ベロア:velour
表記上、ヴェロアとも。
起毛を特徴にした生地の一つだが、大きく3つの意味がある。織物としては、製織前にパイルカットした場合(1)と、製織後に縮絨仕上げをした場合(2)の2つがあり、その他、ベロア調の編物もベロアとよばれる。いずれも、梳毛糸か紡毛糸を使うが、綿糸やレーヨン、アセテートなども使われてきた。
- プラッシュと同義で、パイルカットして長い毛羽を表面に出した織物。ベルベットよりも毛羽が長く、厚みがある。経毛、添毛織の二重ビロード織りで織る。毛羽を不規則な形に毛状したものをクラッシュド・ベロアとよぶ。ドレス、コート、婦人帽、パフなどに使われる。
- 繻子織や綾織で製織した後、ベロア仕上げにした紡毛織物。柔らかくふっくらした手触りで、ドレスやコート地に使われる。ベロア仕上げとは、紡毛織物の仕上げ方法の一種。縮絨(しゅくじゅう)と起毛を表裏両面に施し、立てた毛羽を刈り揃えてビロードに似たソフトでしなやかな風合いに仕上げる。ベルベット仕上げともよばれ、コート地や帽子などに用いられる。
- プラッシュ編のパイルカットを施し、短いビロードのような毛羽を立たせた編物で、ニット・ベロアとよばれることもある。
特に、(2)で触れたベロア仕上げをさらに詳しくみると、毛羽が密に表面を覆い、織目が全くみえないという特徴をもっている。別名ソフト仕上げともいわれ、毛羽自体は柔らかく、直立していて方向性がない。毛足は短めで、生地風合いがしなやかでソフト。縮絨は、25~30%程度で、ビーバー仕上げよりも少ない。縮絨後は、起毛・剪毛・刷毛掛けして仕上げる。ベロアの他、数多くの紡毛婦人服地に活用される仕上げ法である。毛羽を特に直立させる仕上げは、モス仕上げとよばれる。また、毛布やフランネルのベロア仕上げは、ブランケット仕上げや毛布仕上げ等ともよばれる。
なお、皮革製品でいうベロアとは、ブルやカウなど、肉の厚い牛革の裏面を起毛したもの。毛足が長く、スポーティな感覚の靴、ベルト、鞄などに使われる。「子羊の柔らかい鞣革」の商標名には大文字で始まる「Velours」が使われ、フランス語でベルールといい、意味はビロードである。
また、ベロア・カーペットは、地が密で、表面が平らなカット・パイルのカーペットのこと。ベロアの風合いをもっているので、このようによばれる。
