20061214
前回の復習
(1)「19世紀の首都パリ」 のキーワード
・マリー・アントワネットの香水と入浴習慣→『MAQUIA』集英社、2007年1月号(第27号)。
・ポイントは、フランスの宮廷での豪奢慣習が20世紀に特定階層のものではなくなったということ 。
(2)「20世紀の首都ハリウッド」のキーワード
・映画産業の国際化
(3)神戸居留地と元町中華街(南京町)~華僑の一面(⇒資料編地図)
・19世紀中葉の2度にわたる阿片戦争の結果、大陸在住中国人をはじめ、江戸時代の「4つの口」の一つ長崎在住の中国人も大阪へ移住(川口居留地)、後に神戸元町、南京町の形成へ。
・甲午中日戦争(日清戦争)や日中戦争を介しながらも共生。開港場では、両国民とも、欧米諸国の人々向けの職業(財・サービスの提供)が多かったが、欧米人も窮屈な生活。
(質問)銀価暴落とは?
①銀貨価値の暴落のことで、19世紀東アジア(特に清)で多発。原因は阿片戦争が大きい。
・1816年、イギリスの全権大使が対中国貿易の改善を求め、北京で嘉慶帝に謁見を求めたが「三跪九叩頭(さんききゅうこうとう)」の礼を要求され、これを拒否したために退去。
・1834年、東インド会社の対中国貿易独占権が廃止→イギリス商人の中国貿易従事が自由に(インド産のアヘンと中国産の茶や多額の銀が入手可能に)。
②銀価暴落の構造(一般的な絡繰り)
・上表の2行には時間差があると仮定する。金貨は銀貨と比較するための目安。
・金貨の場合、1枚の価値Aは時間差があっても、2枚が2Aであり、1枚あたりの価値(A)には変化がない。
・銀貨の場合、4倍の枚数に対し、価値は2倍に留まる。つまり、銀貨は2分の1に下落。具体的には、銀貨は今まで3枚で金貨1枚と交換可能だったが、下落後は、6枚で1枚しか交換できなくなった。
③銀価の下落は、銀貨で取引を行なっていた商社・商人や銀行などが所有する銀貨の価値が下落することである。すると、今まで持っていた銀貨で購入できる物の量が減る。
(補説)地図からみる東アジアの海域呼称問題について … 日本国・韓国双方の一貫性なき発想
①日本海…1808年に「韓国(朝鮮)海」 →1892年に「日本海」 が確認。
②東シナ海…基本的に「Chinese Sea」「The sea of China」だが、日本地図では中国海ではない。
③一貫性のない呼称
・「日本海」名称を守るならば、「東シナ海」は「中国海」。
・「シナ」は大日本帝国下で集中的に用いられた中国に対する蔑称であり、これを現在の日本地図に踏襲している以上、日本海は「倭海」とすべき 。
※ダメなのは、日本海呼称問題を考えるとき、東シナ海を含めて問題にしない点 。なお、21世紀に必要な歴史観・東アジア観は、森嶋通夫の論点が説得的 。
生産体制からみた近代日本 の綿糸、綿織物、綿衣料
(1)綿糸…比較的分かりやすい産業革命像 (参考)前回配付資料4ページ(2)、5ページ(3)
①機械制大工業、②少品種大量生産、③過酷な労働者管理・機械管理
(2)綿織物…問屋制と機械制が入り交じる (参考)前回配付資料4ページ(1)②
①機械制中小工業、問屋制、②多品種少量生産、③比較的自由な労働時間・出勤時間
※近世における代表的な縞柄 のサンプルは以下。近代以降もパターンは踏襲・細分化され、色合い・名称も多様化。↓左上から、弁慶島、味噌漉島、大名島、格子島、碁盤島。
※元井能『日本被服文化史』光生館、1968年、76ページ。
※「味噌漉縞」(みそこしじま)は「味噌を漉した竹の笊に似た所からの名称」 。一部太線が入るのが特徴。
(3)綿衣料…かなり複雑。 次回に取り上げる。
①機械制中小企業、問屋制、機械制大工業、②多品種少量生産、③長い労働時間
(4)20世紀末の綿製品…海外発注が圧倒的に増加 → 3段階で様々だが、顕著な例はユニクロ →
①綿糸調達は中華人民共和国、②綿織物調達は地場産業の備後織、③衣料調達は中華人民共和国
※2往復キャッチ・ボールのイメージ。備後国≒現・広島県東部。
19世紀の摂河泉地域(≒大阪府)を中心にした綿業の展開 - 日本の産業革命の例
→前回配付資料4-5ページ
◆お勧め書籍
◎堺屋太一『ブランド大繁盛』NTT出版、2004年。
※トップ・ブランドの名前を付せるだけで価格が数十倍から数百倍程度にまで跳ね上がる日本の状況とトップ・ブランドの実態を暴露した希有な本。本書では、ブランドのオリジナルと模造品といった旧来の対立的な構造が打破されており、オリジナルそのものの品質が、消費者がイメージしているほど高品質のものではない点を事例を交えて力説しており、是非お勧め。
