新しいファッション史

モードの世紀は、人類のファッション史をまとめ直し、躍動感ある歴史を描きます。
主にフランス、イギリス、イタリア、アメリカ、中国、台湾、日本に注目します。

これまでのファッション史は西洋か日本か、意味不明の二項対立に固執しました。
和洋。何て厚かましい言葉でしょう。

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レースの晴れ着 ルリ・落合 : 婦人画報1971年1月号

婦人画報1971年1月号、表紙・岩下志麻。カメラ・篠山紀信、ヘアと着つけ・名和好子、きもの・ますいわ屋。 モード写真集
婦人画報1971年1月号、表紙・岩下志麻。カメラ・篠山紀信、ヘアと着つけ・名和好子、きもの・ますいわ屋。
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レースの晴れ着 ルリ・落合 : 婦人画報1971年1月号

このページでは「婦人画報」1971年1月号、38~41頁に掲載されたルリ・落合(落合ルリ)のデザイン作品4点を紹介しています。この4点は「Toyobo Collection」として編まれたものです。カメラは高橋克郎、ヘア協力は近江美容室、撮影協力は山の上ホテル、生地提供は東洋紡、野村KKです。

この特集ページの文章は39頁と41頁の2頁に記されています。デザインを担当した落合ルリが書いていると想像します。「お客さまを迎えるドレス ルリ・落合 : 「婦人画報」1975年1月号」に書いたように落合は同時期の他のデザイナーにもまして丁寧に説明してくれるので、今回も期待が高まると同時に、かなり肯定的に読みこんでいきたいと思います。

リード文

エレガンスな美しさが身上のレースは、お正月の晴れ着にこそふさわしいマテリアルといえるでしょう。(前掲書、39頁)

リード文批評

リード文で生地や素材をマテリアルと記す点は当時としては珍しいかも。冒頭も印象的で、カタカナを外来語、その他を日本語と大別すると、冒頭の「エレガンスな美しさが身上のレース」は外来語・日本語・日本語・外来語という組み合わせになります。これも珍しい配置。後述のリード文や他のデザイナーたちの文章に見られるように、普通は「カタカナのカタカナ」という文章が多いです。

木の葉模様のミディドレス

「婦人画報」1971年1月号、38頁。

「婦人画報」1971年1月号、38頁。

リード文

▲木の葉模様のミディドレス : 淡い色を重ねて、刺しゅうをした夜の服にこそぴったりです。繊細なプリントレースは、暖房のよくきいた室内なら、冬も袖なしのドレスで充分。共布の長いスカーフは、ときにはヘアバンドにしたり、サッシュベルトにウエストを締めるのもよく、自由に、変化のあるおしゃれをたのしみたいものです。(前掲書、39頁)

リード文批評

木の葉模様のミディドレスの説明は軽快です。ドレスとスカーフを大別し、それぞれ主部と述部をはっきりと分けています。その上、スカーフの使い道について、映えバンドやサッシュベルトのように使えばという2つの明確な提案をしています。換言すると《私知ってるよ!》という上から目線になっていません。

虹色のミディドレス

「婦人画報」1971年1月号、39頁。

「婦人画報」1971年1月号、39頁。

リード文

▲虹色のミディドレス : 長袖のシャツスタイルを、ローウエストに切りかえ、高く2色のビロードのベルトを締めました。生地はプリントレース。ポリエステル地にレーヨン糸の刺しゅうです。生地提供 東洋紡 野村KK。(前掲書、39頁)

リード文批評

虹色のミディドレスの説明で優れているのは「生地はプリントレース。ポリエステル地にレーヨン糸の刺しゅう」の箇所。どういう点で優れているかというと「生地」「ポリエステル地」と明記している点です。こうすることで服地の種類が分かりやすくなります。

普通、服の説明では「生地」や「地」を省略することが多く不親切な文章が多いです。たとえば同誌47頁には「サテンのシャツブラウス」とあります。サテンが生地の一種だと分からない場合、この文章は読み進めにくくなります。「サテン地」とすればサテンの意味が分からない場合でも、生地のことだとは分かるでしょう。

《生地はプリントレース。ポリエステル地にレーヨン糸の刺しゅう》は、

  • プリントされたレース生地の繊維はポリエステルであること
  • そのレース生地にレーヨン糸を使って刺繍を施していること

の2点を説明しています。このデザイナーの文章は「生地」「地」を丁寧に使っているので、やや上方が多めになって逆に少し分かりにくいです。ただ、地を飛ばす文章よりははるかにマシ。

昼間の外出着

リード文

昼間の外出着なら肌の透けないレースを選んでください。これは二つとも同じデリシャスレースの色ちがい。テトロン地に綿糸の刺しゅうです。(前掲書、41頁)

リード文批評

ここでも「テトロン地」と生地名を明記している点が親切です。テトロンとはポリエステル系繊維の一種(詳しくは「テトロン : Tetoron」)。下の2点ともテトロン地に綿糸で刺繍を施しているとのことですが、青色部分や白色(または桃色)部分が刺繍だとしたら大変な作業に思えます。反復柄なのでミシン刺繍でしょうか…。

紺と白のレースのミディスーツ

「婦人画報」1971年1月号、40頁。

「婦人画報」1971年1月号、40頁。

リード文

▲紺と白のレースのミディスーツ : ダブルの短いジャケットに、少し裾ひろがりのスカートの組み合わせ(前掲書、41頁)

リード文批評

衿元が大きい半面で首元が寂しいところを紺色のネッカチーフでバランスを取っています。紺色水玉にもまして大きな4つのボタンが可愛く、Aラインのスカートともに脚が長く見えるように工夫しています。レース時の割にしっかりした生地だという印象です。

赤と白のレースのミディスーツ

「婦人画報」1971年1月号、41頁。

「婦人画報」1971年1月号、41頁。

リード文

▲赤と白のレースのミディスーツ : ペプラムのあるクラシックスタイルの長いジャケットに、ミディスカートのスーツてす。ニつともビロードをアクセントにした、お正月の訪問などにコート下の服として、ミスもミセスにもおすすめしたい気取らない装い。

ヘア/近江美容室、協カ/山の上ホテル ☆レースの晴れ着を抽選の上、各1点さしあげます。詳細は220ページをごらんください。(前掲書、41頁)

リード文批評

この作品は一つ前の紺白の作品と生地柄が似ています。紺白の作品でネッカチーフに使った「締め物」をこちらの作品ではウエストに持ってきています。そして桃色よりも強い赤色の帯がコートとともに桃白のコンビを補強しているように思います。

紺白の作品に比べて、打合いが真ん中に来ているように見えます。ジャケットの裾が広がってスカートの広がりと連動しています。個人的にはジャケットを短めに、裾前方の丸みはストンと垂直に下ろすと、コンパクトに閉まってシャープにかっこいいと思いました。でも、おそらく、スカートの広がりにジャケット裾の丸みを結びつけることで可愛さを表しているのでしょう。

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