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館報「としょかん」78号

館報「としょかん」78号に、エッセイ風の読書案内「私とはどこか─西には何があるか」を書きました。

http://www.osaka-ue.ac.jp/tosyokan/kanpo/kanpo78.pdf (クリックをすると、別窓が開きます)

【お勧め書籍】のみ、以下に書いておきます。本文は現物を入手されるか、上記からダウンロードまたは閲覧してください。8ページから10ページに載っています。

①奈良盆地西部に広がる山々
この山々にまつわる古代神話を蘇らせた小説に、折口信夫『死者の書』(『ちくま日本文学全集 折口信夫』、筑摩書房、1993年、所収)[請求記号:918.6/Ti243/59]、盆地を挟む東西の山々と古代宗教との関連を突いた研究に、吉野裕子『日本古代呪術』(大和書房、1994年)がある。

②丸山昇『上海物語─国際都市上海と日中文化人』講談社学術文庫、2004年[請求記号:G1293/222.21]
19世紀半ば以後の1世紀を対象に、上海で活躍した日中文化人の交錯を活写した。

林京子「老大婆の路地」(『上海・ミッシェルの口紅―林京子中国小説集』講談社文芸文庫、2001年)
他の出版社の文庫版・ハードカバー版にも多く収録されている。

石井寛治『日本経済史』第2版、東京大学出版会、1991年[請求記号:332.1/I578]
本書は、日本経済史のオーソドックスな教科書である。石井は、欧米、中国、日本という3地域を何とかバランス良く捉まえようとしている。

岡野玲子『陰陽師』白泉社(2005年の時点で全13巻)
本書は、夢枕獏原作の小説『陰陽師』を元に、岡野が自分で調べたことも反映させたマンガである。絵は耽美的、内容は盛りだくさんで、小説よりも物語の具体性が深い。主人公の安倍晴明が、中国から厖大な学問・技術吸収を行なうことで平安朝を守ろうとした点が如実に分かる。

哈爾浜(ハルピン)
現在、黒竜江省の首都である。19世紀から20世紀前半まで、帝政ロシアや大日本帝国が利権確保のために植民地化させる目標地域の一つであった。そのため異種混合の熱い歴史をもっているが、他方で、中央大街や松花江等の絶景が束の間の安らぎを与えてくれる。キリスト教寺院や仏教寺院が多く、信仰の厚い、控えめで寡黙な街という印象を私はもっている。なお、満鉄経営をはじめとする、大日本帝国によるハルピンの都市計画については、越沢明『哈爾浜の都市計画─1898~1945』総和社、1989年[請求記号:519.8/Ko663]、異種混合地域に紋白蝶を探し求めた旅行記に、島津克弘『哈爾浜のモンシロチョウ』(早稲田出版、2003年)がある。

ヴァルター・ベンヤミン『ベンヤミン著作集10 一方通交路』幅健志・山本雅昭他訳、晶文社、1982年[請求記号:948/cB46/10]
本書は、ロシアの女優アーシャ・ラツィスとの恋愛経験を人生の多様性にまで拡散させた珠玉のエッセイ集である。歴史を構造へ転換させた見事な叙事詩ともいえる。私が恋愛の記憶を「芬凱路」として街路名にしたヒントが、このベンヤミンのエッセイ集に潜む。

答えはないが、考える手段だけは残されている。

  • 「日本とはどこですか」について、網野善彦『「日本」とは何か』講談社、2000年[請求記号:210.1/Nih]
  • 「西洋とはどこですか」について、ジャック・デリダ『他の岬─ヨーロッパと民主主義』高橋哲哉・鵜飼哲訳、みすず書房、1993年[請求記号:135.9/cD43]
  • 「愛とはどこですか」について、マルグリット・デュラス『モデラート・カンタービレ』田中倫郎訳、河出文庫、1985年
  • 「歴史とはどこですか」について、蓮實重彦・山内昌之『20世紀との訣別』岩波書店、1999年[請求記号:204/Has]
  • 以上を勧める。

    なお、図書館報では白黒でした上海の写真2枚のカラー版を載せておきます。クリックすると別窓がポップアップで表示されます。




















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