ヒップ・ハンガー:hip hanger
股上の浅いパンツの総称。ヒップに引っかけて穿く感じからヒップ・ハンガーと呼ばれる。ポイントは、ウェストで締めない点。
起源は恐らく1920年代、複数のアイテムにまたがった大流行は60年代、以後断続的にブームとなっている。
ヒップハンガーには、ウェストよりも下という意味では別名が多い。列挙すると、ヒップボーン、ローライズ、ローウェスト。
ハイウェスト→ローウェスト→ヒップハンガーという順で股上が浅くなると考えていいが、かといって後者2つの間に厳密な違いがある訳ではない。
腰骨(ヒップ・ボーン)に引っかけて穿くイメージを強調するならヒップボーン。また股上(ライズ)が浅いことを強調するならローライズ。また、60~70年代の若者向きのパンツとして流行した際、ローライザーともいわれた(=ローライズ・パンツ)。この場合、股上の高いもの(深いもの)を対照的にハイライザーと呼ぶ。
したがって、浅い股上を強調するローライズの場合はスカートには適用されない。しかし、ローウェストについては、スカートとパンツ双方に使うことができる。
なお、60年代に出版された辞書によると、ローライズといった場合、ローライズ・スラックスが念頭におかれている。また、ヒップハングのニュアンスでは、スカートとスラックスが代表的。当時の基本は腰にピッタリとフィットするように裁断され、腰骨に当たる位置にカーブした幅広のベルト(ヒップボーン・ベルト)を付けるケースが多かった。なお、フィットした上衣もポイントとなるため、60年代に初めて「ボディ・コンシャス」という用語も使われることになる。
1960年頃までは、女性ファッションの重要ポイントはウェストだったが、60年代にはもう一つの重要ポイントとしてヒップが注目されるようになった。ちなみに、ヒップボーン・ジャケットというのは、ヒップボーンを隠すほどの丈の長いジャケットのことをいう。さらに60年代にはパンタロンと呼ばれる裾広がりのベルボトム・パンツも流行ったが、これも通常のウェスト位置ではなく、腰骨の位置で股上が切られていた。
1966年頃から、ヒップボーン・スカート、ヒップボーン・スラックスなど、腰骨に引っかけて着用する新しいスカートやスラックスが登場。従来のローウェストとは異なったモダンな感覚が表現された。当時のヒップボーン・スラックスは、遊び着やスポーティな衣服として利用され、ぴったりしたシャツなどとともに用いられた(身体が細く見える)。
特にヒップボーン・スカート(ヒップハンガー・スカート)は、ミニスカート全盛と同時に流行。これはミニスカートをさらにミニに見せるために使われた。下からの丈だけでなく、上からの丈も短くする発想だ。
ヒップハンガー、ヒップボーン、ローウェスト、ローライズで表わされるアイテムを着用するメリットは胴が長く見えるために細身の印象を与えること。しかし、胴部の分量、スカートやズボンの分量、あるいは脚の長さとの釣り合い(プロポーション)を考えていないと不格好になる。
ヒップハンガーの起源については習慣的なものがあって難しいが、少なくともローウェスト・ドレス(ウェストが低いというイメージ。腰に引っかけたかどうかは不詳)が最初に流行したのは1920年代のこと。以後、60年代のミニスカートとのマッチング、90年代後半からのヒップハングの流行(ショーツも含む)など、断続的にブームとなってきた。
1989年春夏に、マルティーヌ・シットボン、ジャンポール・ゴルチエ、カール・ラガーフェルドらが提案したヒップボーンは、93年春夏にも強い70年代ムードの復活とともに人気を呼んだ。
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