新しいファッション史

モードの世紀は、人類のファッション史をまとめ直し、躍動感ある歴史を描きます。
主にフランス、イギリス、イタリア、アメリカ、中国、台湾、日本に注目します。

これまでのファッション史は西洋か日本か、意味不明の二項対立に固執しました。
和洋。何て厚かましい言葉でしょう。

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旗袍の本 : おすすめの図書と入手可能先

从长袍马褂到西装革履 王东霞编著 書籍評論
从长袍马褂到西装革履 王东霞编著

旗袍の本

旗袍の本 : 私の著書『ミシンと衣服の経済史』で用いた本を中心に旗袍の図書を紹介します。特にお勧めの3冊には英訳も付しています。入手可能先は主にAmazon.comです。旗袍の歴史や形態はこちらをご参照ください。

日本語

旗袍に関する研究の内、日本語文献では謝黎『チャイナドレスをまとう女性たち―旗袍にみる中国の近・現代―』(サイト内記事へ)、同『チャイナドレスの文化史』があります。日本では旗袍どころか中国服飾史に関する研究自体が少ないので、著者はほぼ唯一の研究者です。

ただし、文化史的な側面が強く経済史や技術史の裏付けが少なく、女性の着る旗袍よりも旗袍を着た女性に主眼を置いています。その分、旗袍の時期的な違いや段階的な変化には説得力がありません。その意味で入門書としては良いかと…。

この著者の集めたチャイナドレスが長崎歴史博物館で展示されたました。その図録(カタログ)が時期別にまとめられています。アマゾンでは発売されていませんが「謝黎コレクション チャイナドレスと上海モダン展」や「アンティーク旗袍写真集」から問い合わせることをオススメします。

また、2017年に関西学院大学博物館で開催された広岡今日子コレクション「装いの上海モダン展」の図録もコンパクトにまとめられていてオススメです。ただし、博物館で売り切れているので入手は難しいです。

王東霞編 : 従長袍馬褂到西装革履

从长袍马褂到西装革履 王东霞编著

从长袍马褂到西装革履 王东霞编著

王東霞編『従長袍馬褂到西装革履』四川,四川人民出版社,2003年 (to amazon.com)

この本は旗袍をはじめ中国の長袍(長衣)の歴史を清朝期から現代まで採り上げています。政治史を背景に衣服史を述べています。衣服や着用者の写真が多く当時の雰囲気がわかりやすく説明も詳しいのでお勧めします。

呉昊 : 都會雲裳

都會雲裳 呉昊 旗袍の本

都會雲裳 呉昊

呉昊『都會雲裳―細說中國婦女服飾與身體革命(1911-1935)―』香港、三聯書店,2006、ISBN:9620423933

この本は所蔵本で最も面白い本です。政治史と衣服史を結び付けるスタンスは『从长袍马褂到西装革履』と同じですが、こちらは中華民国の服制案で出された図案を紹介したり、当時の様々な広告を掲載するなど、写真以外の資料も豊富で、わくわくして読むことができます。また、『チャイナドレ スをまとう女性たち』に比べ、文化史の理論枠(作られた伝統論)に振り回されずに旗袍の再編を論じていることから、時期的な変遷がさらに明確になっています。

白雲 : 中国老旗袍

旗袍の本 中国老旗袍 白云 旗袍の図書

中国老旗袍 白云

白雲『中国老旗袍―老照片老広告見証旗袍的演変―』北京,光明日報出版社,2006年、ISBN:9787802061866

これは『都會風裳』の大型図鑑版という感じのもので、とにかく資料の多さと大きさが半端なく、家に置いておきたい一冊です。図版は多く300ほど、説明も豊富にあります。民国期女子学生服への旗袍の影響、明星(映画スター)や令嬢・貴婦人たちの旗袍、上海モダン・ガールたちの流行旗袍、その他、いろいろと資料が楽しめます。解説は丁寧で、おおむね時間の順に叙述が進みます。時代背景、旗袍の形態説明、そして資料説明もちゃんとあります。なお、辛亥革命前後の叙述よりも、1930年代・40年代頃の資料と叙述が多くなっています。本書の副題が、古い写真や広告からたどる旗袍の変遷ですし、後代の方が写真・広告が増えるためです。

