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ブランド大繁盛

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知価堺屋太一『ブランド大繁盛』ビジネスリーダー・シリーズ、NTT出版、2004年。

1980年代以降の日本は、伝統や量産といった従来の経済社会とは異なった段階に達した。この転換を「知価社会」と名づけ、この社会のもとでは、伝統ブランドや大量生産ブランドに代替するブランドが勝ち組への第一歩になると筆者はいう。知価ブランドである。

知価ブランドの摘出と解明に重点をおき、第一部では、歴史、現象、原因、原理の側面からブランド分析と研究成果を示し、実用に役立つブランド戦略を提示している。第二部では、BSフジの番組「ビジネスリーダー」に出演した経営者5名の話を要約して掲載し、ブランド創出を目指す人やベンチャー企業の人に有益なヒントを与えることを目的にしている。

現段階では知価ブランドはたいした成功がみられないが、本書をつうじ、知価ブランドの創造と確立に役立つきっかけが見つかるかも知れない。ただし、知価ブランド創出のためのベンチャー企業へのヒントとして選び出されたにしては、企業体の歴史が長いものが多く、製造工程を無視して販売戦略のみに焦点を当てている嫌いがある。

エルメスとヴィトンとの経営比較や販売戦略について分かりやすくまとめられている点は、お勧め。ヴィトンの売上げ3割強を占める日本で平坦な中流意識が蔓延している点を指摘し、ヴィトン製のバッグのうち比較的量産タイプの廉価版を大量に販売するといったヴィトンの戦略と日本人消費者のブランド感覚を浮き彫りにしている点は、一考に値する。また、ヴィトンの模造品が普及することによって、ヴィトン製品のデザインがコロコロ変わったために売上げが伸びたという報告も、本物と偽物との関係を考えたり本元とは何かを考え直したりする上で参考になろう。

目次

第一部 ブランドヘの道
  • 日本経済大変身─知価革命は進む(二軸両極化現象、廉価高品質を造る知恵、高価なブランドを創る知恵、「日本」は変わった、ブランド一つで値段は十倍)
  • 「ブランド」とは何か(ブランドの発生、高級ブランドを支える実質、ブランドの三つの種類)
  • 伝統ブランドの実例虎屋と吉兆(虎屋─和菓子の超老舗、吉兆─「世界の名物」日本料理、伝統ブランドを守る難しさ、「ブランド」 の起源としての茶道、伝統ブランドの誇りと苦悩)
  • 新しい「伝統ブランド」(伝統が「創られる」、「銀座ブランド」の誕生、和光─「銀座」とともに生きる、宝塚歌劇団─「ブランド」になった興行、常識破りのコンセプト─「ええしの芸能人」、徹底した自前主義)
  • 大量生産ブランド─近代工業社会の産物(コルト拳銃からフォード自動車へ、ヒルトンの天才─サービス業の大量生産ブランド、大量生産ブランドは意志決定コストを引き下げる、安さより値ごろ感、意志決定コストがマイナスになると、意図的に創られるブランド、大量生産ブランドの三要素、ブランドの価値と寿命、ブランドのコスト)
  • 企業ブランドの誕生(「ブランド」は「浪費づくり」か、製品ブランドと企業ブランド、日本の「財閥系列」は最高の企業ブランド、ソニー・松下・日立の企業ブランド、ブランドで崩壊した雪印)
  • 知価ブランドの出現(近代工業社会を超越した時代、、桁違いの高値、知価ブランド・エルメスの歩み、大量普及と高級感の両立するルイ・ヴイトン、「イメージ」からの展開
  • サービス業に拡がる知価ブランド、サービス業の知価ブランドを築いたディズニー、テーマパークは「ウソらしきウソ」、テーマホテルからテーマカフェまで、空想とおとぎ話
  • 巨大ブランドとなったオリンピック、続々と登場するスポーツブランド)
  • 「ブランド」という資産(「知恵」を売買する時代、知恵の集約と保険効果、ディズニーを巡る巨大買収劇、天才と偶然と社会観察の方程式)

第二部 ビジネスリーダーたちの言葉
  • 伝統を革新しつづける老舗─虎屋(創業四百八十年の重み、伝統を守ることが革新、虎屋の経営コンセプト、老舗の新戦略、普段遣いのブランド)
  • 「もてなしの心」を伝えつづける志─吉兆、老舗料亭のブランド確立、三代目君主人のブランド戦略、もてなすということ、ブランドカに甘えず、伝統を受け継ぐこと)
  • 銀座は「舞台」─和光(孤高の価値観、厳選の基準、見せる、見せられる和光という舞台、店員の教育はお客様から、伝統と新しさ、銀座と和光)
  • 日本オリジナルの「夢」づくり─宝塚歌劇団(宝塚とは、宝塚のブランド力、宝塚の独自性という強さ、宝塚流経営方針、進みつづけるブランド)
  • 多様性を求める「家業」─エルメスジャボン(伝統ある歴史、ブランドの出発点はコンセプト、エルメスと日本、売り上げに見る経営方針、エルメスの経営スタイル、日本での新ブランドの可能性)

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