シャネル 20世紀のスタイル

4579303229.jpg秦早穂子『シャネル 20世紀のスタイル』文化出版局、1990年

なぜシャネル? なぜ現在もシャネルなのだろう? 時代を超えた一人の女の怒りを突き上げ、激しい意識と鋭い視線で照射されるシャネル・スタイルをさぐる。

『ハイファッション』に1年間連載された原稿を土台に、50年代を生きる女性たちに特に憧憬の的となったシャネルのファッションと生涯を詳細に描く。

本書のポイントは、シャネルに尽きることの無かった男性の噂の中でも孤独感に苛まれた点を推測していること。シャネルのブランドとしての成功、デザイナーとしての栄光の陰に、年々、男性たちの保護を受けてきた「従属物」という屈辱的怒りをくみ取り、その感触をデザインに活かせたと筆者は見ている。

過去を破壊して、可能性に賭けたシャネル。自由に生きるために、自らの手でつかみとった富、名声、そして男たち。激しい怒りをもって生きた一生は、ひとつの革命であった。それがシャネルの真実であり、その炎が新しい世紀にふさわしい"永遠のシャネル・スタイル"へとかりたてた。

流行しそうだから、あるいは面白そうだから、こんな服を作ろう、という発想はシャネルになく、流行に引きずられる女性たちをシンプルという貧しげな服の中に押し入れ、消費者である女性たちに過去を断ち切らせる。20世紀が要求する服を押しつけ、彼女たちから金をふんだくり、自らを解放していった様は、「介抱」とでもいえるシャネル自身の自己治療の一環であったのかも知れない。

本書の目次
  • コート・ダジュールの太陽―マリンルック
  • ドーヴィルの自由―ジャージー
  • コンピエーニュの森の恋人たち―マニッシュパンツ
  • "No.5"現代の匂い―香水
  • 復讐のビジュー・ファンテジー―装身具
  • 1925年パリの黒―ブティットドレス
  • 白のワルツの影に―ローブ・デュ・ソワール
  • 沈黙の不死鳥―カムバック
  • 最後の勝利―シャネル・スーツ1
  • 働きつづけるシャネル―シャネル・スーツ2
  • シャネルの死とあとにつづく人たち
  • 20世紀の女

このブログ記事について

このページは、遊民(岩本真一)が2011年8月20日 01:39に書いたブログ記事です。

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