旗袍の図書 リスト

著書『ミシンと衣服の経済史』で用いた本を中心に 旗袍の図書 を紹介します。

日本語の旗袍の図書

旗袍に関する研究の内、日本語文献では謝黎『チャイナドレスをまとう女性たち―旗袍にみる中国の近・現代』(サイト内記事へ)、同『チャイナドレスの文化史』(amazonへ) があります。日本では旗袍どころか中国服飾史に関する研究自体が少ないので、著者はほぼ唯一の研究者です。

中国語の 旗袍の図書

王东霞编著『从长袍马褂到西装革履』
王东霞编著『从长袍马褂到西装革履』

王東霞編『従長袍馬褂到西装革履』四川,四川人民出版社,2003年、ISBN:9787220061851 (to amazon.com)

この本は旗袍をはじめ中国の長袍(長衣)の歴史を清朝期から現代まで採り上げています。政治史を背景に衣服史を述べています。衣服や着用者の写真が多く当時の雰囲気がわかりやすく説明も詳しいのでお勧めします。

旗袍の図書 呉昊『都會雲裳』
呉昊『都會雲裳』

呉昊『都會雲裳―細說中國婦女服飾與身體革命(1911-1935)―』香港、三聯書店,2006、ISBN:9620423933

この本は所蔵本で最も面白い本です。政治史と衣服史を結び付けるスタンスは『从长袍马褂到西装革履』と同じですが、こちらは中華民国の服制案で出 された図案を紹介したり、当時の様々な広告を掲載するなど、写真以外の資料も豊富で、わくわくして読むことができます。また、『チャイナドレ スをまとう女性たち』に比べ、文化史の理論枠(作られた伝統論)に振り回されずに旗袍の再編を論じており、時期的な変遷がさらに明確になっています。

旗袍の図書 白云『中国老旗袍』
白云『中国老旗袍』

白雲『中国老旗袍―老照片老広告見証旗袍的演変―』北京,光明日報出版社,2006年、ISBN:9787802061866

これは『都會風裳』の大型図鑑版という感じのもので、とにかく資料の多さと大きさがはんぱなく、家に置いておきたい一冊です。図版は多く300ほど、説明も豊富にあります。民国期女子学生服への旗袍の影響、明星(映画スター)や令嬢・貴婦人たちの旗袍、上海モダン・ガールたちの流行旗袍、その他、いろいろと資料が楽しめます。解説は丁寧で、おおむね時間の順に叙述が進みます。時代背景、旗袍の形態説明、そして資料説明もちゃんとあります。なお、辛亥革命前後の叙述よりも、1930年代・40年代頃の資料と叙述が多くなっています。本書の副題が、古い写真や広告からたどる旗袍の変遷ですし、後代の方が写真・広告が増えるためです。

冷芸『裁缝的故事』
冷芸『裁缝的故事』

冷芸『裁縫的故事―従小裁縫到大師―』上海,上海書店出版社,2005年、ISBN:9787806784150 (to amazon.com)

これは西洋裁縫技術が導入された近代に絞った本です。裁縫師(テーラー)の作品紹介や店の紹介がエピソード風にたくさん盛り込まれています。旗袍だけでなく西洋風ドレスやスーツの紹介も多いです。

时影编『民国时尚』
时影编『民国时尚』

時影編『民国時尚』民国万象叢書3、北京、団結出版社、2005年、ISBN:9787801308009

これはひたすら写真資料が続きます。本文は少ないので、あまり旗袍の勉強にはなりませんが、20世紀前半上海の街やファッション界・映画界・芸能界の印象をつかむにはてっとり早く、当時の雰囲気をつかむにはもってこいです。

林劉編『上海時尚』
林劉編『上海時尚』

林劉編『上海時尚―160年海派生活―』上海、上海文化出版社、2004年、ISBN:9787806466681 (to amazon.com)

これは海派と呼ばれた上海文化をいろいろなテーマごとに述べたものです。上海美人、建築・街並み、上海市の誕生史、映画、上海で活躍したスター、ファッ ション、風俗など、1843年の上海開港から160年間のトピックが詰まっています。旗袍は少し出てきますが、本の特徴から、旗袍を着た女性たちがイ ラストや写真に散見されるという感じです。

楼慧珍・吴永他编『中国传统服饰文化』
楼慧珍・吴永他编『中国传统服饰文化』

楼慧珍・呉永他編『中国伝統服飾文化』上海、東華大学出版社,2003年、ISBN:9787810385619 (to amazon.com)

この本は時代別の代表的な服装の変遷をイラストから説明したものです。ただし、近代の説明は10ページほどしかないので旗袍については不案内です(ポイントは押さえていますが)。

黄士龙『中国服饰史略』
黄士龙『中国服饰史略』

黄士竜『中国服飾史略』上海、上海文化出版社、2007年、ISBN:9787807401193 (to amazon.com)

これは中国服飾史の簡略版。古代から現代までじっくり説明しています。写真資料は少ないのですが、イラストがその分たくさん載せられているので、気楽に読み流すのにちょうど良いですね。

鴻宇『服飾』
鴻宇『服飾』

鴻宇『服飾』中国民俗文化叢書、香港、漢榮書局、2006年、ISBN:9787801236043 (to amazon.com)

この本は古代から清代までの服飾をテーマごとに述べた本です。服装の始まり、皇帝の服装、異形の服、飾物(アクセサリー)、髪型、化粧などに分かれ、カラー図版がたくさん載せられています。コンパクトなので気軽に読めます。

華梅『中国服飾』
華梅『中国服飾』

華梅『中国服飾』人文中国書系、北京、五洲伝播、2004年、ISBN:9787508505404 (to amazon.com)

この本はおおむね古代から現代まで時間どおりに説き起こしていますが、どちらかといえばトピック別。中国女性の唇の変遷(リップの塗り方の変遷)や内衣・ 兜肚(下着やブラジャー)の変化など、たまにマニアックなまとめもあります。民族衣装や現代のファッションも取り上げている分、近代の旗袍はほとんど出てきません。

英語の旗袍の図書

旗袍の図書 Claire Roberts, ed., Evolution and revolution
Claire Roberts, ed., Evolution and revolution

Claire Roberts, ed., Evolution and revolution: Chinese dress 1700s-1990s, Powerhouse Publishing, 1997, ISBN:1863170677

これは、中華民国期(民国期)の旗袍については少し分量を減らし、同時代の上海、香港、台湾などにも目を向けた中国ドレスの歴史です。香港と台湾を大きく取り扱っているので、あまり見かけない写真資料などを楽しめます。最近は英語圏でも旗袍などの中国衣装研究が進んでいますが似たり寄ったりですので、この本1冊でも持っておけば十分です。


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[投稿日]2017/01/14
[更新日]2017/05/26