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ドレスの意味や種類と呼称の問題

Black Tie Guide | History: Late Victorian 批判と理論
"1890 American full dress. Note two types of lapels and two colors of waistcoats". (1890年のアメリカのフル・ドレス。2つのラペルと、2色のウェスト・コートに注目。) via Black Tie Guide | History: Late Victorian

ドレス

ドレス dress は英語由来のカタカナで、乳頭から臀部までを覆う衣服の総称です。衣服や服装を意味し、衣服を着る、正装する等の動詞として使われる場合もあります。日本語で着物・長着、中国語で袍・衫が当てはまります。

ドレスの動詞には、「衣服を着る」「正装をする」「美しく飾る」「髪を結う」などがあり、ドレッシング・ガウン(部屋着)、ドレッシング・ジャケット、ドレッシング・サック(短い化粧着、部屋着)、ドレッシング・ローブ(部屋着)などのように使われます。

ドレス : 1890年のアメリカのフル・ドレス。2つのラペルと、2色のウェスト・コートに注目。

ドレス : “1890 American full dress. Note two types of lapels and two colors of waistcoats”. (1890年のアメリカのフル・ドレス。2つのラペルと、2色のウェスト・コートに注目。) via Black Tie Guide | History: Late Victorian

細かい定義

もう少し詳しく見ますと、

  • 服装・衣服などの総称として、クロージング clothing、コスチューム costume
  • 婦人服・子供服、特にワン・ピース形式のものを指します。ワン・ピース・ドレスのように優雅で柔らかい感じのするツー・ピースをさす場合あり
  • 正装や礼服のこと。男女両方に使われ、イヴニング・ドレス(燕尾服)、フル・ドレス(正装)、モーニング・ドレス(モーニング)のような名称があります。

ドレスは女性のワン・ピースを指す場合が多く、ツー・ピースを意味する場合もたまにあります(この場合、組み合わせ全体を指すことが多い)。正装や礼服を意味する場合は性別に関係なく使われ、イブニング・ドレス(燕尾服)、フル・ドレス(正装)、モーニング・ドレス(モーニング)のような服装の名称があります。

辞書批判

なお、よく辞書に≪ある程度の優雅さや装飾性のあるもの≫や≪あまり普段着らしくないもの≫と記されています。優雅さや装飾性を根拠にすると基準は不明瞭です。

暫定的な意味

西洋ではパーティが日常的なのですから、優雅さや装飾性ではなく目的性(TPO)の強い衣服と称すべきです。

ドレスは単に衣服(アパレル)の意味をもち、同時にTPOも含んでいます。クロージング(clothing)やガーメント(germent)のような物質的な意味よりもドレッシング(dressing)の要素が強い点は確かです。

種類

ドレスの種類は非常に多く、形、素材、TPO、時間や季節、形やデザインなどによって区別されます。また、流行によって名称が決まっていく場合もあります。従って、一つのドレスでも幾つもの呼び方があります。

  • 場所、目的・用途の区別では、ウェディング・ドレス、ハウス・ドレス、カクテル・ドレス、マタニティ・ドレス、スケーティング・ドレス、テニス・ドレス、ボール・ドレス、ディナー・ドレスなど。
  • 時間帯や季節帯の区別では、モーニング、アフタヌーン、イブニング、サマーなど。
  • 形やデザインでは、エー・ライン、トラペラーズ・ラインなどの輪郭から、シャツ・ドレス、エプロン・ドレス、シュミーズ・ドレス、キュロット・ドレス、ミニ・ドレス、シフト・ドレス、プリンセス・ドレスなど、非常にたくさんの種類があります。
  • 民俗衣装(民族衣装)の旗袍(チャイニーズ・ドレス)、アオザイ(ヴィエトナミーズ・ドレズ)、着物(ジャパニーズ・ドレス)、チョゴリ(コリアン・ドレス)という呼び方も少々あります。

たとえば、イブニング・ドレス(evening dress)ですと、一般に「夜会服」と称し、男女を問わず夜間の社交の場(舞踏会や観劇も含む)に用いる礼装のことですが、婦人用のイブニング・ガウンに限定して使う場合もあります。

夜間の礼装としては最も格調が高く、腕、背中、胸の部分を大きく開けたローブ・デコルテなどのロング・ドレスが、イブニング・ドレスの代表的なものとされ、正式のものは袖を付けないのが原則で、丈は床に着く長めのものが普通ですが、短めに作られる場合もあります。そして、イブニング・ガウン、イブニング・フロック、フォーマル・ドレス、アフター・ファイブ、アフター・ダークなどとも呼ばれることもあります。

呼称問題

以下で一つのドレスに複数の呼称が生じる他の事例を挙げます。切りがありませんが、ダラダラと書いていきます。

アンドレ・クレージュのドレス

アンドレ・クレージュのコート・ドレス(1965年)Coatdress, André Courrèges, 1965

アンドレ・クレージュのコート・ドレス(1965年)Coatdress, André Courrèges, 1965 (via The Met)

これはアンドレ・クレージュ制作のコート・ドレス。手前の作品が1つでドレスと見ればワンピース・ドレス、この上に別の服を着ないのでコート・ドレス、この服でパーティに行けばパーティ・ドレス、目立つので考えにくいですが結婚式に行けば立派なウェディング・ドレスとなります。奥は2枚で1組と見ればツーピース・ドレス、この服でパーティに行けばパーティ・ドレスとなります。

アトリエ・レイレイのドレス

旗袍(チーパオ)を見てみましょう。この旗袍はチャイニーズ・ドレス、ワンピース・ドレス、パーティ・ドレス、ディナー・ドレス等々と呼べます。生地がサイコロ状のチェックですから、サイコロ旗袍とも呼べます。

サイコロ・チーパオ アトリエ・レイレイ

サイコロ・チーパオ アトリエ・レイレイ via atelier leilei

キャメロン・ディアスの着ているドレス

3点目の事例です。次の場面は2009年に公開されたリチャード・ケリー監督映画「運命のボタン」から。キャメロン・ディアスがドレスを着てパーティ会場に行ったところです。

キャメロン・ディアス主演「運命のボタン」

キャメロン・ディアス主演「運命のボタン」 TM & © Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

これは最上部にゴムが入れられ腕と胸部と背中で留めるドレスです。このドレスを何というでしょうか。答えは定まりません。

たとえば、胸部から上(トップ)が裸(ベア)ですから、このベアトップ状態を根拠にベアトップ・ドレスということができます。これをフランス語でいうとローブ・デコルテ。このドレスはフォーマルな場所に着て行ってるのですから、ついでにフォーマル・ドレスともいえます。

また、ドレスの最上部(一応、衿というべきか)が水平なのでボードネック・ドレスともいえます。さらに、夜にパーティ会場で着ているドレスなのでパーティ・ドレスともイヴニング・ドレスともいえます。といっても流行感覚を積極的に採り入れていると考えればイヴニング・ドレスの簡略版カクテル・ドレスともいえます。

そして、丈の長いドレスですからロング・ドレスともいえます。自分が主役ではないパーティですからウェディング・ドレスとはいえませんが、オケージョナル・ドレスとはいえます。

以上、多くの衣服がドレスと呼べます。

おわりに

ドレスと呼べる服は全て、ヨーロッパ発祥と判断できる衣服として理念的に処理されたもの、また実際に洋服化したものといえます。世界中で今残っていると思いがちな民俗衣装や民族衣装もまた、洋服ドレスから何らかの理念をどこかに採り入れて、洋服化している点も大切です(この点については「東アジア民族衣装への黄金比の応用」およびその関連記事をご覧ください)。

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