モード史を学ぶマストブック10冊

軽快なオムニバス映画「パリジェンヌ」:4話で描くパリ女性

エラ、アントニア、フランソワーズ、ソフィー。映画「パリジェンヌ」の主人公たち。 映画批評
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今日の夜中「パリジェンヌ」という映画を見ました。

この映画は4人の監督が約20分ずつ制作した4話からなる軽快なオムニバス映画です。初公開は1962年(1961年説あり)。

4話の区切りは映像ではわからず、主人公名ではっきりするのが斬新(オムニバスでは当然?)。第4話にカトリーヌ・ドヌーヴが出ます。

エラ、アントニア、フランソワーズ、ソフィー。映画「パリジェンヌ」の主人公たち。

エラ、アントニア、フランソワーズ、ソフィー。映画「パリジェンヌ」の主人公たち。 © Studiocanal – Incei

パリジェンヌの定義は?

作品ごとに違います。

パリジェンヌはフランス語で「les Parisiennes」、パリ女性と訳します。ですので既婚・未婚は問いません。この映画の主人公4人のうち、未婚女性は3人、既婚女性は1人です。

では一話ずつ、紹介、感想、パリジェンヌの定義をご紹介します。

四つのパリジェンヌ 第1話 : ジャック・ポワトルノー監督「エラ」

パリジェンヌは世界一貞淑

コメディー調の作品。

主演女優ダニー・サヴァルの務めるエラはダンサー。

映画女優を目指す彼女が、たまたま飲み屋で知り合った男性ユベールと一夜を過ごします。少し恋が始まっていますが、お互いに肉体関係はないまま、クリアな状態のまま朝を迎えます。その日の朝にエラは彼と一緒に女優採用の面接へ行きます。

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面接直前に鏡を見て髪の毛パサパサに気づくエラ。映画「パリジェンヌ」より。 © Studiocanal – Incei

面接を待つ間にエラはトイレへ。その間にユベールは控室へ。踊らされたり音楽ないのに歌わされたりして秘書が面接をします。その途中に彼が出現して採用通知。彼女の健気な性格やダンス歌などの能力に惹かれました。

そこでようやくエラは彼がハリウッドから来た大物プロデューサーだと知ります。ユベールは偽名で本名はパーカー。

パーカー=ユベールだと驚き、またパーカーがさっそく仕事に行こうと誘った場所がハリウッドだというので、エラはやたらと無邪気に喜びます。そのまま二人は秘書とともにパリから飛行機でハリウッドへ飛び立ち、2ヶ月後に結婚しました。

ユベールはパリジェンヌを次のようにまとめます。

決して浮気などしない可愛い妻

パリジェンヌは世界一貞淑だ

でもご注意を

彼女たちはとても気難しい

私の印象

冒頭場面が印象的。

慌ただしいパリの街へやってきてエラはタクシーを探します。ダンスの仕事が遅れそうだから。その慌てっぷりがコメディ丸出しなので閉口。わたしコメディが苦手で…。

ところが、彼女は忙しいなかで独り言を漏らしました。この台詞で私は最後まで見ようと思いました(といっても20分ほどなので黙って見ろという話ですが)。

パリは外国人ばっかり

1960年代初頭のパリは既に観光地化されていて外国人が多かったのだと分かりました。当時の航空機事情からして、今ほど空のグローバル化は進んでいないでしょうから、所得階層の高い連中ばかりとはいえパリにはあちこちから人間がやってきていたのです。

しかし、この台詞で腑に落ちないのが「じゃあ、戦前や戦中に外国人は少なかったのか?」という点です。

真っ先に思い出したのは第二次大戦中のドイツ軍によるパリ占領。1940年代前半のパリにはドイツ人がウジャウジャいたはずです。

次いで思い出すのが1920年代パリ。日本からも画家や作家たちが挙ってパリへ行きました。世界中のアーティストが集まっていたのは広く知られているとおり。

ですので1960年頃のパリに外国人が多いといわれると、どの程度だったのかを妄想。

パリジェンヌ 第一話 エラ。二人はハリウッドへ旅旅ました。映画「パリジェンヌ」より。

パリジェンヌ 第一話 エラ。二人はハリウッドへ旅旅ました。映画「パリジェンヌ」より。 © Studiocanal – Incei

最後に分かったのは、この作品のエラは私の妄想なんぞ関係なく、自分の目の前の光景がメトロポリタンだと言っただけの話。

過去からずっとメトロポリタンだという点は、エラにとっては、どうでもいい。彼女は素直で健気で単純な女の子だったんですね。そして、ちゃっかりハリウッドの金持ちプロデューサーと結婚して、そそくさとアメリカへわたりました。タフ。

