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シャネル ザ・ファッション / エドモンド・シャルル=ルー

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シャネル ザ・ファッション / エドモンド・シャルル=ルー

シャネル ザ・ファッション : 本書は作家シャルル・ルーの書いたガブリエル・シャネルの伝記です。

これまで出版されていた類書、たとえばマルセル・ヘードリッヒ「ココ・シャネルの秘密」やポール・モラン「獅子座の女シャネル」を超えてシャネルの真実にギリギリの所まで迫ろうとした意欲作です。著者のルーは作家業の傍らで女性雑誌「エル」や「ヴォーグ」の執筆・編集に携わってきました。

エドモンド・シャルル=ルー シャネル ザ・ファッション 榊原晃三訳 新潮社 1980

エドモンド・シャルル=ルー「シャネル ザ・ファッション」榊原晃三訳 新潮社 1980 (to amazon.jp)

著者の情熱

類書を超えるほど詳しく真実に迫るという目的はある程度達せられていると思います。本書の執筆はルー自身ではなくシャネルから持ちかけられた話だという点は斬新でした。

といってもシャネルが著者に語る話はほとんどが嘘ではないかと疑うことばかりで、著者はシャネルに対して愚痴をこぼします。その時シャネルは著者に≪真実とは何か?≫とはぐらかしました。これが著者の真相解明の意欲を奮い立たせたようです。

シャネルへの取材は実に16年に及び、インタビューをする時に著者はそれまで集めた記録、写真、本、ノート、カメラなど膨大な荷物を積んで臨んだといいます。セヴェンヌ、オバジーヌ、ソオミュール、ヴィシー、ドーヴィルへとシャネルを追い掛けました。

シャネルを介さない独自の調査も凄まじく、イギリス、ソ連、ドイツへと調査を進めました。このような背景から訳者は「洗いざらい」「徹底的」といった形容に相応しい伝記に仕上がっていると驚嘆しています。

本書のメリット

ですから、本書を読んでいますと、一つの時代が再現され、シャネルやルーとともに生きた感覚に見舞われます。シャネルの発言を乱用せず、時代や地域を非常に詳しく描いています。

訳者もいうように文体が堅いので、類書に見られる気取った感じを受けません。シャネルを通じた20世紀史として読めるので、世界史に興味のある方に向いています。

その分、ファッション史としてはあまり情報が得られないのが少し残念。そもそも著者はファッション史を狙っていないので仕方ありませんが。

エドモンド・シャルル=ルー「シャネル ザ・ファッション」榊原晃三訳 新潮社 1980 (to amazon.jp)