ロング・テール : シンガー社製ミシンの製品構成から

色んなミシンを製品種別にみると、一つ、不思議な現象 ロング・テール / The Long Tail を見つけることができます。ここでは、2000年代半ばに注目されたクリス・アンダーソンのロング・テール現象をシンガー社製ミシンの製品構成から確認します。

全体像からみた ロング・テール

次の図は、1900年のシンガー社の製品構成です。厳密には同年に生産すると予定された機種と台数です。年間254,000台を予定された28kから順に、生産予定台数の多い機種順でグラフを作ると、次のようになります。

ロング・テール シンガー ミシン
ロング・テール via SINGER SEWING CO. 詳細は『ミシンと衣服の経済史』思文閣出版、2014年、37頁

台数降順に並べたグラフですので、右下がりになるのは当然で、この図だけでもロング・テールを確認できます。機種44k辺りで既に数値が分かりにくくなっています。

少数機種からみた ロング・テール

そこで、クリス・アンダーソンの指摘するように少数だけを大きくしてみますと、次の図になります。機種27-4から最小の機種43までを取り上げます。

ロング・テール シンガー ミシン
ロング・テール via SINGER SEWING CO. 詳細は『ミシンと衣服の経済史』思文閣出版、2014年、37頁

少数の機種だけを取り上げても、1つ目のグラフとあまり変わらない右下がりのグラフが当然出現し、ここでもロング・テールを確認できます。クリス・アンダーソンの言葉では、「Tails within Tails」(テール内テール)です。この2枚目のグラフのように、生産台数や販売点数が少ない場合でも、機種の種類や販売品種が多ければ、それらの総和も販売戦略の一つとして重視すべきだというのがクリス・アンダーソンのロング・テールの理論になります。

※「Tails within Tails」… Chris Anderson, The Long Tail: Why the Future of Business Is Selling Less of More, Hyperion Books, New York, 2006, p. 140. (to amazon.jp)

結論

彼の言う理論または現象はウェブ書店のAmazonを事例にしたものでした。ここで強調したいのは、ロング・テールがAmazonに始まったものでは無く、120年前のミシン製造販売の計画に既に盛り込まれていたということです。ちょっと悔しいのは、クリス・アンダーソンのような綺麗な曲線にはならないということですが、彼は100万点近い製品種をグラフ化したので、まぁ、仕方ありません…。


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[投稿日]2017/06/07