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講義を終えるにあたって : お勧め書籍一覧

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講義を終えるにあたって : お勧め書籍一覧

講義を終えるにあたって : 大学で初めて担当した講義の終盤で学生たちに読んでほしい本を一気に紹介しました。

これらは2007年1月の時点でお勧めした本です。2018年になっても読んでほしい本かと言われると、アマゾンへリンクを貼った以外にはありません…。

講義を終えるにあたって : お勧め書籍一覧 / 勉強は数冊の本を往来すること。
講義を終えるにあたって : お勧め書籍一覧 / 勉強は数冊の本を往来すること。

勉強は数冊の本を往来すること。via 無料の写真: 書籍, 研究, 文学, 学ぶ, スタック, 聖書, 紙, 筆記用具 – Pixabayの無料画像 – 2158737

2018年1月現在でもお勧めできる本

  • 三田村蕗子『ブランドビジネス』平凡社、2004年 (to amazon.jp) : ライセンス・ブランドが日本の服飾文化の慣習や国内ブランドの育成をダメにしたという手厳しい日本ファッション界の戦後ビジネス論。格好の失敗例(と同時に一時的な大成功例ともいえる)がピエール・カルダン。かつては日本のトイレにまでロゴが溢れたカルダン社の栄光と失墜は有名な話だが、他にも、ディオール+カネボウ等々、日本のアパレルメーカーや百貨店がフランス頼み・トップブランド頼みの商売で大赤字を弾き出した経緯が実に詳しい。ブランド側への批判も手厳しい本書では、ヴィトンは既にトップ・ブランドではなく、カジュアル・ブランドと位置づけられている。大胆だが、素直な的を射た発想である。
  • 山田登世子『モードの帝国』筑摩書房、1992年 (to amazon.jp) : ファッションを通してみせたセクシュアリティ論、エロス論。筆者得意のフランス文学をはじめ、19世紀、20世紀の絵画、衣裳などにも言及し、さまざまな男女の性愛を「形式」によって検討した作品。筆者は、エロスについて、心の現象以前に身体の形式の現象だと強調している。
  • ウィリアム・A. ロッシ『エロチックな足 – 足と靴の文化誌』山内昶・山内彰・西川隆訳、筑摩書房、1999年 (to amazon.jp) : 単に歩くための重要な身体器官として考えられてきた足と、それを保護する物と考えられがちな靴について、両者の接触によってエロチックな意味合いが十二分に含まれるという観点を大きく取り上げた本。靴と足の関係の常識を打ち破り、靴、そしてそれを履く文化を、セックス・アピールを高めるための性のシンボルという観点にもとづき、文化象徴論的な説明が丁寧になされており、性の問題にも躊躇なく踏み込んだ画期的な著書である。≥ 当サイトの「エロチックな足 – 足と靴の文化誌」への書評
  • 武田佐知子『衣服で読み直す日本史 – 男装と王権』朝日新聞社、1998年 (to amazon.jp) : 本書では、『リボンの騎士』や『ベルサイユのばら』などの少女向け漫画に異性装が多いことに問題関心をもち、近世までの日本列島における男装や女装が、中国やヨーロッパ諸国に比べて比較的許容されるものであり続けた要因や構造を描いている。例えば、歌舞伎だけに留まらず、『ヴェルサイユのばら』をはじめとする宝塚歌劇団の流行などが題材にとられている。
  • 田中千代『世界の民俗衣装 – 装い方の知恵をさぐる』平凡社、1985年 (to amazon.jp) : 著者自身が単独で世界各地を歩き回って集めた衣装を紹介。衣服は、人間が裁断や縫製をして、作り上げたものであり、着用とは衣服に身体が入ることだという基本的な発想にもとづいて、「まく(巻く)」・「あな(穴)」・「わ(輪・環)」・「はく(穿く)」という4種類の着用法ごとに着方・歴史・平面図などを掲載し、それぞれの代表的な民俗衣装を図版で紹介している(カラー図版、白黒図版ともに多数)。