というわけで私自身がとてつもなく薄汚れたオッサンに思えた作品でした。それでは薄汚れた既婚者たちの大人な話をみてみましょう。といっても実は軽快で、薄汚れた中にも強い意志ありです。

四つのパリジェンヌ 第2話 : ミシェル・ボワロン監督「アントニア」

世間は狭い

主演女優ダニー・ロバン演じるのは美容整形医の妻アントニア。

夫のピエールと一緒にゴルフへ出かけ練習。そこにアントニアの昔の恋人クリスチャンに出会います。3人でカフェに寄るも夫はイライラ。近い間にゴルフ・コンペがあり、夫も元恋人も参加する設定。

コンペ前日に会場近くで夫ピエールが大便をしている最中に、元恋人が男性友人とトイレへ入ってきます。夫が聞き耳を立てているとクリスチャンがアントニアの性行為は未熟だったと自慢げに。夫ピーエルはそれを妻アントニアに話したところ、彼女は激怒。DVDの解説に夫が激怒とありますが間違い。

元恋人が自分のエッチが下手くそで未熟だと言っていたことを、盗み聞きした夫から聞かされて激怒しはじめるアントニア。映画「パリジェンヌ」より。

元恋人が自分のエッチが下手くそで未熟だと言っていたことを、盗み聞きした夫から聞かされて激怒しはじめるアントニア。映画「パリジェンヌ」より。 © Studiocanal – Incei

世の中には小悪魔のようなパリジェンヌもいる

ここで面白い展開。

起こった妻はなんと翌朝にクリスチャンの所へ行って半ば無理やりにベッドイン。性行為が終わった後に、クリスチャンがメロメロになってアントニアに恋人関係に迫ります。

そこでアントニアは関係の維持を拒否。エッチをしたけど金輪際は関係を持たないといわれたギャップが腑に落ちないままゴルフ・コンペ当日を迎えます。

前日の俺のエッチは最高だっただろうと確認して、恋人関係に迫るクリスチャンと、軽くあしらうアントニア。彼は注意散漫でゴルフに集中できずコンペ優勝を逃しました。映画「パリジェンヌ」より。

前日の俺のエッチは最高だっただろうと確認して、恋人関係に迫るクリスチャンと、軽くあしらうアントニア。彼は注意散漫でゴルフに集中できずコンペ優勝を逃しました。映画「パリジェンヌ」より。 © Studiocanal – Incei

コンペで夫は大活躍。

美容整形の仕事の合間を縫って(マメにサボって)ショットの練習をしていた甲斐があったようです…。

クリスチャンも点数を迫りますが、昨日の腑に落ちない状況に疑問がありまくり。アントニアに関係を迫ったりギャップを質問したりとゴルフに集中できず。

結果は夫の優勝。妻が元恋人へ身体を張った逆襲が功を奏した訳です。映画は次のように結びます。

彼が優勝できたのはアントニアのおかげだ

彼は一生知るまい

でも世の中には

小悪魔のようなパリジェンヌもいる

クリスチャンにとってはベッドで愉しく過ごせて、アントニアも性行為に満足だと言いました。

しかし恋人関係を拒否されたので、彼は混乱。

他方でアントニアは混乱しなかったのは、小悪魔的な逆襲が最初からの目的だったからです。

目的達成!

私の印象

ドヌーヴよりもダニー・ロバンの方が可愛いぞと思った、ドヌーヴ裏切りのひと時でした。

ゴルフ場での衣装も可愛いですね。パイピングとヘアスタイルに脱帽。この女優、いずれ調べてみます。

四つのパリジェンヌ 第3話 : クロード・バルマ監督「フランソワーズ」

この作品の特徴は、ズタズタの四角関係が仲直りと恋人関係の維持へと、クリアにまとまる不思議なオチ。

主演女優はフランスワーズ・アルヌール。

出だしの場面が空港のエスカレーター。誰が迎えにくるかと思ったら友人女性ジャクリーヌ(演フランソワー ズ・ブリヨン)。

そこで展開の予測が少しリセットされました。この作品はここが上手と思いますが、他は最後を除いてイマイチ。

フランソワーズと、迎えに来た友人ジャクリーヌ。映画「パリジェンヌ」より。

フランソワーズと、迎えに来た友人ジャクリーヌ。映画「パリジェンヌ」より。 © Studiocanal – Incei

この場面、ジャクリーヌの着ている服はシャネル・スーツに似ています。ソフトな色合いとパイピング、両サイドにポケットの付いたミニ・ジャケット、膝丈でエイチ・ラインスカート

