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マギー・チャン : Maggie Cheung 張曼玉

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マギー・チャン : Maggie Cheung 張曼玉

マギー・チャン Maggie Cheung は1964年9月20日に香港で生まれた映画女優です。8歳の時に家族とともに英国ロンドンへ移住しました。中学校卒業後に香港に戻り、モデル業をはじめて雑誌やコマーシャルに出演しました。

マギー・チャン
マギー・チャン

Maggie Cheung, CineMart (Hong Kong Movie News) No.259, 1991, Aug.

1983年に彼女はミス香港コンテストに参加し準優勝を飾ります。これを機に香港のテレビや映画に出演するようになります。

その後、無垢な少女から艶やかな女性まで、いろんな輝度を出せる女優として成長していきました。出演映画は100本近くを数え、受賞した賞も数え切れません。女優ではウォン・カーウァイ作品最多出演を誇る常連になりました。

モデル : マギー・チャン(張曼玉)、撮影 : パオロ・ロベルシ『ヴォーグ』中国版、2006年10月号
モデル : マギー・チャン(張曼玉)、撮影 : パオロ・ロベルシ『ヴォーグ』中国版、2006年10月号

モデル : マギー・チャン(張曼玉)、撮影 : パオロ・ロベルシ『ヴォーグ』中国版、2006年10月号(Maggie Cheung, Photo by Paolo Roversi, Vogue, 2006.10)

経歴

テレビではドラマの脇役やバラエティー番組などにたくさん出ました。後にバリー・ウォン監督の「青蛙王子」(1984年)で映画界へ進出しました。

デビュー作品での演技が好評だったので、同年にテイラー・ウォン監督「君が好きだから」に起用され、レスリー・チャンと共演しました。この頃のマギー・チャンは広東語をマスターしていなかったので、作品でもぎこちない会話をよくして、少女っぽさを演出しているように感じます。

ジャッキー・チェン映画への出演

知名度が大きくアップするのは、ジャッキー・チェン監督との共演です。1985年に同監督の「ポリス・ストーリー : 香港国際警察」のマドンナ役に起用されから、ジャッキー・チェン映画の看板娘となります。80年代には他にラブ・コメディーに多く主演しました。

ウォン・カーウァイ映画への出演

アイドル路線から抜け出したいと考えていたマギー・チャンは、80年代後半、香港ニューウェーブ第2世代の旗手といわれたウォン・カーウァイ(王家衛)から幸運にオファーを受け、同監督「いますぐ抱きしめたい」(88年)に出演しました。か弱く内気な女性を見事に演じ、その高い演技力が再評価されました。

ウォン・カーウァイ監督「いますぐ抱きしめたい」
ウォン・カーウァイ監督「いますぐ抱きしめたい」

ウォン・カーウァイ監督「いますぐ抱きしめたい」。Wong Kar-Wai, “AS TEARS GO BY”, (c) 1998 East Asia Films Distribution Limited and eSun.com Limited All Rights Rserved.

これを機に本格派女優として再出発することになり、この1年間で12本の映画に出演しました。翌年(1989年)になっても勢いは留まらず、年間数本の出演をこなしていきます。映画祭での受賞もどんどん増えていきます。「仔猫のように抱きしめて」(89年)では香港電影金像奨・主演女優賞、「フルムーン・イン・ニューヨーク」(90年)では台湾金馬奨・主演女優賞を獲得しました。

国際派女優から休業へ

1990年代になると、香港映画という枠組みから離れ国際派の女優となっていきます。きっかけは「欲望の翼」(90年)、「客途秋恨」(90年)などです。

ウォン・カーウァイ監督「欲望の翼」
ウォン・カーウァイ監督「欲望の翼」

ウォン・カーウァイ監督「欲望の翼」。Wong Kar-Wai, “DAYS OF BEING WILD”, (c) 1990 East Asia Films Distribution Limited and eSun.com Limited All Rights Rserved.

「ロアン・リンユィ」(阮玲玉、91年)では、ベルリン国際映画祭・主演女優賞を受賞し(中国人女優初)、インターナショナルな方向を決定づけました。彼女が各特した賞は、5度の香港電影金像奨・女優賞をはじめ、数多くあります。

スタンリー・クワン監督「ロアン・リンユィ 阮玲玉」
スタンリー・クワン監督「ロアン・リンユィ 阮玲玉」

スタンリー・クワン監督「ロアン・リンユィ 阮玲玉」 (c) STAR TV Filmed Entertainment. All Rights Rserved.

