モードの世紀では、ファッションやブランドの歴史と現在を多角的に探っています。



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   □■□    モードの世紀 ファッション用語〜1日1個    □■□

□■□ 今日の用語【イヴ・サン・ローラン(Yves Matieu Saint-Laurent)】□■□
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【イヴ・サン・ローラン(Yves Matieu Saint-Laurent)】

 パリのオート・クチュリエで、ディオール2世やモード界の帝王とよばれた、20世
紀後半の世界のファッション・リーダーの1人。

 1936年、アルジェリアのオラン生まれのフランス人。オートクチュール組合付属
のクチュール学校を抜群の成績で卒業。54年、国際羊毛事務局(IWS、現ウールマーク
・カンパニー)主催のデザイン・コンテストのドレス部門で第1位入賞。これをきっか
けにディオールに認められ、18歳でディオールのメゾンに入店し、デシナトゥール(
下絵描き)を担当。57年秋に、ディオール急逝の後を受け、店の後継者に選ばれた。

 58年1月の第1回コレクションで、トラペーズ(台形)・ラインの作品を発表して
大成功をおさめ、21歳の若さで大ディオール店の面目を保った。この作品はシュミー
ズ・ドレスのバリエーション(ビッグ・サック・ドレス)に過ぎないが、床上り50c
mという短く若々しいルックが功を奏した。次いで、丈をやや元に戻したロング・ライ
ンも発表したが、こちらは不評であった。さらに、膝頭すれすれのヤングな60年ライ
ンも、他のメゾンがヘム・ラインを下げはじめた時期に重なり不評。60年秋、太毛糸
の帽子やタートルネックのセーターと毛皮を組み合わせ、機能的なビート・ルックを発
表した。しかし、これも時期尚早の感があり不評に終わった。

 同年9月に徴兵され、入営中にディオール社から罷免。病気で除隊後、すでにマルク
・ポーアンがディオール店の主任デザイナーになっていたため、店に復帰せず、それを
機会に62年春スポンチニ街に自店を開く。バレンシアガのラインに沿ったエレガント
でシックな作品でスタートは成功したが、メゾンの経営面で危機に瀕する。しかし、間
もなく、腕利きの広報マン、ピエール・ベルジェの登場によって危機を脱出。以後、彼
の協力でクチュール部門からプレタポルテ優先のスタンスに転向した。

 66年に、プレタポルテのブティック「サン・ローラン・リヴ・ゴーシュ(Rive 
Gauche、左岸の意)を開き、クチュール界の左岸進出の先鞭を付け、同名の店を海外の
主要都市にまでひろげた。ここには、既製服時代の到来を予期するサンローランの驚く
べき先見の明が現れている。

 同シーズンのモンドリアン・ルックの成功に続き、マニッシュ・ルック、少女ルック
、さらには夜のキュロット・スーツやジャンプ・スーツなど、ミニとパンツを中心に6
0年代後半は快調。この時期は、さらにシースルー、ポップ・アートによる作品、ヌー
ド・ルック、スモッキング・ルック、サファリ・ルックなどの意欲的な作品を次々と発
表し、一挙に世界のトップ・デザイナーの地位を築きあげた。フランス・モード界にと
どまらず、20世紀モードの方向全体をサンローラン一人で示しているかのような躍進
であった。

 70年代にはオートクチュールでデラックス化がみられた。たとえば、71年春のア
ワー・グラス(砂時計)型の40年代ルックからレトロ調、74年秋のコサック・ルッ
クからフォークロア調、あるいはコスチューム・ルックなどのコレクションが挙げられ
る。これらはいずれも、贅沢かつファンタジックな作品で、コレクション毎に斬新なテ
ーマを提出し、世界の女性を魅了した。74年秋のシーズンから、本拠地をマルソー通
りに移す。「モード界の帝王」とよばれたのはこの時期である。

 80年代末には、ニューヨークのメトロポリタン美術館、パリの衣装芸術美術館など
で作品を集大成した「サンローラン展」が催された。90年春夏のプレタポルテでは、
片方の乳房が露わなドレスを発表し話題となった。