そうではないもの

  • ベルナール・アルノー『ブランド帝国LVMHを創った男ベルナール・アルノー語る』日経BP社、2003年 : モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)社社長兼CEOであるベルナール・アルノーと、フランスの経済ジャーナリストのイヴ・メサロヴィッチの対談。ファッション業界では異例の企業買収ゆえに悪評も出ているが、ベルナール・アルノーの事業意欲は、博物館・美術館の修復事業、美術展・絵画展への協賛、絵画・音楽を勉強している学生への援助制度などにも及び、必ずしも投機熱にうなされた人物だとはいえない。
  • 柏木博『ファッションの20世紀-都市・消費・性』日本放送出版協会、1998年 : ファッションと、20世紀という時代(=近代)との2点にテーマを絞り、ファッションの持つ力学と多様な現象や構造を解き明かす。近代のファションは、それまでの複雑な暗黙の社会制度から解放され、20世紀への突入と同時に、市場経済システムに組み込まれた。以後、性差や職業的差異を超えた均質化を促進させた2度の世界大戦におけるファッション、あるいは、パリ、アメリカ、東京におけるファッションなど、20世紀のファッションの辿ってきた道には、いくつかの断層がある。
  • 小泉和子編『昭和のキモノ』河出書房新社、2006年 : 「昭和のくらし博物館」第6回企画展「昭和のキモノ展」(2004年開催)に際して作成された図録『昭和のキモノ展』をもとに書き上げた本。昭和という時代区分でキモノを考えるのは、昭和という時期が20世紀の大半を占めている点からして面白い。既に戦前には衰退の兆しを示していたキモノ(和服)は戦後に圧倒的な洋服のインパクトによって駆逐されていったが、辛うじてフォーマル・ウェア等で利用される事実は存在した。その点の変遷について、柄の流行や着用目的に着目して論じた広い視野の著書は少ないのでお薦めする。
  • 福井貞子『木綿口伝(第2版)』法政大学出版局、2000年 : 山陰地方の綿織物と機織り女性の生活に関する詳細な記録。木綿の継ぎ接ぎは、裂織りに再生され、着捨てのボロ布は、廃品回収業者の手に渡った。筆者は年々少なくなっていく縞や絣の断布を丹念に収集している。本書では、筆者の精力的な収集による、様々な綿布の柄を楽しむことができる。また、詳細な聞き書きをつうじて、本書では、女性の生活に焦点を当て、綿布が経てきた歴史を明らかにしている。
  • 福井貞子『野良着』法政大学出版局、2000年 : 倉吉絣の産地である鳥取県倉吉市を中心に、明治初期から昭和40年頃までの約1世紀にわたる野良着に関し、用途・年代・性別・形態・材料・重量・地域の呼称などを記録した精力的な本。
  • 山田登世子『晶子とシャネル』勁草書房、2006年 : 日本とフランスに前例のなかった女性のライフスタイルを作り出した女性、与謝野晶子とガブリエル・シャネルの2名に焦点を当て、詩とファッションだけでなく、恋や仕事を中心にした生き方にまで迫った力作。「はたらく女」という用語がキーワードの一つになっており、労働が女性解放に必要なものだったと山田は指摘している。男性に寄生する女性を晶子とシャネルは相手にしなかったのである。シャネルが恋多き女性だったということはよく知られているが、結婚ということに関しては相応の男性が存在しなかったという。20世紀初頭の二人の生き方は、1世紀近くを経た現在でも示唆的な事例となっている。
  • 田村均『ファッションの社会経済史-在来織物業の技術革新と流行市場』日本経済評論社、2004年 : 開港によって在来織物業が幕末・明治前期に展開した技術革新と、それを可能にした市場条件=ファッションに目覚めた庶民層の旺盛な服飾生活の実態を明らかにした力作。
