Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!

花様年華 : 映画の概要・特徴・旗袍

広告

花様年華

花様年華 in the mood for love は中国・香港の映画監督王家衛(ウォン・カーウァイ)の作品で、2000年に公開されました。主演女優と助演女優は、合わせて20着を超える旗袍を着たことで話題を呼びました。除幕をはじめ、濃厚な赤色はこの映画の一つの主題です。途中で主演女優が赤のコートを着ていました。主演俳優と逢瀬を続ける密会場所へは赤のカーテンが並んだ廊下を歩きました。原作は、短編を得意とする香港の小説家ラウ・イーチョン(劉以鬯 Liu Yichang)の『對倒』。美術・衣装担当は張叔平(ウィリアム・チャン)、カメラ撮影はChristopher Doyle(クリストファー・ドイル)。

ウォン・カーウァイ『花様年華』(王家衛『花樣年華』/Wong Kar-wai, in the mood for love
ウォン・カーウァイ『花様年華』(王家衛『花樣年華』/Wong Kar-wai, in the mood for love

ウォン・カーウァイ『花様年華』(王家衛『花樣年華』/Wong Kar-wai, in the mood for love (c) 2000 by Block 2 Pictures Inc.

花様年華の題名と意味

映画の題名『花樣年華』は中国語で、日本語は『花様年華』。花様年華は植物の模様が徐々に変化し、じっくりと時間をかけて満開になった様子を意味し、花と人生(年華)をかけた言葉です。人や人生そのものにも適用されるこの用語は必ずしも美しい状態だけを指すのではなく、時には格子柄、時には流線型など、美醜をともに含んだ「模様の歳月」というべき様態を表します。舞台は1960年代の香港。映画では1920年代上海の歌手周璇の歌「花樣的年華」も挿入され、60年代香港が20年代上海を回顧する場面が垣間見られます。

物語

隣人となった男女が会話を重ねていくうちに、配偶者同士が不倫関係にあることを知り動揺します。互いに慰めるために、作家志望の新聞記者男性は自分の脚本を使って隣人女性に演技の練習をさせ、それが密会の口実となっていきます。自分たちも同じように不倫ができるかを自問自答しながら、演技の練習が続きます。

本の貸借を通じた関係の始まり
本の貸借を通じた関係の始まり

本の貸借を通じた関係の始まり (c) 2000 by Block 2 Pictures Inc.

最終的に二人は不倫関係にならず、作家志望の男性はシンガポールへ渡り記者の仕事を続けます。その後、「誰にも言えない秘密は木に穴を掘ってそこへ囁き、土で埋めろ」という言い伝えに従い、カンボジアのアンコールワットへ行きます。この言い伝えは王監督の次作品『2046』に引き継がれました。王監督と旗袍との関係はこの映画を含め3作品あります(2046、若き仕立屋の恋)。

特徴

クローズアップの手法と音の配置によって官能の気配を存分に出した作品。互いに歩み寄る二人は触れることなく恋情を極限に引き延ばし、禁欲的に着られたスーツとチャイナドレスを伝って臭覚にまでエロスが忍び寄ります。

湿度は匂いを強める
湿度は匂いを強める

湿度は匂いを強める (c) 2000 by Block 2 Pictures Inc.

この作品は、触れ合うということに不自由な二人の官能的な熱情を極限にまで引き出しています。そして、性的描写が皆無に等しいからこそ、作品全体からは濃厚なエロスが匂いたち、強烈に鼻を突いてきます。作品に映し出される映像美も見逃せません。雨の降る音と街角の電灯、皹が目立つ石壁と雨で舞い立つ霧などは、ときどきクローズアップされては、二人の官能劇に戻ります。路上で愛を囁く彼らが家路につけば、再び霧に包まれた石の壁に焦点が合わされ、雨音も大きく引き出されます。官能に支配された二人が残していった強烈な匂いを洗い流しているかのようです。

独特な男女描写

舞台は1960年代中期の香港。互いに配偶者をもちつつ惹かれ合う新聞記者のチャウ・モウワンと社長秘書のスー・リーチェンは、ジリジリと距離を詰めながらも接触できずにいる。自分が相手に惚れていると分かっていても、そして相手が自分に惚れていると気づいていても、それぞれのスーツと旗袍を脱ごうとしない。二人で小説を書くために借りたアパートの一室「2046」号室では連日にわたり逢瀬が繰り返されたが、決してスーツと旗袍が椅子に掛けられることはなかった。

相思相愛を感じても、二人はスーツと旗袍を脱ごうとしない。二人が借りたアパートの一室「2046」号室では逢瀬が繰り返されたが、決してスーツと旗袍が椅子に掛けられることはなかった。
相思相愛を感じても、二人はスーツと旗袍を脱ごうとしない。二人が借りたアパートの一室「2046」号室では逢瀬が繰り返されたが、決してスーツと旗袍が椅子に掛けられることはなかった。

相思相愛を感じても、二人はスーツと旗袍を脱ごうとしない。二人が借りたアパートの一室「2046」号室では逢瀬が繰り返されたが、決してスーツと旗袍が椅子に掛けられることはなかった。王家衛『花様年華』 (c) 2000 by Block 2 Pictures Inc.