 サンローランは、さほど独創的なモードの創造者というわけではないが、黒やくすん
だ色の使い方が上手く、パンチの効いたタッチと着せ方に特徴がある。このクチュリエ
が人気を博するのは、この点だ。また、モード史からみたサンローランの醍醐味は、伝
統的なエレガンスの観念に代えて、モードの大衆化時代に相応しい「魅惑(シャルム)
」というイメージを導入した点にある。また、デザイナーとしての器用さや広がりが大
きく、演劇、バレエのコスチュームを手がけたり、ジジ・ジャンメール、カトリ−ヌ・
ドヌーブたちの服を、ステージ用の服装からプライベート衣装まで作製した。

 さて、ここ数年間のサンローランのメゾンはあわただしかった。イヴ・サンローラン
社がグッチ社に買収されたのを受け、プレタポルテ部門であるリヴ・ゴーシュのデザイ
ナーは、アルベール・エルバスを経て、2001年からトム・フォードが就任。イヴ・
サンローランと、イヴ・サンローラン・オート・クチュールの間に資本関係はなくなっ
たものの、同じ経営意志をもって経営にあたることとなり、オートクチュール部門はサ
ンローラン本人が担当。グッチは、イヴ・サンローランのライセンスの大半を更新せず
に経営体質の改善を図ることとなった。

 現在は、トム・フォードが「イヴ・サンローラン・リヴ・ゴーシュ」と「YSLボーテ」
のクリエイティブ・ディレクター兼チーフ・デザイナーを担当。オートクチュール部門
は閉鎖し、以後はリヴ・ゴーシュのみの展開となっている。しかし、トム・フォードは
2004年の春にグッチとの契約が切れるため、退任することが決定している。

 最後のオート・クチュリエといわれたサンローランは、58年にニーマン・マーカス
賞を受賞。2002年1月22日に行われた、パリ・オートクチュール・コレクション
で引退した。

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【公式サイト】http://www.ysl.com/

【関連ページ】
・日本ファッション史(4)高度成長期:合成繊維時代
 ├シネ・モードからパリ・コレクションへ
 │ ../history/01d.html#4a
 └キャンペーンと消費者の意識革命
   ../history/01d.html#4c

【関連用語・作品】
・YSL Rive Gauche(Fall Winter 2003)
 http://www.vogue.co.jp/collection/fw03rtw/paris/index.jsp?designer=YSL+Rive+Gauche

【その他の関連ニュース】
・イヴ・サンローラン氏、引退の理由は業界への嫌悪感 (ロイター)
 http://www.geocities.co.jp/Milano-Cat/2188/special02.html
・グッチの看板デザイナー、トム・フォード氏が退任へ
 http://news.goo.ne.jp/news/reuters/geino/20031105/JAPAN-129564.html
・A NEW GUCCI ERA --- グッチの新時代(英文)
 http://www.vogue.co.uk/vogue_daily/story/story.asp?stid=13510&date=&sid=

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【編集後記】

 本日は、サンローランを取り上げてみました。ディオールの弟子だった面、優雅さの
概念を打ち壊した面、グッチに買収された引退間際の経緯など、振り返ってみれば、2
0世紀後半のモード界の具体的な展開は、サンローラン自身の動向に体現されていると
いっても、過言ではないでしょう。

 個人的には、薄茶色の地図を描いたバッグが印象に残っています。10数年前の恋人
が持っていたそのバッグ。初めてそれをみたとき、大海を渡る船のように、どこかゆっ
たりとした、かつ雄大な気分になったものです。しかし、航海途中でコンパスを落とし
てしまったか、1年弱の短い悲恋に終わってしまって、今でも苦笑い。

 さて、明日からの3連休、「ファッション用語〜1日1個」はお休みさせていただき
ます。来週からは、デザイナーだけでなく、ファッションの基本的な用語やモデルにも
目を向けて、大きめのトピックから個人の略歴まで、幅広く取り扱っていきたいと考え
ています。

 連休の間というわけではありませんが、このメールマガジンのご感想など、どしどし
お寄せいただければと思います。取り上げてほしいデザイナーやモデルがいましたら、
メールでも掲示板でも構いませんので仰ってくださいね。既に何名かの方にご希望を寄
せていただいております。できるかぎり早く反映させていきたいと思います。

 それでは、みなさま、よい連休を♪

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[マガジン名]ファッション用語〜1日1個
[マガジンID]0000121007
[発行周期]一日一回 
[発行者]モードの世紀 ../
[発行者メールアドレス]staff@../


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