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シャネル スタイルと人生 / ジャネット・ウォラク

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シャネル スタイルと人生 / ジャネット・ウォラク

シャネル スタイルと人生 : 本書はガブリエル・シャネルの伝記で、彼女が生んだファッション・スタイルや生涯そのものを讃えています。

著者のジャネット・ウォラク(Janet Wallach)はニューヨーク市でファッション・ディレクターを歴任した経験があります。訳者の中野香織は「性とスーツ」で有名なファッション史家。原著は1998年、訳書は2002年。

シャネル スタイルと人生 ジャネット・ウォラク 文化出版局 2002

ジャネット・ウォラク「シャネル スタイルと人生」文化出版局 2002 (to amazon.jp)

本書の特徴

写真・イラストが多い

まず、カバー見返しに≪言葉とビジュアルの饗宴≫とあるように150枚超の写真とイラストが大きな特徴です。衣装、香水、アクセサリー、そして彼女の人物像、交流場面など数々の写真が掲載されています。

映画界との関係に詳しい

次いで、本書が映画コスチュームとシャネルとの関係を述べていることも高く評価できます。よく知られるようにシャネルは社会人として働く女性に相応しいシンプルなスーツを考案しました。

スーツに品格はあるとしても選民性はありません。しかし、その姿勢がハリウッドでは通用しなかったようです。一例を挙げます。

日常生活でエレガントに見える服が、スクリーンのなかでもそう見えるとは限らない。映画もコスチュームも共に失敗したことが明らかになると、ハリウッドでのシャネルの評判はがた落ちになる(同書103頁)

シャネルが映画衣装を担当した一つに「今宵ひととき」があります。この映画で彼女は主演女優のグロリア・スワンソンに白襟とカフスを覗かせたテイラード・スーツを着せました。著者はそのスーツをスマートだがハリウッド女優のグラマラスな身体には相応しくないと指摘しています。

衣服そのものが商品となる販売目的のファッション・デザイナーと衣服自体が映画に溶け込む女優目的のファッション・デザイナーとの違いを露骨に示す一例です。104頁に示された映画の一場面からはスワンソンの肩が盛り上がっていることがわかります。これと似たスーツを自分出着ている105頁のシャネル本人の肩回りとは全く印象が違います。

反体制としての生き方を称賛

3点目として、シャネルを著者が称賛する理由は次のように述べられています。それら写真1点ずつに対して丁寧にコメントが付されている点は感服します。

体制や権威に対する軽蔑を大胆に表現することによって、シャネルは、今なお私たちのスタイルの感覚を刺激してやまない魔法のような世界を創りだした。(同書10頁)

体制や権威に抵抗する術をシャネルは作りだし、それを私たちはスタイルとして受け取っているということです。同時代の体制・権威への抵抗が現代への影響力となっている点に著者は魅了されています。

確かに戦前期の大変な時代、それは複雑な現代社会とは違って単純な社会でした。賛成か反対か。しかし、その賛成か反対という意志や判断を行なうことには現代社会のそれら以上に深く人生に食い込む勇気がいりました。単純だったから良かったという訳ではありません。

本書の問題点

類書が多く読者にはどれが王道の伝記か分かりにくいのですから、著者のキャリアを活かして類書をまとめ直し、もう少し本文を圧縮して欲しかったところです。

写真資料は先に述べたように本文と連動した使い方がされている一方で、144頁・145頁のようにアクセサリーの説明にエピソードを入れるという使い方もしています。類書が多く本書の活字量も多いことを考えると、後者の使い方は無駄。

目次

序文、つらかった少女時代、御曹司の援助で帽子店として出発、ボーイッシュな冒険、劇場との縁、ロシアの香り、詩的なイメージ、高貴な恋人と宝石、コスチュームの眩惑、危険な戯れ、ラッキー・ナンバー、アリュールは永遠に。参考文献、出典、索引、訳者あとがき。

ジャネット・ウォラク シャネル スタイルと人生 文化出版局 2002 (to amazon.jp)