陳数の旗袍:『新・上海グランド』全体の印象

ガオ・シーシー監督のドラマ『新・上海グランド』(高希希『新上海灘』)のDVD全14巻(全42話)を7日間で見終えました。肩がパンパン、目がショボショボして、やや吐き気…(苦笑)。

1930年代の上海(特に外灘・南京路周辺)を舞台に、マフィア、商人、政治家たちを取り巻く人間模様。そこに、いかにも現代風な恋愛が複数が絡みます。細かい時期は、日中戦争勃発前で、中国東北部を日本軍が支配しているとの節がドラマにあるので、だいたい1935年頃かと思われます。

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ガオ・シィシィ『新・上海グランド』(高希希『新上海灘』, Gao Xixi, Shang Hai Bund) (c) 北京天中映画文化芸術有限公司

2006年頃に中国で放映されて、日本では2008年にテレビ東京系列で放映されたらしいですが、知りませんでした。チョウ・ユンファ(周潤發)のバージョンのリメイク版とのことで、周潤發版を何とか手に入れて、いずれ比較したいですが、ひとまず、このサイトでは、衣服(特に旗袍と着物)に限定して歴史の再現力の低さを少しずつ書いていきます。やっぱり、どこでもドラマはダメです、映画じゃないと(かといって映画だと良いという訳ではありませんけど)。

衣服(特に旗袍と着物)の再現性が酷いのは、既にブログ『古装劇場』の「新上海灘」やウィキペディアの「上海グランド – Wikipedia」で軽く指摘されています。ただし、後者(ウィキペディア)の和服の説明にある「甚だしいものでは合わせが逆」というのは間違っていて、このドラマの着物の打合いは合ってますし、旗袍やスーツの考証は無く、全体的にかなり杜撰な記述になっています。

ガオ・シィシィ『新・上海グランド』(高希希『新上海灘』, Gao Xixi, Shang Hai Bund) (c) 北京天中映画文化芸術有限公司

私の印象としては、有名な若手俳優やベテランの年配俳優を多用した半面、やはり費用削減が必須事項となったのか、衣服設計の面で格安さがはっきり分かって少々痛々しい出来栄えになっています。ドラマの時代設定上、色んな洋服・中服・和服が出てきます。洋服はともかく、中服や和服の作りが安っぽく、衣服の形態も着用状況も間違っていることがほとんど。

この記事では着用状況のみ記しますが、次の写真のように旗袍や長衫には民国期以前の名残として綿入のものがあったと仮定しても、後述するように《冬にスーツでコート無し》には説明しにくいものがあります。

ガオ・シィシィ『新・上海グランド』(高希希『新上海灘』, Gao Xixi, Shang Hai Bund) (c) 北京天中映画文化芸術有限公司

もっとも、膨大な人口を抱える上海を舞台にするので、エキストラの数も半端無く、全員に違う衣服を着せるのは大変だということは分かりますが、それでも、綿入または下着・肌着の着込みはともかくとして、冬の外出中に旗袍・長衫やスーツの上にコートを着ていたのは、主人公の許文強、恋人の馮程程、元恋人の方艶蕓、マフィアの馮敬堯、親友の丁力、および他の主要人物くらいでしょうか。かといって馮敬堯の直属ナンバー2の祥さんは長衫だけで、コートはドラマの最後まで着なかったように思います。もちろん、エキストラは旗袍・長衫やスーツのみ。とはいえ、下の写真のように例外もあります。馮程程と親友の汪月祺がコートを着て歩いている隣に、スーツにコートを着た男性が確認できます。

ガオ・シィシィ『新・上海グランド』(高希希『新上海灘』, Gao Xixi, Shang Hai Bund) (c) 北京天中映画文化芸術有限公司

そして、エキストラは、雨の日も雪の日も傘をさしません。ついでに、主人公の許文強が恋人の馮程程と歩く場面、これは酷い…。許文強、今すぐ左手に傘を持ち直し、程程に雪がかからないようにしないと!(実際、しばらくすると雪が多く降ってきて左手に持ち替えますが…)

ガオ・シィシィ『新・上海グランド』(高希希『新上海灘』, Gao Xixi, Shang Hai Bund) (c) 北京天中映画文化芸術有限公司

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