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衣服で読み直す日本史 - 男装と王権



本書の概要・感想

男装、王権武田佐知子『衣服で読み直す日本史 - 男装と王権』朝日新聞社、1998年

本書では、『リボンの騎士』や『ベルサイユのばら』などの少女向け漫画に異性装が多いことに問題関心をもち、近世までの日本列島における男装や女装が、中国やヨーロッパ諸国に比べて比較的許容されるものであり続けた要因や構造を描いている。例えば、歌舞伎だけに留まらず、『ヴェルサイユのばら』をはじめとする宝塚歌劇団の流行などが題材にとられている。

著者独特の衣服観は、おそらく、衣服による変身が変心になりうること、そして今の自分とは違った存在になれる可能性が衣服に備わっている点を明瞭に指摘した点にあろう。それが、とりわけ20世紀の日本では、女性の行動様式に対する抑圧からの開放・解放材料として少女漫画に傑出したのだ、と筆者は論じる。

本書は、とくに、衣服のもつ存在論的な分析が優れており、性差(ジェンダー)をもたない日本の衣服文化と、王権の手によって性差のある衣服が導入された文化とのせめぎ合いが手に取るように伝わってくる。

「明治天皇の御真影と男性美」では、明治期に天皇と皇后の服装における違いがクローズアップされている。とくに、ヨーロッパ諸国に列する意図として、洋装(明治天皇)において西洋の仲間入りを、同時に、和装(皇后)において日本的なものを認知させる試みが、お雇い画家ゴローニンによって試されたというエピソードが説得的である。

帯より

本書は、見ただけでわかる人間相互の標識、衣服から日本の歴史を読み解く。

卑弥呼が着た服とはどんなものだったのか? 女と男が入れ替わる物語はなぜ成り立つか? 見ただけでわかる人間相互の標識、衣服から日本の歴史を読み解く。


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