趙琛 : 中國近代廣告文化

中国近代広告文化 趙琛 中國近代廣告文化 大計文化事業 有限公司 台湾 2002年 9868035503

趙琛編著『中國近代廣告文化』大計文化事業有限公司、台湾、2002年。

趙琛編著『中國近代廣告文化』大計文化事業有限公司、台湾、2002年。ISBN: 9868035503

この本は知人の方から頂きました。謝謝。

本書は書名通り、中国近代の様々な広告を集めた文化史です。20世紀初頭のまだ清朝期の広告が比較的多く取り上げられているのが本書の特徴。

著者は遼寧大学副教授、出版が台湾。こういうネットワークの強さは中華圏ならでは。

著者が友人と一緒に北京のレストランでたまたま発見したというPirate(老刀牌)。この煙草ブランドの箱に関するエピソードから始まる何ともほのぼのした図録です。といっても文化史的に広告デザイナー、広告形式の発明、広告からみた中西融合、女性解放運動などのテーマに分けて叙述と分析が行なわれています。が、絵図が多いのでそっちに目が行きます。

大量の広告の中でやっぱり一番多く収められたのは煙草。当時は想像を絶するほどの人々が煙草を吸っていたのかと想像します(単に非喫煙者の著者が煙草を中心に集めたのかも知れませんが)。煙草の箱に描かれたイラストは様々ですが、旗袍を着た女性も結構多いです。

中西融合については細かく丁寧に分析されています。絵画技法、字体、商標図案、描画形式、民族性と世界性の5点から。

冷芸 : 裁縫的故事

裁缝的故事 冷芸

裁缝的故事 冷芸

冷芸『裁縫的故事―従小裁縫到大師―』上海,上海書店出版社,2005年 (to amazon.com)

これは西洋裁縫技術が導入された近代に絞った本です。裁縫師(テーラー)の作品紹介や店の紹介がエピソード風にたくさん盛り込まれています。旗袍だけでなく西洋風ドレスやスーツの紹介も多いです。

時影編 : 民国時尚

民国时尚 时影编

民国时尚 时影编

時影編『民国時尚』民国万象叢書3、北京、団結出版社、2005年、ISBN:9787801308009

これはひたすら写真資料が続きます。本文は少ないので、あまり旗袍の勉強にはなりませんが、20世紀前半上海の街やファッション界・映画界・芸能界の印象をつかむにはてっとり早く、当時の雰囲気をつかむにはもってこいです。

林劉編 : 上海時尚

上海時尚 林劉編

上海時尚 林劉編

林劉編『上海時尚―160年海派生活―』上海、上海文化出版社、2004年 (to amazon.com)

これは海派と呼ばれた上海文化をいろいろなテーマごとに述べたものです。

上海美人、建築・街並み、上海市の誕生史、映画、上海で活躍したスター、ファッ ション、風俗など、1843年の上海開港から160年間のトピックが詰まっています。旗袍は少し出てきますが、本の特徴から、旗袍を着た女性たちがイ ラストや写真に散見されるという感じです。

中国服装史全般

楼慧珍・呉永他編 : 中国伝統服飾文化

中国传统服饰文化 楼慧珍・吴永他编

中国传统服饰文化 楼慧珍・吴永他编

楼慧珍・呉永他編『中国伝統服飾文化』上海、東華大学出版社,2003年 (lou hui zhen, Traditional Chinese attire, Paperback, 1991) (to amazon.com)

この本は時代別の代表的な服装の変遷をイラストから説明したものです。ただし、近代の説明は10ページほどしかないので旗袍については不案内です(ポイントは押さえていますが)。

黄士龍 : 中国服飾史略

中国服饰史略 黄士龙

中国服饰史略 黄士龙

黄士龍『中国服飾史略』新版、上海、上海文化出版社、2007年 (to amazon.com)

これは中国服飾史の簡略版。古代から現代までじっくり説明しています。写真資料は少ないのですが、イラストがその分たくさん載せられているので、気楽に読み流すのにちょうど良いですね。

