カットソー : cut & sewn

カットソー とはニット生地で作られた衣類の内、裁縫工程(裁断・縫製)を経て作られた衣類のことです。単に《cutしてからsewした衣類》ということではありません。裁断・縫製(cutting & sewing)が当たり前の織物製衣類には使わず、ニット素材の衣類のみを指す言葉です。稀に皮革・合成皮革を生地とした衣料品をカットソーと呼ぶ場合もありますが、あくまでもニット生地製の裁断縫製済み衣類が中心です。

下図で示した赤色の枠に区分されるのがカットソーの衣類です。

カットソー の位置 (c)モードの世紀
カットソーの位置 (c)モードの世紀

ニットは成形編と生地編の2種類に分かれます。前者は少数の糸を編み上げて(生地の段階を経ずに)セーターや帽子などの衣類になり、後者はニット生地から裁断・縫製を経て衣類になります。ニット生地(編物生地)は織物生地と異なり、伸縮性が強いために裁断が難しく、そのため、カットソーは「ニット生地を裁断・縫製した」という点を強調する言葉になっています。これまでカット・アンド・ソー(cut and sew)やカット・アンド・ソーン(cut and sewn)とも呼ばれてきましたが、後述するように、2000年頃から業界ではカットソーで定着しています。

カットソーの衣類の代表的な物には、スエット上下、Tシャツ、ポロシャツ、セーター、パーカー、カーディガン等が挙げられます。20世紀後半からニット技術が急進展し、ニット衣類の相当範囲が拡大したため、多くのニット衣類にカットソーという言葉が当てはめられるようになりました。今までは多くが織物生地や皮革生地で作られていた、ジャケット(スーツ)、コート、チュニック、ズボン(パンツ)、スカート等です。ニット系衣料品が織物系衣料品の代替になってきた急速な展開はしばしば服飾用語を混乱させます。スーツにニット素材(ジャージー素材)が導入された近年の状況について日本経済新聞社から電話取材を受けたことがあります。こちらに掲載されているのでご参照ください(これも「ジャージー」? 体操着がスーツになるまで|働き方・社会貢献|NIKKEI STYLE;日本経済新聞電子版「ことばオンライン」2015年1月)。

なお、衣類の着用習慣と用語の関係を見ますと、だいたい、メリヤスはインナー、ジャージーはアウター、両方の総称がニットです。日本の衣服産業(アパレル産業)の展開から見ますと、ニット衣類の製品化は戦前に下着、肌着、靴下、ストッキング、戦後にアウターという流れになります。したがって、戦前の業界用語はメリヤス、戦後のそれはジャージーまたはニットが主流です。

辞書に見る カットソー の有無

最後に、「カットソー」用語が登場する辞書を年代別に確認しますと「カットソー」関連用語の普及時期が分かりやすいので、挙げておきます。

「カットソー」関連語未掲載

  • 田中千代『田中千代 服飾事典』同文書院、1969年。新増補版でも未掲載。
  • 文化出版局『服飾事典』1979年

「カットソー」関連語掲載

  • 杉野芳子編『(最新)図解服飾用語事典』鎌倉書房、1986年
    「カット・アンド・ソーン」(記述内に「カット・アンド・ソー」、「カット・ソー」含む)。改訂第3版も同じ。
  • 文化出版局『ファッション辞典』1999年
    「カット・アンド・ソーン」(記述内に「カットソー」含む)。
  • 山口好文・今井啓子・藤井郁子編『新・実用服飾用語辞典』文化出版局、2000年
    「カット・アンド・ソー」(記述内に「カットソー」含む)。
  • バンタンコミュニケーションズ『新ファッションビジネス基礎用語辞典』増補改訂版、チャネラー、2003年
    「カット・アンド・ソーン」と「カットソー」が独立記載(後者を前者へ誘導する矢印あり)。
  • 邑游作『ファッション新語辞典』繊研出版社、2004年
    「カットソー」のみ。

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[投稿日]2017/01/14
[更新日]2017/05/29