ココ・シャネルの秘密 / マルセル・ヘードリッヒ

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ココ・シャネルの秘密 / マルセル・ヘードリッヒ

ココ・シャネルの秘密 : 本書はシャネル晩年のインタビューをもとに記した伝記です。

著者のマルセル・ヘードリッヒはサムディ・ソワール誌発刊、パリ・プレス紙記者、マリ・クレール誌編集長などを歴任したジャーナリスト・小説家です。訳者の山中啓子は元「エル・ジャポン」パリ支局長を務めたジャーナリスト、エッセイスト。

マルセル・ヘードリッヒ「ココ・シャネルの秘密」山中啓子訳 早川書房 1995

マルセル・ヘードリッヒ「ココ・シャネルの秘密」山中啓子訳 早川書房 1995(to amazon.jp

内容は時系列に沿って展開し、1項目辺り約20頁が割かれています。本書のカバー裏には「モードの女王が語る華やかな虚構の隙間を探り、彼女の秘められた生涯を描きだすスタイリッシュな伝記」と紹介されています。

読んでいますと、香水シャネル5番に関するマリリン・モンローのエピソードがあるように(320頁)、シャネルの影響力に関するエピソードも多く見られるので、シャネルを介したファッション史という印象を持ちました。もちろん、著者が直接聞いたシャネルの発言も随所にちりばめられているので、彼女の人生が具体的に生き生きと伝わってきます。

難点ですが、ファッション雑誌の記者と小説家という経歴からか、シャネルの発言⇒疑問文提示⇒別のオチという流れが気取っているように感じました。また訳者の装飾から、「~だわ」とシャネルの発言ごとに語尾を付けているので、余計に読んでいて疲れるところ。全ての発言に「だわ」を付ける女性はいますか?

シャネルのモード観

簡単に述べられているもののモード論の観点からすると大切な点が434頁に記されています。

「何もかもすぐに流行遅れになてしまう」(中略)みんなもうコピーしかしなくなてしまった(同書434頁)

これはシャネルの発言の中でオート・クチュールをはじめとするモード業界の創造性の終焉を意味した最も重要な発言です。シャネルは晩年にモード業界にうんざりしていたのではないかと考えさせられる一面ですね。ミニドレスやミニスカートの流行に対する批判は次のように記されています。

「もうすでに、モードは流行遅れになっているわ。モードというのは、いくらなんでも、スカートの長さじゃないでしょう? わたしはここまでのミニ・スカートを作るつもりはない」(同書438頁)

特にシャネルはイエイエ・モードに対して嫌悪感を持っていたことも、この引用の直後に記されています。既に1920年代にスカートを膝丈にまで上げたシャネルは1960年代に流行した膝上にまで上がり続けるスカートには断固として拒否しました。

目次

  • 伝説を持つ人々は、また伝説そのものでもある
  • わたしは家族の小さな囚われ人だった
  • 伝説と真実
  • わたしは感化院に入るところだった
  • 最初の勝利、払いのけられた貧乏
  • 二番目の勝利、ココ、帽子屋になる
  • 三番目の勝利、ココ、シャネルとなる
  • トゥ・パリの見習い期間
  • 七百人のパリの名士たち
  • 四番目の勝利、ウェストミンスター公
  • 思いがけない友、ピエール・ルヴェルディ
  • 占領下の沈黙
  • 五番目の勝利、女性実業家のココ
  • 六番目の勝利、”カムバック “
  • ココのビジュウ、いくらもかからない豪華なもの
  • フランス人は、わたしが好きじゃない
  • ココの孤独
  • ココ、オペレッタのヒロインに
  • ココに対する陰謀
  • わたしはずいぶんひどい目にあった…
  • 仕事をするココ
  • ココ、”単純な人々”を見出す
  • 最後の勝利、死を越えて勝ち得たもの
  • シャネル・スタイルに魅せられて(原由美子)

マルセル・ヘードリッヒ「ココ・シャネルの秘密」山中啓子訳 早川書房 1995(to amazon.jp