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恋のエチュード : 概要と恋の結末

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恋のエチュード

恋のエチュード Les Deux Anglaises et le Continent(フランソワ・トリュフォー監督、1971年、フランス)は一人のフランス人男性と二人のイギリス人女性に湧いてくる恋の映画です。原作の影響から、3人の日記を読み進める形で映画が進みます。描かれる恋は恋の障害といわれ、かなりチグハグに進展していきます。トリュフォーは「肉体的な恋を描くのでなく、鯉を肉体的に描きたかった」と述べました。そのための手法として、画面中央から徐々に明るく写すアイリス・インと、画面周辺から徐々に暗くしていくアイリス・アウトとを用いています。

恋のエチュード François Truffaut, Les Deux Anglaises et le Continent, 1971, France.

恋のエチュード François Truffaut, Les Deux Anglaises et le Continent, 1971, France. (c) 1971 Les Films du Carrosse

アイロンの意味

映画『恋のエチュード』の舞台はイギリスの片田舎ですが、イギリス嫌いのトリュフォーの意向を汲み、フランスの片田舎ノルマンディーで撮影されました。主人公が姉妹から大陸君と呼ばれているのが可笑しくなります。

Francois Roland Truffaut, Les Deux anglaises et le continent (c) 1971 Les Films du Carrosse

恋のエチュード / アイロンを母と姉妹がかける場面。アイロンがけの済んだ服を妹が畳んだ後、母が別室へ仕舞に行きます。 (c) 1971 Les Films du Carrosse

また、姉妹と母が鉄製のアイロンで衣服を綺麗している場面が印象的です。女性が集まり作業に集中していると、男性は外から覗くくらいしか何も出来ません。ウロウロする大陸君の反応が絶妙に面白いです。

Francois Roland Truffaut, Les Deux anglaises et le continent フランソワ・トリュフォー『恋のエチュード』(Francois Roland Truffaut, Les Deux anglaises et le continent) (c) 1971 Les Films du Carrosse

とかく衣食に関しては女性たちの集まる場所に入りにくいものです。服の買い物、女子会と称した食事…。なお、アイロンと火熨斗について以下で触れていますので、ご参照ください。「近代日本の導入した 洋裁 : 大丸弘「西欧型服装の形成」を読む

恋の結末

以下では『恋のエチュード』の恋の障害について、少し考えました。妹が大陸君と肉体関係を結んだ翌日、必殺の台詞が出てきます。

あなたのお陰で愛を知ったわ/目眩のように/戦慄のように/これからは、あなた無しでも生きていける

フランスの映画監督フランソワ・トリュフォーは、彼の生き写しであるジャン=ピエール・レオー扮するダメ男に合わせ、女優ステーシー・テンダーに上記の台詞を言わせました。彼女は間違っても美人とはいえない女性で、イギリス人でフランス語の達人が必要だという理由だけで採用されました(山田宏一『フランソワ・トリュフォー映画読本』平凡社、2003年)〔amazon書店へ〕。トリュフォーは彼女に、出来る限りの衣装と化粧を施して起用しました。ステーシーは後にも先にも目立った作品には出ることはありません。しかし、古今東西の恋愛史上、そして恋愛映画史上で、男性に対して最も破壊力のある台詞を言う機会を彼女はトリュフォーから与えられました。

フランソワ・トリュフォー『恋のエチュード』(Francois Roland Truffaut, Les Deux anglaises et le continent)

フランソワ・トリュフォー『恋のエチュード』(Francois Roland Truffaut, Les Deux anglaises et le continent) (c) 1971 Les Films du Carrosse

フランソワ・トリュフォー『恋のエチュード』(Francois Roland Truffaut, Les Deux anglaises et le continent) (c) 1971 Les Films du Carrosse

愛を教えた男性が、愛を教わった女性から「不要」と捨て去られるのは、悲惨や不幸とは言えないにしても災難であることに間違いありません。女は愛が欲しかっただけで男は不要だったという論理は、論理として完結しています。しかし、言われた男の側からすれば全く納得がいきません。だから災難としか言いようがないのです。かといって、爆破的な台詞を吐いた女を恨んだところで仕方がありません。女の側からすれば、愛を教えてもらっただけで幸せだということなのですから。そこに男が未練がましく介入しようとすれば、せっかく女が理解した愛というものを汚すことになります。『恋のエチュード』とはまさに恋の地獄を教えてくれるものです。

最後に、私自身は、ステーシーの口元と、静止時の全身的な姿勢が気に入っています。

妹の横向く姿勢が、少し体をくねらせている点と、スカートの皺でそれが際立たされている点が良いですね。皺が布の豊かさを示しています。

妹の横向く姿勢が、少し体をくねらせている点と、スカートの皺でそれが際立たされている点が良いですね。皺が布の豊かさを示しています。フランソワ・トリュフォー『恋のエチュード』(Francois Roland Truffaut, Les Deux anglaises et le continent) (c) 1971 Les Films du Carrosse

スタッフ

  • 装飾・小道具 Accessoiriste : ジャン=クロード・ドルベール Jean-Claude Dolbert
  • 調髪 Coiffeuse : シモーヌ・ナップ Simone Knapp
  • 衣装 Costumes : ギット・マグリーニ Gitt Magrini
  • 衣装助手 Assistant aux costumes : ピエランジェロ・ギコレッティ Pierangelo Cicchett & ピエロ・チコレッティ Pierangelo Cicoletti & Tirelli-Rome
  • 衣装提供 : ティレッリ・ローマ Tirelli – Rome (Tirelli Costumi)
  • 衣装協力 : カポーレット・ドルベール
  • 化粧 : マリー=ルイーズ・ジレ Marie-Louise

フランソワ・トリュフォー『恋のエチュード』1971年、フランス

François Truffaut, Les Deux Anglaises et le Continent, 1971, France.