同志社大学 日本経済史2
同志社大学 日本経済史2 : この講義では繊維産業・アパレル産業およびファッション文化の観点から日本史を振り返ります。この講義は後期に行ないます。前期は「1」です。
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同志社大学
講義内容
繊維産業・アパレル産業、ファッション文化の観点から日本史を振り返ります。後期は幕末開港期から現代までを扱います。最近の日本経済は産業全体が停滞していると言われます。ファッションに関わる諸産業も同様ですが、おしゃれの基本であるファッション関連産業は私たちの生活から無縁にはなりません。この授業では生産面(繊維・アパレル産業)と消費面(ファッション文化)の歴史を振り返ることによって、今後の日本経済を見通す多様で幅広い視野を学びます。
学習上の注意点
【準備学習について】前回のプリントを見直します。
【到達目標について】社会人になる・なった上での自分の所属する組織や産業について、歴史的位置づけを踏まえ、近視眼的にならず鳥瞰的に理解できるようになりましょう。具体的には、アルバイトや就職後に何をどれだけ販売すれば良いのかという身近な戦略だけでなく、材料調達、製造、販売、消費に至る過程の流れをグローバルに理解し、自分に間接的に関わる仕事にまで想像力を持ちましょう。他方、消費者として楽しく視野の広い消費生活を送る判断力を身につけましょう。
【受講に際して】発想を柔軟にして下さい。視野を広めつつ関心を深める切っ掛けを見つけて下さい。関連する展覧会などに積極的に参加して下さい。歴史を学ぶのに大切なツールは地理です(年表よりも地図が大切です)。
テキスト
使用しません。
参考文献
- 岩本真一『ミシンと衣服の経済史』【オンデマンド版】思文閣出版、2017年(当サイトの紹介ページへ)
- 大丸弘・高橋晴子『大丸弘・高橋晴子『日本人のすがたと暮らし―明治・大正・昭和前期の「身装」―』三元社、2016年(当サイトの紹介ページへ)
- 高橋晴子『近代日本の身装文化―「身体と装い」の文化変容―』三元社、2005年(当サイトの紹介ページへ)

学生への要望
復習が大切です。授業内容で面白かった点を友人、ご家族、教職員などに話して、説明の限界を押えて下さい。歴史の勉強には年表よりも地図が大切です。色んな時代の色んな場所の地図に慣れて下さい。
オフィスアワー
講義終了後。
授業計画
- 講義概要、近代の洋服の普及と民族服の確立(1) : 近代になると欧米からの文化が押し寄せ、日本の文化・伝統が破壊されていったと言われます。果たして、そうなのでしょうか。和服が急速に衰退していったことは確かですが、衣服形態に変化が見られた。この点を概説する。
- 近代の洋服の普及と民族服の確立(2) : 日本の和服をはじめ、近代のさまざまな民族服は洋服との関係において変容・確立をしました。日本の着物、中国のチーパオ(旗袍)や朝鮮のチマ・チョゴリの実例から、その経緯を解説します。
- 近代におけるミシンの普及とその意義(1) : 18世紀イギリス産業革命によって糸と布(織物・編物)の大量生産が実現しましたが、衣服生産は手縫いのままでした。19世紀中期にアメリカで縫製機(ミシン)が実用化されて以降、世界の衣服生産の在り方は大きく変わりました。アメリカ・ドイツの動向を踏まえながら、日本の縫製工場におけるミシンの利用を概説します。
- 近代におけるミシンの普及とその意義(2) : アメリカ・ドイツからのミシン輸入によって、日本では縫製工場だけでなく、家にもミシンが普及しました。家に焦点を当てて、女性のミシン活用について家事労働と家内労働の両面から解説します。
- 近代の繊維産業の変貌 : 繊維産業は殖産興業政策に組み込まれ、20世紀初頭には輸出化を遂げましたが、その前後において繊維原料の変更を行ない、農業と工業を連動させた経済発展を放棄しました。この点を紡績業の発展と戦時経済の実情に絡めて解説します。
- 戦時・戦後のアパレル産業とファッション文化 : 戦前から戦後にかけて、洋服の普及と既製服の普及は戦時期および1970年代アパレル産業の破竹の勢いに結実します。ファッション文化もまた、裁縫教育の普及とともに活発になりました。フランスへの憧れに触れながら、この展開を観察します。
- 現代のアパレル産業とファッション文化 : 1990年代以降、アパレル産業は中国への工場移転を行なうとともに、グローバル企業が登場しました。また、製造販売される衣服はコスト削減による軽量化が図られています。現代のアパレル企業の抱える問題と、貧しくなる衣服について解説します。
講義資料・関連資料の配布ページ
- 「日本経済史2」(Yahoo!ボックス)