  • 塚田朋子『ファッション・ブランドの起源-ポワレとシャネルとマーケティング』雄山閣、2005年 : これまで、経営史において服飾を扱った研究、特にブランド研究がほとんど皆無であった(見向きもされなかった)点は、この本の著者が強く指摘している。服飾史では服飾のデザイナーが評価されることが多いが、経営面で彼ら・彼女らが論じられることはほとんどなかった。その意味で、本書は、これまで断片的にしか知られてこなかったファッション・ブランドの経営戦略を大きく捉える手助けとなる。19世紀のウォルトの登場と社会的背景はもちろんのこと、彼の経営手腕にまで深く立ち入っており、後続のポワレ、シャネルへとブランド史の定番に即し、徹底してマーケティングにこだわった詳細な本となっている。
  • 小原博『マーケティング生成史論』増補版、税務経理協会、1991年 : 現代企業に不可欠なマーケティング活動や機能が、資本主義経済の展開のもとで、どのような企業経営的、社会経済的事情に基づいて成立したかを、シンガー・ミシン社の活動から検討している。
    松嵜久実『地域経済の形成と発展の原理-伊勢崎織物業史における資本原理と地域原理』シーエーピー出版、2001年 : 本書は、伊勢崎銘仙と呼ばれた絹織物業の歴史から、地域経済における資本の原理と地域の原理の関係を捉えようとした研究である。
    朝岡康二『ものと人間の文化史 – 古着』法政大学出版局、2003年 : リサイクル品として明治期以降も利用され続けてきた古着とその生活文化を丁寧に紹介している。白黒図版が多数あり、とても助かる。近代の洋服受容によって、和洋折衷風の服装が広まったが、本書では和服と洋服の形状の違いに注目し、麻→綿→化合繊という繊維の推移にも触れながら、衣文化を縦横無尽に説明している。
  • 謝黎『チャイナドレスをまとう女性たち-旗袍にみる中国の近・現代』青弓社、2004年
    : チャイナドレスの人気度に比べて、その歴史については、実態が知られていない。中国国内の繁華街を歩いてみても、旗袍を着た女性を見ることはできない。このことは、日本の着物が伝統着として位置づけられてきたにもかかわらず、20世紀後半には家庭内からも姿を消した状況と似ている。筆者がこだわるのは、チャイナドレスもまた、着物と同様に、洋服の流入とともに改めて「伝統」のレッテルを貼られた運命にある。
    長澤均『BIBA スウィンギン・ロンドン 1965-1974』ブルース・インターアクションズ、2006年 : 60年代イギリスが生んだストリート・ファッションの大御所ビバ(BIBA)を中心に、著者の長澤均らパピエ・コレのメンバーが1年間かけて総力を結集して編集したファッション文化史。60・70年代ロンドンのストリート・カルチャーを写真と文章で豊富に楽しめる。
  • 北山晴一『おしゃれの社会史』朝日新聞社、1991年 : ファッション、ブランド、モードの発祥地として考えられやすいフランスの首都パリについて、19世紀を中心に、衣服の消費社会が登場する経緯とシステムを分かりやすく書いた著書。19世紀、ないしは20世紀も最初の14年間におけるパリの威光を認めつつも、著者は、その要因を丁寧に3点、指摘している。①フランス革命とナポレオンが推進した中央集権的政治・社会制度 ②それに伴なうフランス人の中央志向的(パリ中心的)メンタリティの発達 ③上記のような政治的、社会的、心情的パリ中心主義を支える鉄道網(パリを放射線状に延びる)の発達。
  • 実川元子『ファッションデザイナー-ココ・シャネル』こんな生き方がしたいシリーズ、理論社、2000年 : 有名企業や商標・ロゴにおいて全て言えることだが、ブランドとしてのシャネルの知名度に比べ、創始者ガブリエル・シャネルについて知っている人は少ない。伝記である本書は、シャネルの伝記によくあるプライベートな恋愛を強調するよりも、むしろ、彼女自身がデザイナーとして成功する過程を追っている。筆者が強調するのは、20世紀初頭、19世紀の影響下にあった、男性から見た女性像というモードを女性から見た女性像、私から見た私像をシャネルが提出したことにある。