着手のひとりは岩下さんといえるでしょう。

「婦人画報」1975年1月号、101頁

リード文批評

ニット(セーター)、カーディガン、パンタロンのいずれかは森英恵がデザインしたものです。

市松模様のジャケット

岩下志麻さんの市松模様のジャケットです。腰をすっぽり覆う長めの丈です。

市松模様のジャケット(岩下志麻)「婦人画報」1975年1月号、102頁

リード文

こまかい市松模様のジャケットは腰をすっぽり覆う長めの丈です。ベージュとマロンの二色のロングマフラーを、実用とアクセントに。

「婦人画報」1975年1月号、102頁

カラフルなプルオーバー

岩下志麻さんのカラフルなプルオーバーに白のシャツとパンタロン。

「婦人画報」1975年1月号、103頁

リード文

家にいる日は「なるべくたのしい色を着ることにしています」というお話。バット・スリーブ(蝙蝠袖)の広い袖つけは動きに楽なデザイン。白のシャツとパンタロンの上にカラフルなニットがひときわ効果的です。「森先生の服はとても着やすいの」という言葉から、十五、六年もの長いおつき合いから生まれた信頼感がうかがえました。

「婦人画報」1975年1月号、103頁

リード文批評

シャツ、パンタロン、ニット(セーター)のいずれかは森英恵がデザインしたもの。

バット・スリーブはドルマン・スリーブに近いものでしょう。

ラウンジ・ウェア

岩下志麻さんの赤い蝶の飛びかうウールジャージー地のシャツとロングスカート。

「婦人画報」1975年1月号、104頁

リード文

一見ロングドレスのように見えますが、赤い蝶の飛びかうウールジャージーで仕立てたシャツとロングスカートは家庭でのくつろぎ着になさっているそうです。

「婦人画報」1975年1月号、104頁

リード文批評

シャツもスカートも柄が同じなので、確かに一見、ワンピースのロングドレスに見えました。

ウエスト辺りを良く見たら皺の具合が上下で別になっていることが分かります。

シャツはフィット気味。それでもニット地なので、ゆったり感があります。

ホステス・ウェア

岩下志麻さんのホステス・ウェア。ラメ入りセーター、綾絹の長い巻きスカート、 シフォンのサッシュ・ベルトの組み合わせです。

「婦人画報」1975年1月号、105頁

リード文

ご主人篠田正浩監督のお客さまを迎える夜の装いとして、ラメ入りセーターと綾絹の長い巻きスカートは、同じ浮世絵をプリントしたシフォンのサッシュ・ベルトを軽く締めて。

「婦人画報」1975年1月号、105頁

リード文批評

当時はラメ入りがとても流行っていました。

主人の客を迎えるという節が少し引っ掛かります。志麻ちゃん自身の知人たちを迎える時はホステス・ウェアではなかったのでしょうか。

まとめ

特集リード文

華やかな岩下さんのそれぞれの装いは、決してぜいたくでなく、用途に応じたシックさと派手さを巧みになじませた、賢いワードローブづくりでした。

「婦人画報」1975年1月号、105頁

特集リード文批評

衣装を褒めたりコメントしたりする1970年代の定形文は、贅沢でなくシックで派手さが混ざっているというもの。

だいたいこれらの形容詞があちこちの雑誌でワンパターンに並べられています。1940年代前半の贅沢は敵だというキャッチコピーが今なお根強く残っていることが分かります。

今回みてきたリード文でも、シックさと派手さが混ざっている点に高い評価を与えていますが、贅沢、シック、派手などの形容の判断根拠は必ずしも明示されていません。

むしろ、志麻ちゃんのワードローブの面白さは大胆な柄。最後2点のルームウェアは、布を贅沢に使ったゆとりのある質感で、見とれました。

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