国際派路線を歩みながらも、他方では「ドラゴン・イン」など香港や中国の武侠映画にも多く出演したのが、この1990年代です。しかし、彼女が尊敬するウォン・カーウァイの「楽園の瑕」(94年)で、監督の本気度に打たれたマギー・チャンは今後から仕事を選ぼうと考えます。そして、この撮影が終わると同時に約2年の休業を決断しました。

復帰後の活躍

復帰後は「宋家の三姉妹」「ラヴソング」、オリヴィエ・アサイヤス監督の「イルマ・ヴェップ」(以上1996年)、「中国匣」(チャイニーズ・ボックス)(97年)と、それまでのインターナショナル路線の地場を固めていきます。98年にアサイヤス監督と結婚しますが、後に離婚。

世紀が変わると、既婚の熟女として旗袍(チャイナドレス)を20枚近くも着た「花様年華」(2000年)や、刺客の飛雪として赤の絹をふんだんに舞わせた「英雄」(HERO)(02年)に出演し、艶やかなベテラン女優として話題を呼びました。

ウォン・カーウァイ監督『花様年華』
ウォン・カーウァイ監督『花様年華』

ウォン・カーウァイ監督『花様年華』 (c) 2000 by Block 2 Pictures Inc.

オリヴィエ・アサイヤス監督の「クリーン」(04年)では、カンヌ国際映画祭・最優秀女優賞を受賞。ちなみに、96年に公開されたマギー・チャン主演の「ラヴソング」は、香港電影金像奨のグランプリ以下、史上初の9部門受賞を果たしています。

ウォン・カーウァイ作品について

マギー・チャンがアイドルから脱皮し、女優として仕事をしてきた過程は、ウォン・カーウァイの出演作品を辿ることで確認できます。女優への第一歩といわれる『いますぐ抱きしめたい』では白のマスクをして登場したのがインパクトを持っていましたが、可愛くあどけない彼女を見ることはできるものの、世間でいわれるほどは演技力はありません。

ウォン・カーウァイ監督「いますぐ抱きしめたい」
ウォン・カーウァイ監督「いますぐ抱きしめたい」

ウォン・カーウァイ監督「いますぐ抱きしめたい」。Wong Kar-Wai, “AS TEARS GO BY”, (c) 1998 East Asia Films Distribution Limited and eSun.com Limited All Rights Rserved.

『欲望の翼』でもキャストたちに支えられて初めて存在感を出すことができましたが、この出演で女優への決意を感じさせたようです。『欲望の翼』で共演したレスリー・チャンは、この作品では細かいシーンが重要になると考え、アレゴリー的に展開される「足音」を上手く引き出そうと撮影現場で歩く練習を繰り返したそうです。マギー・チャンは彼の手法に感動し密かにその方法を盗んだと、彼への追悼で述べています。

ウォン・カーウァイ監督「欲望の翼」
ウォン・カーウァイ監督「欲望の翼」

ウォン・カーウァイ監督「欲望の翼」。Wong Kar-Wai, “DAYS OF BEING WILD”, (c) 1990 East Asia Films Distribution Limited and eSun.com Limited All Rights Rserved.

1994年の『楽園の瑕』では、既に女優としての演技を会得していることが窺い知れます。アイドルから女優への転換に悩んだ彼女は、撮影期間が尋常ならぬ長期に及んだこの作品を通じてウォン・カーウァイの情熱に触れ、出演作品へのこだわりをもつようになりました。

その後、2000年の「花様年華」、2005年の「2046」に出演しました。これらについては当サイトで色々と記事を書いていますので、そちらをご覧ください。

花様年華 : 映画の概要・特徴・旗袍
花様年華 in the mood for love は中国・香港の映画監督王家衛(ウォン・カーウァイ)の作品で、2000年に公開されました。主演女優と助演女優は、合わせて20着を超える旗袍を着たことで話題を呼びました。除幕をはじめ、濃厚な赤色はこの映画の一つの主題です。途中で主演女優が赤のコートを着ていました。主演俳優と逢瀬を続ける密会場所へは赤のカーテンが並んだ廊下を歩きました。原作は、短編を得意とする香港の小説家劉以鬯( Liu Yichang)の『對倒』。
マギー・チャンの旗袍 : 「花様年華」にみる香港の回顧的身体
マギー・チャンの旗袍 : Maggie Cheung - Taking Chinese Modernity to the West はマギー・チャンの女優経歴を述べたコラムです。以下ではこのコラムの『花様年華』に関する部分を訳し、『花様年華』の再現について私見も交えました。
2046 : 作品解説、舞台裏、旗袍
2046 2046 は2004年に公開されたウォン・カーウァイ(王家衛)監督の映画で、一部は前作「花様年華」を引き継いでいます。原作は、短編を得意とする香港の小説家ラウ・イーチョン(劉以鬯, Liu Yichang)の『酒徒』。美術・衣装担当はウィリアム・チャン(張叔平)、カメラ撮影はクリストファー・ドイル(Christopher Doyle)、クヮン・プン・レオン(Kwan Pun Leung)、ライ・イゥファン(Lai Yiu-fai)。

関連リンク