この映画のクレジットによると衣装デザイン(Costumes designes par)は「Tanine Autré」。あれこれ調べましたが、出てきません…。ラメ入りツイードの生地だったので、てっきりシャネルと思いました。

関連 シャネルのラメ入りツイード地のスーツ

この第3話のパリジェンヌははっきりと定義されていません。

最後のナレーションから判断してパリジェンヌとはあっさりしていて、くよくよしないというところでしょうか…。

ズタズタの三角関係か四角関係かが、一瞬であっさりと解決している点は脚本の上手さですね。

四つのパリジェンヌ 第4話 : マルク・アレグレ監督「ソフィー」

第4話についぞカトリーヌ・ドヌーヴが登場。

ですが、かなり眠たい状況で見ていて、第4話はあまり記憶がありません。

素朴で孤独なソフィー

素朴な女子学生をドヌーヴが上手に演じていました。

シングル・マザーの母親と一緒に暮らすも、孤独な女子を演じています。

お母さんには恋人がいます。娘のソフィーつまりドヌーヴは母の恋人を嫌がっています。その辺のバランスがさらりと書かれているので、ひょっとすると当時のパリでは見慣れた状況だったのかもしれません。

パーティでソフィーが母の恋人から話しかけられる場面。映画「パリジェンヌ」より。

パーティでソフィーが母の恋人から話しかけられる場面。映画「パリジェンヌ」より。 © Studiocanal – Incei

ソフィーが恋に落ちたギター少年も孤独な様子を上手く演じています。

結局のところギターを介した恋が芽生えて一件落着に思えますが、オチにはややもの悲しいものがありました。

学校内で多数派から弾かれがちなソフィーには内面で充実した時間を振り返っています。最後の場面で充実さが滲み出ていたドヌーブの笑顔が良かったです。

ソフィーの衣装

上の写真は第4話冒頭で、ソフィーが母親に付いていったパーティ会場の場面です。

トランスペアレントのシャツにベアトップのドレスを重ねているのかと思ったら逆でした。逆なら窮屈か。配色が見たいところです…。

DVDでは《ドヌーヴの初々しい下着姿も収録された》と大々的に宣伝されていますが、学校の更衣室で着替えている場面、しまも横縞のトップレス・ブラだけだった気がします。大人っぽいドヌーヴには似合いません。

面白かった場面

女子同級生たちに《大人の恋人がいる》とハッタリをかましたので、デート現場を押さえようと彼女たちがソフィーの後を付け回す場面。

ソフィーは一人の同級生の友人宅に転がり込みますが、この家は他の同級生たちに秘密の部屋と言っていた住所。この単純にバレやすい嘘が面白いです。

転がり込んだ同級生の部屋のドアに耳を澄ませる同級生たち。仕方なしに室内のソフィーと友人の二人は男女が密室で行なう行為を演じるために、声の演技をやりはじめます。

ついでにムードが高まるであろう頃合いをみて、ベッドの上で二人は跳ねまくり、ベッドを軋ませます。ドアの外は固唾を飲んでいるでしょうが、室内はかなり楽しそうです。

1960年代を描いたウォン・カーウァイ監督の「2046」や「若き仕立屋の恋」にもベッドの軋む場面と音が出ていたことを思い出しました。

ソフィーからみたパリジェンヌ

恋や思い出に満足していれば周囲はどうでも良いということになるかと…。

そう考えると冒頭でソフィーの母親ジャクリーヌ(演エリナ・ラブルデット/Elina Labourdette)がパーティで楽しそうに過ごしていたことと重なってきます。

パーティで楽しく過ごすソフィーの母親。映画「パリジェンヌ」より。

パーティで楽しく過ごすソフィーの母親。映画「パリジェンヌ」より。 © Studiocanal – Incei

おわりに

あれこれウダウダと解説や感想を入り混じって書いてきました。

カラー映画だったらもっと活き活きしたと思いますが、20分程度の話が4個のオムニバスは、かなり軽快で、それでいてしっかりオチを作っている分、4つのカラーがはっきり出ていました。

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