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『新ドイツ零年』

2006年02月03日(金) 01:29

どうも雨が連日降っていたので、気分が優れず、引き締まった映画を見ようと思って、見ずに数本溜まっているゴダールのDVDを1本見た。タイトルからして重そうな感じだったのでこれを選んだだけだけど。

90年の壁崩壊をきっかけに、孤独な男性老人が歴史、時間、孤独を背負った小さな旅に出る。彼は随所で尋ねる「西洋はどちらですか?」

『新ドイツ零年』は、ゴダールの映画では珍しく愛が本題にはなっていない映画で、愛に関する場面はただ一つ。その一つが、ドンピシャなナレーションで流れていた。

ゴダールだから映像の随所に難解な文章が挿入されているが、少し気になった話がいくつかあったので、感想をあれこれ書いてみよう。

(1)民族の現実が断絶している時、哲学が現れる。哲学のない時期は、現実が堕落している過程である。

(2)現実の断絶があるからこそ、哲学によって現実を乗り越える可能性が生じる。それは「逃避」でもあるが、逃避するから現実の断絶を埋めることができる。

(3)自然の神々は私たちを守る。女を愛するとき、私は宗教を実践しているのだ。

(3)は見事だと思った。男女平等というのは権利に関わる用語であって、愛に関する言葉ではない。愛は差別的で、宗教的でもあるように思う。

神の庇護、神への接近、これが愛の原点なのは当然といえば当然だが、それは芸術作品に近づく批評家の態度そのものだとはベンヤミンも言っていた。作品を優しく愛でる態度が批評には必要ということだろう。キャンバスに描かれた絵にナイフを突き刺すようなことはしたくない。でも精神で突き刺す威力は持っていたい。



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