繊維製品の品質表示と原産国表示:衣料品関連の法的規制

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モードには何らかの様式や統括基準が潜んでいますが、繊維・アパレル業界で大きな統括基準となるのが品質表示です。

日本では踏み倒す企業が多すぎるので、機能しているかと言えば難しい所ですが。

私たちの衣料品には必ず裏に品質表示ラベルが貼り付けられています。

品番、綿やポリエステルなどの繊維混合率、製造会社・取扱会社、洗濯方法、原産国(いわゆるMade in ~)などです。

どれほどモード(ファッション)が反抗的、異端的、自由的であろうとも、製品として次のような規制を受ける点を日本の事例で理解していただければと思います。

この記事では、衣料品関連の法的規制のうち、繊維製品の品質表示と原産国表示について簡単に説明しています。

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繊維の品質表示:日本の消費者庁の場合

日本の消費者庁は「繊維製品品質表示規程」第6条(指定用語)が「繊維の名称を示す用語」を別表第5に指定しています(家庭用品品質表示法 | 消費者庁)。

その表から繊維名を挙げます。

本表は天然繊維、合成繊維の順で並べられていますが羅列気味ですので、天然繊維はすべて、化学繊維は衣料品に多いものに限定してまとめ直します。繊維名に続いて、指定用語を( )で括ります。

指定用語が複数ある場合は、いずれかの表記のみで構いません。

なお、種類が不明の繊維、または組成繊維の混用率が5%未満の繊維は、「その他繊維」か「その他」と記して良いとのことです。

天然繊維と化学繊維の説明は「繊維 の種類と考え方:天然繊維と化学繊維」(提携サイト)をご参照ください。

繊維の品質表示:繊維製品品質表示規程 家庭用品品質表示法

繊維製品品質表示規程 via 家庭用品品質表示法 | 消費者庁

天然繊維

  • 綿(綿、コットン、COTTON)
  • 絹(絹、シルク、SILK)
  • 麻(麻)※亜麻及び苧麻に限る。
    • 羊毛(毛、羊毛、ウール、WOOL)
    • アンゴラ(毛、アンゴラ)
    • カシミヤ(毛、カシミヤ)
    • モヘヤ(毛、モヘヤ)
    • らくだ(毛、らくだ、キャメル)
    • アルパカ(毛、アルパカ)
    • 羽毛
      • ダウン(ダウン)
      • その他の羽毛(フェザー、その他の羽毛)
    • その他のもの(毛)

化学繊維

  • ナイロン繊維(ナイロン、NYLON)
  • ビニロン繊維(ビニロン)
  • ポリ塩化ビニル系合成繊維(ポリ塩化ビニル)
  • ポリエステル系合成繊維(ポリエステル、POLYESTER)
  • ポリアクリルニトリル系合成繊維
    • アクリルニトリルの質量割合が85%以上のもの(アクリル)
    • その他のもの(アクリル系)
  • ポリエチレン系合成繊維(ポリエチレン)
  • ポリウレタン系合成繊維(ポリウレタン)

繊維表示の要約は以上です。

これを見ると、天然繊維の「毛」がかなり複雑だと分かります。

「その他のもの」、つまり表に示されていない動物の毛は全て「毛」で表記することになります。また、近しい種の動物の場合も、表記外の動物ですと「毛」になりそうです。

そこで思い出すのは2007年に日本の百貨店で販売されていた毛皮製品がラクーンと表示されているにもかかわらず、実際は狸(タヌキ)の毛だった出来事です。

これまで百貨店は放っておいたラベル表記について、一旦メディアで騒動されると、アパレル会社に挙ってラベル貼り替えの指示を出すという醜態を示しました。

アパレル業界では狸をラクーンと表記するのは通例だったそうです。

当時の状況を物語る表記方法の対処は、「一般社団法人 日本毛皮協会 公式サイト」でよく分かります。

主に、アパレル会社がトリミングとして使っているタヌキの毛皮の表示について、単に「チャイニーズラクーン」又は「コリアンラクーン」、 「ラクーン」などと表示されているものがありますが、これらについては、消費者がアライグマの毛皮と誤認するおそれがありますので、 タヌキの毛皮であることを表示し、消費者が誤認しないようにしてください。
【許容される表示例】
1)毛皮
2)毛皮(タヌキ/原産国+ラクーン) 例)毛皮(タヌキ/チャイニーズラクーン)
3)タヌキ(原産国+ラクーン) 例)タヌキ(チャイニーズラクーン)一般社団法人 日本毛皮協会 公式サイト

ついでに、後の2014年頃に、百貨店のレストラン群が挙ってラベル偽装・産地偽装をやっていましたね。

日本の百貨店って品質をもっとも理解できていない業界なんですね…(苦笑)

