新しいファッション史

モードの世紀は、人類のファッション史をまとめ直し、躍動感ある歴史を描きます。
主にフランス、イギリス、イタリア、アメリカ、中国、台湾、日本に注目します。

これまでのファッション史は西洋か日本か、意味不明の二項対立に固執しました。
和洋。何て厚かましい言葉でしょう。

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ドルマン・スリーブ : dolman sleeve

ドルマン・スリーブ : dolman sleeve

ドルマン・スリーブ : dolman sleeve とは、袖つけ(袖ぐり)がゆったりとして、袖口にかけて細くなったスリーブ(袖)のこと。袖無、七分袖、長袖などがあります。セットイン・スリーブ(set-in sleeve)、ラグラン・スリーブ(raglan sleeve)とならび、スリーブの代表的な形の一つとされますが、次のような問題を含んでいます。

ドルマン・スリーブ。ノレル。ブラック・バグル・ビーズ入ドルマン・スリーブ。スリーブ・タートル・ネック・ガウン、1968年。ケネス・プール・コレクション撮影、© マーク・フラワー。

ドルマン・スリーブの一例。ノレル。ブラック・バグル・ビーズ入ドルマン・スリーブ。スリーブ・タートル・ネック・ガウン、1968年。ケネス・プール・コレクション撮影、© マーク・フラワー。”Norell, black bugle-beaded dolman -sleeve turtle neck gown, 1968. Photograph of Kenneth Pool Collection © Marc Fowler”. via Gown | Norell, black bugle-beaded dolman -sleeve turtle neck… | Flickr

名称の由来はトルコで着用されてきた外套の名称。その袖と同じ構造のものを広くドルマン・スリーブといいます。基本的に蝙蝠風の袖ですが、もともとはルーズな袖の総称と考えられます。その上で、蝙蝠(こうもり)のように襠(まち)をとったものが広く知られているわけです。したがって、皮肉にも袖の有無がドルマン・スリーブの決め手にはなりません。ファッション用語は、流行販売のたびに意味がズレていく傾向にあります。ややこしいわけです。

ドルマン・スリーブの種類

ドルマン・スリーブにはヴァリエーションが多いです。

  • 肩と袖との縫い目(切替)が無いもの、つまり、袖つけが無く身頃から裁ち出した(身頃の布を袖にまで用いた)もの
  • 逆に、切替(縫目)が肩(つまりセットイン・スリーブ)か袖上にあるもの
  • 袖ぐりの浅いもの、
  • または運動量確保のために襠を入れたもの

等があります。

1980年代のヴィンテージ・ドルマン・スリーブ・ヴェスト・チュニック Vintage 80s Dolman Sleeve Vest Tunic

1980年代のヴィンテージ・ドルマン・スリーブ・ヴェスト・チュニック。via

ドルマン・スリーブ、フレンチ・スリーブ、キモノ・スリーブ、キャップ・スリーブの関係

このうち、肩と袖との縫い目が無いものや、切替(縫目)が袖上にあるドルマン・スリーブは、フレンチ・スリーブ、キモノ・スリーブ(着物袖)と呼ばれる場合も。ただし、袖が肩部分のみを覆い脇は覆わない袖を全般的にフレンチ・スリーブ(キャップ・スリーブ)という場合もあり、用語は統一されていません。

袖や肩の縫目の有無をドルマン・スリーブの基準にする辞書がしばしば見受けられますが、これは歴史的にみて身頃からの裁ち出しによる蝙蝠風の羽にしてきた風習を反映させてのことで、決定的な基準とはなりません。

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プロフィール
この記事を書いた人
しんいち

岩本真一(いわもと・しんいち)1970年奈良県生まれ。近畿圏の大学で経済史や社会史を教えています。アパレル産業史を研究する傍ら、ファッションに関する文化史・哲学的なサイト「モードの世紀」を運営してきました。姉妹サイトに「ミシンの世紀」、著書に『ミシンと衣服の経済史』。

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