衣服や被服を身につけた装いの歴史をたどった丁寧な本。白黒画像がたくさん収録されている。
衣服の形式、裁縫技術、衣服材料、衣服史、被服史、染織史にも目を配り、社会文化史や生活文化史として服装史を描いている。その上で、衣服を着用する人々の意識をも掘り起こし、物品・製品を中心にした服飾史との区別化も図っている。
内容は、第一章「原始・古代」、第二章「中世」、第三章「近世」、第四章「近代・現代」の4つに分けられ、本文420ページのうち、150ページほどが第一章に割かれているのが特徴で、日本列島の服装が中国から多大な影響を受けていた点をきちんと押さえている。その上で、後代における公家装束、武家装束をはじめ、史料がほとんど残っていない庶民層にまで、説得的な想像力も含めながら丁寧に説明している。
中でも圧巻なのは、中世までの服装の歴史と近世以降の服装の歴史では、大きくベクトルが変わった点を、小袖スタイルの完成とデザイン変化に求めている点で、時代・身分・材料などの変数を入れると複雑多岐にわたる服装史を分かりやすくナビゲートしてくれる。
第四章「近代・現代」はわずか40ページほどが割かれているだけだが、ここの説明も簡潔明瞭で、洋風化が日本の服装の終焉を意味した点を強調し、20世紀末の日本列島における服装の状況を指しながら「ここらが限界だろう」という一句を吐露している点は感慨深いものがある。
高田倭男『服装の歴史』中央公論社、2005年