繊維製品の原産国表示:「モードとファッション」、の関係には何らかの様式や統括基準が潜んでいます。

繊維・アパレル業界で大きな統括基準となるのが品質表示です。日本では踏み倒す企業が多すぎるので、機能しているかと言えば難しい所ですが。

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繊維製品の原産国表示:モードとしての品質表示規程

私たちの衣料品には必ず裏に品質表示ラベルが貼り付けられています。

品番、綿やポリエステルなどの繊維混合率、製造会社・取扱会社、洗濯方法、原産国(いわゆるMade in ~)などです。

どれほどモード(ファッション)が反抗的、異端的、自由的であろうとも、製品として次のような規制を受けているという点を日本の事例で理解して頂ければ幸いです。

この記事では、衣料品関連の法的規制の内、 繊維製品の原産国表示 について簡単に説明しています。(「衣料品関連の法的規制:繊維の品質表示」も併せてお読みください)

「繊維製品品質表示規程」

繊維製品には、糸、織物などの布、衣服(衣料品)・身の回り品(帽子・鞄・靴など)が含まれます。

衣料品などの裏にラベルが付けられている理由は、繊維製品が「家庭用品品質表示法」の対象範囲であり、第2条1に「繊維製品、合成樹脂加工品、電気機械器具及び雑貨工業品」と明記され、品質表示の義務を背負っているからです。

そして、この法の説く品質表示の方法を具体的に示したのが「繊維製品品質表示規程」です。

繊維製品の原産国表示

ところが、「家庭用品品質表示法」にも「繊維製品品質表示規程」にも、実は 原産国表示 (メイドイン)は義務づけられていません。

原産国表示の法的義務化は、WTOのTBT協定の指定する強制規格に該当し、国際競争力・貿易力を阻害するものだと判断されてきたからです。

しかし、この10年間ほど、原産国表示はほぼ全ての衣料品に表示されています。

これは、衣料品部門を取り扱う団体の「一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会」が自主的な表示を勧めてきたからです。

衣料品は外国語表記の多い部門であり、消費者保護の立場から自主的な原産国表示を行なっています(「原産国表示 – JAFIC 一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会」)。

アパレル業界における原産国表示マニュアル

同協会が2006年3月に発行した「アパレル業界における原産国表示マニュアル」は、「これまで多くのアパレル企業が、個々に策定した原産国定義により原産国表示を行って来ましたが、委員会では、法令順守、消費者保護の立場から業界標準としての指針を検討しこのマニュアルをまとめました」(1頁)とあります。

従来は各アパレル企業が個別に原産国を定義し、原産国表示を行なってきたことが分かります。

2006年以降、それを統一化しようという方針がこのマニュアルだと考えられます。

その背景にはラベル偽装は頻繁に行なわれてきた点が指摘されています。また、1990年代半ばから激化した日本縫製工場の海外移転(とくに中国移転)によって、多国籍化された生産工程を把握する・明示する必要に迫られた点も挙げられています。

「近年海外からの製品輸入が激増し、生産体制についても多国間に亘るなど、原産国表示の考え方について業界として明確化することが必要」だと同協会は認識しています(前掲ウェブページ)。

原産国決定の工程

同マニュアル5・6頁には「原産国決定の工程」が明示されており、繊維製品に限っていえば、ニット生地から製造した衣料品は編立または縫製、織物生地から製造した衣料品は縫製が、それぞれ原産国となります。

また、12頁には「皮革毛皮製品」が参考に挙げられ、革製衣料と毛皮衣料のいずれもが原産国決定の工程を縫製と指定しています。

同協会はこのマニュアル作成にあたり、繊維業界の参加27団体に対し、次の行動を促進しています。

  1. 法令の遵守
  2. 原産国表示の推進
  3. 原産国表示にあたってのマニュアルの整備

参加27団体

参加27団体は次の通りです。

  • ㈳日本アパレル産業協会
  • 日本被服工業組合連合会
  • 日本輸出縫製品工業協同組合連合会
  • 日本アパレルソーイング工業組合連合会
  • 日本布帛製品工業組合連合会
  • 全日本婦人子供服工業組合連合会
  • ㈳日本ボディファッション協会
  • 日本毛織物等工業組合連合会
  • 日本絹人繊織物工業組合連合会
  • 日本綿スフ織物工業組合連合会
  • 日本織物中央卸商業組合連合会
  • 日本タオル工業組合連合会
  • 日本タオル卸商連合会
  • 日本毛布工業組合
  • ㈳日本インテリアファブリックス協会
  • 日本ふとん製造協同組合
  • ㈳日本フェルト協会
  • 日本テントシート工業組合連合会
  • 日本ニット工業組合連合会
  • 日本ニット中央卸商業組合連合会
  • 日本靴下工業組合連合会
  • 日本手袋工業組合
  • 日本繊維輸入組合
  • 日本百貨店協会
  • 日本チェーンストア協会
  • ㈳日本専門店協会
  • 日本繊維産業連盟

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