香港の回顧的身体 : 映画『花様年華』から

この映画『花様年華』で蘇麗珍を演じた張曼玉は一つの確固たる役割を作りました。この作品は1920年代上海を60年代香港に再現したものですが、蘇麗珍という登場人物、張曼玉という女優、長衫(旗袍)という衣装によって、その時間と空間の移動が実現しました。YESASIA: YumCha! – Maggie Cheung – Taking Chinese Modernity to the West – Feature Articleは張曼玉(Maggie Cheung)の女優経歴を述べたコラムです。以下ではこのコラムの『花様年華』部分を訳し、『花様年華』の再現について私見も交えました。

王家衛『花様年華』 (c) 2000 by Block 2 Pictures Inc.
王家衛『花様年華』 (c) 2000 by Block 2 Pictures Inc.

『花様年華』は1962年香港を舞台にしたものです。新聞記者の周慕雲(梁朝偉/Tony Leung Chiu-wai飾) と海運業者秘書の蘇麗珍(Su Lizhen/張曼玉飾)の2人の主人公が同じ日に香港のアパートの隣室に引っ越しました。彼らは、1949年の共産主義者たちの接収のために本土を離れた他の移住上海人たちに加わりました。毎晩、2人は同じ階段を降りて夕食のために麺を買いに行き、、その時擦れ違ってもお互いのことをほとんど認識しませんでした。最終的に、彼らは自分の配偶者が不倫関係にあることに気づき、恋に落ち始めながらも、自分たち自身の出来事に抵抗します。

王家衛『花様年華』 (c) 2000 by Block 2 Pictures Inc.
王家衛『花様年華』 (c) 2000 by Block 2 Pictures Inc.

張曼玉の着る長衫(cheongsam)、文字通り長いガウンを意味し、丈の長いきつい密着性をもち、大きな領と長いスリットのある伝統的な中国のドレスを指し、これががたくさん映画に登場します。シェリー・クレイサー(Shelly Kraicer)は次のように書いています、「張曼玉は身体を表現力のある楽器として使うことができ、それはの顔を使う時と同じ。彼女の姿勢、歩くタイミング、戸枠を撫でる仕草が全て深く触覚的な世界を醸し出す」(Shelly Kraicer, “Time Blossoms, Time Fades”)。この映画では、センター・ステージのように、長衫が進歩的な中国人女性を表現し、1920年代と30年代にみられた近代中国の女性性と優雅さのとして露呈しています。

王家衛『花様年華』 (c) 2000 by Block 2 Pictures Inc.
王家衛『花様年華』 (c) 2000 by Block 2 Pictures Inc.

私が言及したこの映画で、過去から再現した「現代の」時代と映像に映る人物として張曼玉は登場します。時代を超えて香港の現代性が出現する回顧的(ノスタルジア)の痕跡として彼女は機能しています。しかし、将来どのような役割を担うことになろうとも、彼女は既に国内外で献身的な観客を築いたと私たちは確信しています。映画では普通、歴史の再現を現代から過去の1点に向けて行ないますが、この作品のように映画公開の2000年(現代)から1960年代に向けるだけでなく、1920年代から60年代に継承された点、60年代から20年代を回顧する点の2点が時間と空間を交錯させることで行なっています。従って、回顧的な映画であると同時に懐古的な映画ともなっている訳です。

参考記事

YESASIA: YumCha! – Maggie Cheung – Taking Chinese Modernity to the West – Feature Article

※長衫(Cheongsam)とは旗袍(Qipao)のことで、よく英語ではこのように表現されます。


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[投稿日]2017/02/01
[更新日]2017/05/05