この作品は、触れ合うということに不自由な二人の官能的な熱情を極限にまで引き出している。そして、性的描写が皆無に等しいからこそ、作品全体からは濃厚なエロスが匂いたち、強烈に鼻を突いてくるのだ。作品に映し出される映像美も見逃せない。雨の降る音と街角の電灯、皹が目立つ石壁と雨で舞い立つ霧などは、ときどきクローズアップされては、二人の官能劇に戻る。路上で愛を囁く彼らが家路につけば、再び霧に包まれた石の壁に焦点が合わされ、雨音も大きく引き出される。官能に支配された二人が残していった強烈な匂いを洗い流しているかのように。

花様年華の旗袍

旗袍の出てくる映画を見倒したというデザイナーの中野裕通は『花様年華』で着られた旗袍が他のどんな映画にもまして鮮やかなデザインだと絶賛しています。私の数えた限りでは、主演女優の張曼玉が着たチーパオは22着でした。

心のように暗い部屋で旗袍の輪郭と身体の輪郭がくっきりする
心のように暗い部屋で旗袍の輪郭と身体の輪郭がくっきりする

心のように暗い部屋で旗袍の輪郭と身体の輪郭がくっきりする (c) 2000 by Block 2 Pictures Inc.

映画の物語が非常に禁欲的なものであり、高い立領(たてえり)で緊密性の強いシルエットの旗袍が合致しています。ファッション的にもこの映画の人気は高いです。『花様年華』の批評の中でこの点に言及したものを一つ紹介しますと、マギー・チャン(張曼玉 / Maggie Cheung)演じる蘇麗珍(Su LiZhen)の冷たさと熱さが相まって、相方の新聞記者に対してサディスティックにふるまっていると指摘したエッセイがあります。この映画の旗袍は首と乳房を覆っていますが、横のスリットを通して太腿が垣間見えます。言い換えれば女性は控えめであり魅惑的です(Stephen Teo, “WONG KAR-WAI”, Britsh Film Institute, 2005, p.123)。

スタッフ

  • 美術指導 : 張叔平 William Chang
  • 美術助理 : 邱偉明 Alfred Yau 、劉世運 Olympic Lau Saiwan、許懷志 Xu Huai-Zhi
  • 化粧 : 盧瑞蓮、曾明輝
  • 服装 : 陸霞芳 Luk Ha Fong
  • 髪型 : 李権

映画評

  • Shelly Kraicer, “Time Blossoms, Time Fades”
  • 地畑寧子「花様年華―ウォン・カーウァイの新たなる飛躍―」フールズメイト12月号増刊 FOOL’S MATE SPECIAL ISSUE[fai](ファイ) Vol.7、2000年12月、頁番号不明(3頁分)
  • 中野裕通「香港映画でこんなきらびやかなチャイナ服を見たのは初めてでした」小倉エージ編『ウォン・カーウァイ』キネマ旬報社、2001年
  • 原田小百合「『花様年華』でマギー・チャンの着こなしたチャイナドレスを十倍楽しく鑑賞するには」小倉エージ編『ウォン・カーウァイ』キネマ旬報社、2001年

映画特集

  • 「新世紀と『花様年華』とウォン・カーウァイ」ピクトアップ第8号、2000年12月、32~57頁。

関連リンク

  • 「花様年華」公式サイト – 英語・中国語・朝鮮語・日本語対応。サイト全体が周慕雲や蘇麗珍たちの暮らしたアパートになっていて、周慕雲の部屋、蘇麗珍の部屋、食堂、麻雀部屋などに別れている。各部屋には、映画の基本データ、王家衛たちの語録がある他、蘇麗珍たちの取った食事一覧など、マニアックな情報もある。梁朝偉、張曼玉以外のキャストも紹介している。
  • 「花様年華」のチャイナドレス – 『花様年華』で張曼玉が着た旗袍を中心に紹介。「花様年華」など映画タイトルの意味や簡単な作品紹介、張曼玉の撮影裏話、旗袍の登場する回数、時間帯など。