編物と織物
団鬼六監督、谷ナオミ主演の日活SMシリーズ。谷ナオミが着物で縛られるあの「湿度」、、、あれは、織物のなせる技。20歳前後の女の子が浴衣を着ても、谷ナオミの和服には、誰一人として敵わぬのが、その「湿度」、、、。
そもそも、服を作る前に用意されているのは、編地と織地。
編地の場合は、「切って」から「編む」のではなく、編んだ生地なんだろうから(この点調べなきゃ)、編地からすべきことは「編む」だけ。
でも、織地の場合は、「切って」から「縫う」。つまり、裁断してから縫うので、「裁縫」と呼ばれる。
とすれば、編物の場合は「裁縫」と呼ばない。この場合はやはり「編む」しか日本語にはなく、英語ではknit(ニット)という動詞が当てはまる。かつてメリヤスと呼ばれた編物の代表製品は、主に靴下などの肌着や下着に着用されていたもので、今はメリヤスの同義語として、ニット、ないしは、ジャージーと呼ばれるようになった。
戦前の工業統計を見ていると、メリヤスと裁縫品が分かれて計上されている。上で書いたような違いを敷衍すれば、編物と織物が分かれて計上されているということになるが、決定的に違うのは、メリヤスの場合は、編地と衣料品双方をまとめて計上されることにある。裁縫品は、何らかの原料を用いて作られた織地は、「繊維製品」として別の箇所に計上される。
つまり、日本の工業統計では、織物の(意識的な)比重が大きく、メリヤスはやや雑多に捉えられていた印象を受ける。
そして、裁縫品は、メリヤス以上に雑多な把握がされていたようで、「繊維製品」(棉花、生糸、綿布、絹布等々)が各種統計書の必ず先頭に登載されるのに対し、裁縫品は、巻末の「雑業」に記載されることが多い。
これこそ、近代日本における「過渡的錯綜」(マルクス)と呼ばれた服飾品部門の内実である。
編物と織物をまとめると以下の通り。
編物…1本以上の糸をループ状にしてリンクさせ続け、スペースを作ることによって、伸縮性を上げる。これで通気性が増す。
織物…1本毎に糸を直角に交差させ、経糸・緯糸の密着度を強め、伸縮性を下げる。これで通気性が減る。
両者とも、原料糸は様々で、共通している。これが最近分かったことで、ちと痛い、、、。明治以後に流行ったメリヤスは、てっきり合繊だけで作られていると思っていた・・・。
絹糸、綿糸、(麻糸、)毛糸、化合繊(人絹含む)、等々。
それにしてもまぁ、製法による分類は分かりにくい。だからこそ、紐解きたくなる欲望に駆られるのだが、、、。
といっても、谷ナオミを紐解くのは、とっても勿体ないことだ、、、。