◎青幻社第二編集室編『日本の染織[第二集]縞・格子』青幻社、2004年。
※近世・近代の縞柄・格子柄をカラー写真で集中的に紹介。見流す分にはお勧め。
◎ロジャー・メイソン『顕示的消費の経済学』1998、鈴木信雄・高哲男他訳、名古屋大学出版会、2000年。
※顕示的消費の研究は、少数の人々の特権であると考えたマクロ経済学においても、あるいは、消費行動の結果を重視し、消費行動の動機・方向を軽視したミクロ経済学においても、総じて、経済学誕生の200年間、ほとんど検討されてこなかった。経済学全体の動向としては、計量経済学的分析への傾倒が目立ち、社会的な要因にインセンティブをもつ消費行動は、数量化困難で不合理なものとして、せいぜい脚注で触れられるに過ぎない。本書は、顕示的消費に関する理論を提唱したがために経済学から追放された理論家たちの、その理論的な発展を概念付与の努力に合わせて描く。表紙がお洒落。
◎元井能『日本被服文化史』光生館、1968年。
※近世までの衣服動向がコンパクトにまとめられていて分かりやすい。図版はモノクロだが豊富で特徴的なものを選出。
◎森嶋通夫『なぜ日本は没落するか』岩波書店、1999年。
◎山田登世子『モードの帝国』筑摩書房、1992年。
※フランスを中心にした先進諸国におけるファッションの意味が、以下のような時代変貌を遂げた点を、ロバート・メイプルソープやヘルムート・ニュートンら世界的な写真家たちの作品を紹介しながら辿る。男性の暗さと女性の豪華さ(19世紀)→女性自身のための服装の出現(20世紀、ガブリエルの登場)→男性にも期待されつつあるファッション(20世紀末以後)。ファッションに関連させながら展開されたテーマも面白トピックが多い、ファッションと恋愛、エロス、フェティシズム、写真、トップ・ブランドたちのシャネル真似、等々。
◆お勧めサイト
Perry-Castañeda Library Map Collection - UT Library Online(http://www.lib.utexas.edu/maps/)
※テキサス大学オースティン校(本部)所蔵地図サイト。古今東西の地図が網羅されている。
NationMaster - World Statistics, Country Comparisons(http://www.nationmaster.com/)
※Country comparisons using graphs, maps. Huge database of world statistics. Reference site contains country statistics, maps, flags, graphs and pie charts.
◆鑑賞のポイント…「更紗とプリントドレス展」(~2007年1月16日/神戸ファッション美術館)
①入り口でナポレオンの戴冠式から展示が始まる意味 … なぜ彼か、なぜフランスか? 式典絵画の男女衣服の違いは?
②19世紀フランス貴族女性の服装(ペチコート、クリノリン)… マリー・アントワネットやポンパドゥールたちの衣服の形態や、貴族たちの衣服の変遷は?
③更紗の世界的な分布と傾向 … 更紗の分布はどうなっていて、その分布には、どのような傾向が見出されるか?
④20世紀におけるデザイナーたちの固有名詞とブランドとの関係 …19世紀までにもデザイナー(デザインを行なう人間)は存在したはずなのだが…?
⑤ポケットの意味は? … 20世紀のブランド・デザイナーたちがデザインしたスーツなどにはポケットが多いが、ドレスにないのはなぜか?
⑥カタログの有無 …「更紗今昔物語 - ジャワから世界へ」(展示終了/国立民族学博物館)ではカタログが製作・販売されているが、「更紗とプリントドレス展」ではカタログが販売されていないのはなぜか?
◆試験について
(1)試験範囲…全部。持ち込み可。
(2)試験対策例
・衣服関係中心に、●レベル[か( )レベル]でまとめる練習をする(論述形式で数問出る)。
・授業で重要なキーワードを見直して、覚える(穴埋めで出す予定[は未定])。
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