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お客さまを迎えるドレス ルリ・落合:婦人画報 1975年1月号

「婦人画報」1975年1月号 : 正月歳時記 特集。表紙撮影 江田耕一、ヘア 加藤千代、衣装 鈴乃屋。 写真批評
「婦人画報」1975年1月号 : 正月歳時記 特集。表紙撮影 江田耕一、ヘア 加藤千代、衣装 鈴乃屋。
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デザイン ルリ・落合、撮影 立木義浩、ヘア 近江昌子、協力 コルドニエ品田、松屋、シコインテリア。

ウールのロングスカート

リード文

家庭着のロングスカートは、あまり長めのより、いくぶん足首がのぞく程度の丈、そして細っそりしすぎると働きにくいもの、逆に分量が多すぎても動作のじゃまになります。体型と材質に合わせて、着やすい裾幅と丈をきめるようにしましょう。

リード文批評

動きやすさを起点にして、細すぎる場合と布の分量が多い場合の2点に分けて説明しているので、制作や着用の目安にしやすい丁寧な説明です。男性デザイナーに比べて女性デザイナーの方が女性に沿った発想や叙述になっていて、読みやすいし想像しやすいです。

黒と格子

お客さまを迎えるドレス ルリ・落合 : 「婦人画報」1975年1月号、110頁。

お客さまを迎えるドレス ルリ・落合 : 「婦人画報」1975年1月号、110頁。

リード文

黒と格子 : 黒のブラウスは光沢の美しいシール・ジャージー。5万円。ウールのスカートは8万5千円。この小格子は何色ともよく合います。

葡萄酒色と緑

お客さまを迎えるドレス ルリ・落合 : 「婦人画報」1975年1月号、111頁。

お客さまを迎えるドレス ルリ・落合 : 「婦人画報」1975年1月号、111頁。

リード文

葡萄酒色と緑 : 広い衿あきのトリコットのブラウ。3万円。裾にタックして、少し後ろさがりをつけたギャバジンのスカートは8万5千円。

ベージュと格子 : 男もののワイシャツに玉レースをつけたブラウスは手作りできるでしょう。色を合わせた小格子のスカートは8万5千円。

ビロードのロングスカート

リード文

この冬はビロードばやり。古風な雰囲気がとても家庭的なきれ地です。

黄色と緑、赤とプリント

お客さまを迎えるドレス ルリ・落合 : 「婦人画報」1975年1月号、112頁。

お客さまを迎えるドレス ルリ・落合 : 「婦人画報」1975年1月号、112頁。

リード文

黄色と緑 : Vゾーンの模様編みセーターは2万2千円。裾の切り替えにギャザーをしたモスグリーンのスカートは7万円。

赤とプリント : シャツは男ものに玉ぶちレース。小花のビロードに綿レースをつけたスカートは7万5千円。

全体の批評

全体の批評です。冒頭に「製作や着用の目安にしやすい丁寧な説明」と記したとおり、制作も視野に入れたリード文になっていることを確認できました。

ルリ・落合(落合ルリ)のコーナーだけ、値段が文章の述部になることがあります。最後のリード文「綿レースをつけたスカートは7万5千円」のようなものです。ふつうファッション雑誌では「綿レースをつけたスカート。7万5千円。」となって、日本語として崩壊しているのですが、落合の文章はその点で正直かつ的確な印象をもちました。

とくに「黒と格子」のリード文を見直してみて下さい。黒のブラウスの生地の説明。その後に値段のみ。ここまではよくあるパターンですが、続く「ウールのスカート」の述部に値段を持ってきています。また、その後に「この小格子は何色ともよく合います。」と説明。値段の後に説明文が来るのも珍しいことです。値段も裁縫も生地も色合いも柔軟に行き来している点で躍動感を感じます。

その上で、生地の色や柄を小見出しにしているのも独特です(ふつうのパターンも確認できますが)。生地を小見出しにすることで、裁縫作業の工夫を本文として展開できます。ふつう、本文を展開できない場合に生地の情報を混ぜてお茶を濁すことが多いのですが、落合の文章はその点でも構成的で分かりやすいです。裁縫の技術や工夫に自信があるから、生地を小見出しにもっていけるのでしょう。

下衣に花柄や格子柄のように派手な生地を使ったら、上衣には派手な色でも柄は無地にして装飾は控えめというバランスが絶妙に思います。上衣も下衣も自己主張をしていて強調出来ているのが落合の凄い所です。先月からしばしば落合の作品を目にしてきて、配色の天才とはエミリオ・プッチよりも落合ルリのように思えてきました。それと、ボタン・スカートやビロード・スカート、贅沢な開放感があって良いですね。

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