昨日買った本など・・・。
◆安達誠司『脱デフレの歴史分析 - 政策レジーム転換でたどる近代日本』藤原書店、2006年
◆泰郷次郎『私的ブランド論 - ルイ・ヴィトンと出会って』日本経済新聞社、2006年
◆山本有造『「満州国」経済史研究』名古屋大学出版会、2003年
◆デヴィッド・ハーヴェイ『パリ - モダニティの首都』大城直樹・遠城明雄訳、青土社、2006年
◆八田達夫編『都心回帰の経済学 - 集積の利益の実証分析』日本経済新聞社、2006年
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◆安達誠司『脱デフレの歴史分析 - 政策レジーム転換でたどる近代日本』藤原書店、2006年
1冊目の著者は、ドイツ証券会社経済調査部シニアエコノミスト。証券に拘る人物が徹底した歴史分析を行なうのは比較的少ないケースでは無かろうか。しかも、単に現代的な経済学的手法を敷衍し歴史事例に当てはめるだけではなく、城山三郎『男子の本懐』といった、戦前の小説における政治と経済にまで踏み込み、「為替レート」という世界経済上の枠組み(キャンバスともいえる)の元で、日本が「近代の超克」をどのように実現し、大東亜共栄圏へと暴走していったのかを緻密に分析している。そして、当時の経済政策担当者たちが西欧資本主義的政策を誤り続けた点を指摘することで、現代の日本経済が抱える問題への取組み方を示唆してくれる。(第1回河上肇賞受賞)
◆泰郷次郎『私的ブランド論 - ルイ・ヴィトンと出会って』日本経済新聞社、2006年
2冊目は、今やカジュアル・ブランドと成り下がってしまったルイ・ヴィトンの日本国内での経営戦略。著者はルイ・ヴィトン・ジャパンの代表取締役等々、同系列の社長や会長等を経て、現在はクリスチャン・ディオール等の会長に就任している。立場上仕方がない面もあるが、日本人が品質にこだわるといった賛同しがたい分析があったり(別窓参考:ブランド品を持っていい人、悪い人 - 英国上流夫人のみた日本人)、商品を買わない理由を作らない等のカジュアルブランド・ヴィトンらしい発言があったり、やや閉口する箇所も多いが、ヴィトン社やそのグループの運営にに対する泰の要求等は語録として読むに値する。
◆山本有造『「満州国」経済史研究』名古屋大学出版会、2003年
3冊目、山本有造の経済史研究は、私自身がもっと先になってから、衣料品の普及と植民地というテーマで、いずれ着手したい意味で買った。山本は京都大学名誉教授で、帝国・植民地をターゲットに経済史畑で精力的なデータベース作成と経済分析を行なってきた大御所。本書の主なテーマは、「満州国」(現在では旧満州と呼ぶ)の生産力分析と、日満貿易、そして南満州鉄道の展開ということになる。以前から気になっていたが、今年後半に、一度、黒竜江省の哈爾浜や斉斉哈爾を訪ねるつもりなので、その前置きとして勉強しておきたい。
◆デヴィッド・ハーヴェイ『パリ - モダニティの首都』大城直樹・遠城明雄訳、青土社、2006年
4冊目のハーヴェイはアメリカのマルクス主義経済地理学の筆頭。本書は、近代を産みだし断絶の神話を作ったとされるパリ・コミューンを中心に、断絶がどのような連続のなかで実現したかを、経済・社会・地理・都市計画・文学・芸術という種々の食材を利用して検証した力作である。例えば、パリの中心部の破壊について、169ページにそれを象徴する写真(図46)を掲げる一方で、175ページのグラフ(図48)では、19世紀中葉のパリにおける新しい建築物から不動産税基盤が上昇したデータと破壊による損失を計上したデータをグラフ化している。当時ダゲールに代表される写真技術の台頭という背景の元で、写真(や絵画)と統計データを共存させた本という点、人文科学と社会科学の融合という意味で、夢のような本といえば大げさか・・・。もっとも、著者は経済地理学者である点、文学を論じる手法に荒さが目立つという指摘もあろうが、パリを当然フランスの首都とせずに、近代の首都として捉えた観点に評価を出したいところ。当然、ヴァルター・ベンヤミンの「パリ - 19世紀の首都」という論文を念頭に置いているのは言うまでも無かろう。それにしても、図46、破壊と掘っ立て小屋の共存、今の上海とかなりかぶっている。
◆八田達夫編『都心回帰の経済学 - 集積の利益の実証分析』日本経済新聞社、2006年
5冊目、都市におけるドーナツ化現象以後の時代に、ヒト・モノ・カネが都市集中を再開した点を実証し、その意味を積極的に評価した研究。私自身は、モノ・カネの「分散」に注目してきたが、逆に其の弊害を本書では説いており、集中こそ日本経済の原動力と断言する点、反面教師として学ばせて貰うつもり。
この日記の追記
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