衣料品関連の法的規制 : 繊維製品の原産国表示

私たちの衣料品には必ず裏に品質表示ラベルが貼り付けられています。品番、綿やポリエステルなどの繊維混合率、製造会社・取扱会社、洗濯方法、原産国(いわゆるMade in ~)等々です。どれほどモード(ファッション)が反抗的、異端的、自由的であろうとも、製品として次のような規制を受けているという点を日本の事例で理解して頂ければ幸いです。

「繊維製品品質表示規程」

繊維製品には、糸、織物などの布、衣服(衣料品)・身の回り品(帽子・鞄・靴など)が含まれます。衣料品などの裏にラベルが付けられている理由は、繊維製品が「家庭用品品質表示法」の対象範囲であり、第2条1に「繊維製品、合成樹脂加工品、電気機械器具及び雑貨工業品」と明記され、品質表示の義務を背負っているからです。そして、この法の説く品質表示の方法を具体的に示したのが「繊維製品品質表示規程」です。

原産国表示

ところが、「家庭用品品質表示法」にも「繊維製品品質表示規程」にも、実は 原産国表示 (メイドイン)は義務付けられていません。原産国表示の法的義務化は、WTOのTBT協定の指定する強制規格に該当し、国際競争力・貿易力を阻害するものだと判断されてきたからです。

JAFIC 一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会のウェブ・ページ
JAFIC 一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会のウェブ・ページ

しかし、この10年間ほど、原産国表示はほぼ全ての衣料品に表示されています。これは、衣料品部門を取り扱う団体の「一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会」が自主的な表示を勧めてきたからです。衣料品は外国語表記の多い部門であり、消費者保護の立場から自主的な原産国表示を行なっています(「原産国表示 – JAFIC 一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会」)。

同協会が2006年3月に発行した「アパレル業界における原産国表示マニュアル」は、「これまで多くのアパレル企業が、個々に策定した原産国定義により原産国表示を行って来ましたが、委員会では、法令順守、消費者保護の立場から業界標準としての指針を検討しこのマニュアルをまとめました」(1頁)とあります。従来は各アパレル企業が個別に原産国を定義し、原産国表示を行なってきたことが分かります。2006年以降、それを統一化しようという方針がこのマニュアルだと考えられます。その背景にはラベル偽装は頻繁に行なわれてきた点が指摘されています。また、1990年代半ばから激化した日本縫製工場の海外移転(特に中国移転)によって、多国籍化された生産工程を把握する・明示する必要に迫られた点も挙げられています。「近年海外からの製品輸入が激増し、生産体制についても多国間に亘るなど、原産国表示の考え方について業界として明確化することが必要」だと同協会は認識しています(前掲ウェブページ)。

同マニュアル5・6頁には「原産国決定の工程」が明示されており、繊維製品に限っていえば、ニット生地から製造した衣料品は編立または縫製、織物生地から製造した衣料品は縫製が、それぞれ原産国となります。また、12頁には「皮革毛皮製品」が参考に挙げられ、革製衣料と毛皮衣料のいずれもが原産国決定の工程を縫製と指定しています。

同協会はこのマニュアル作成にあたり、繊維業界の参加27団体に対し、次の行動を促進しています。

  1. 法令の遵守
  2. 原産国表示の推進
  3. 原産国表示にあたってのマニュアルの整備

参加27団体は次の通りです。

㈳日本アパレル産業協会、日本被服工業組合連合会、日本輸出縫製品工業協同組合連合会、日本アパレルソーイング工業組合連合会、日本布帛製品工業組合連合会、全日本婦人子供服工業組合連合会、㈳日本ボディファッション協会、日本毛織物等工業組合連合会、日本絹人繊織物工業組合連合会、日本綿スフ織物工業組合連合会、日本織物中央卸商業組合連合会、日本タオル工業組合連合会、日本タオル卸商連合会、日本毛布工業組合、㈳日本インテリアファブリックス協会、日本ふとん製造協同組合、㈳日本フェルト協会、日本テントシート工業組合連合会、日本ニット工業組合連合会、日本ニット中央卸商業組合連合会、日本靴下工業組合連合会、日本手袋工業組合、日本繊維輸入組合、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会、㈳日本専門店協会、日本繊維産業連盟。


この記事の面白かった所や分かりにくい所を教えて下さい!

[投稿日]2017/03/27
[更新日]2017/05/24