鴻宇 : 服飾

服飾 鴻宇

服飾 鴻宇

鴻宇『服飾』中国民俗文化叢書、香港、漢榮書局、2006年 (to amazon.com)

この本は古代から清代までの服飾をテーマごとに述べた本です。

服装の始まり、皇帝の服装、異形の服、飾物(アクセサリー)、髪型、化粧などに分かれ、カラー図版がたくさん載せられています。コンパクトなので気軽に読めます。

華梅 : 中国服飾

中国服飾 華梅

中国服飾 華梅

華梅『中国服飾』人文中国書系、北京、五洲伝播、2004年 (to amazon.com)

この本はおおむね古代から現代まで時間どおりに説き起こしていますが、どちらかといえばトピック別。中国女性の唇の変遷(リップの塗り方の変遷)や内衣・ 兜肚(下着やブラジャー)の変化など、たまにマニアックなまとめもあります。民族衣装や現代のファッションも取り上げている分、近代の旗袍はほとんど出てきません。

黄能馥・陈娟娟编着 : 中国服装史

黄能馥 陈娟娟 编着 中国服装史 中国旅游出版社 北京 1995年

黄能馥・陈娟娟编着『中国服装史』中国旅游出版社(北京)、1995年

黄能馥・陈娟娟编着『中国服装史』中国旅游出版社(北京)、1995年(to amazon.com

本書は中国書画函授大学服装教材として出版されたものです。衣服制度、衣服形態、衣服素材、ジュエリー・アクセサリーなどを取り上げて、原始社会から近代社会にいたる中国のドレス開発の進化を体系的に紹介しています。

写真・イラストは1,036点収められていて膨大です。考古学の成果と歴史的文書から立証された叙述に重点を置いて文章もかなり詰め込まれています。大きなカラー図録『中华服饰艺术源流(中国服飾芸術の起源)』の姉妹編です。姉妹とも手元に置きたい1冊。

黄能馥は中国服飾史の大家で「工芸美術論叢」「装飾」等の雑誌編集や染色関係の共著など多数の実績をもちます。前中華芸術工芸学院教授、刊行当時は中国書画函授大学副学長、同大学実践芸術部門主任、中国服飾芸術博物館顧問、北京実践芸術研究所名誉会長。陳娟娟は中華人民共和国国立文化遺物審査委員会、国立故宮博物館研究員。

英語の旗袍の図書

Claire Roberts, ed., Evolution and revolution: Chinese dress 1700s-1990s, Powerhouse Publishing, 1997.

Claire Roberts, ed., Evolution and revolution: Chinese dress 1700s-1990s, Powerhouse Publishing, 1997.

これは、中華民国期(民国期)の旗袍については少し分量を減らし、同時代の上海、香港、台湾などにも目を向けた中国ドレスの歴史です。香港と台湾を大きく取り扱っているので、あまり見かけない写真資料などを楽しめます。最近は英語圏でも旗袍などの中国衣装研究が進んでいますが似たり寄ったりですので、この本1冊でも持っておけば十分です。

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中国語や日本語でのファッション関係書籍

私の著書や当サイトであまり参照してはいませんが、いずれ本腰を入れて向き合いたい本が日本のAmazonでも比較的入手しやすくなってきました。これらの本を以下に列挙します。

図鑑かつ通史

これは図も豊富・文章も豊富なため最も入手し甲斐のあるものですが、何分高価なのがネックです。

  • 人民美術出版社『中国少数民族服飾』美乃美、1981年。
  • 沈従文編『中国古代の服飾研究』増補版、古田真一・栗城延江訳、京都書院、1995年。
  • 上海戯劇学院中国民族服飾編集委員会編『中国諸民族服飾図鑑』曾朋卿・徐耀庭訳、柏書房、1991年。
  • 崔栄栄『近代漢族民間服飾全集』中国軽工業出版社、2009年。
  • 井上耕一『身体装飾の現在〈3〉国境に分断されている山地民―中国・ベトナム・ラオス・タイ・ミャンマー』朝倉書店、2010年。

以上の文献はAmazon書店から確認してみて下さい。

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