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おしゃれの社会史



本書の概要・感想

おしゃれの社会史北山晴一『おしゃれの社会史』朝日新聞社、1991年

ファッション、ブランド、モードの発祥地として考えられやすいフランスの首都パリについて、19世紀を中心に、衣服の消費社会が登場する経緯とシステムを分かりやすく書いた著書。

19世紀、ないしは20世紀も最初の14年間におけるパリの威光を認めつつも、著者は、その要因を丁寧に3点、指摘している。

  • フランス革命とナポレオンが推進した中央集権的政治・社会制度
  • それに伴なうフランス人の中央志向的(パリ中心的)メンタリティの発達
  • 上記のような政治的、社会的、心情的パリ中心主義を支える鉄道網(パリを放射線状に延びる)の発達

さて、フランス革命以前は、法規制のもとで、衣服を作る者、売る者、着る者の三者には明確な区別があった。とくに、作る者と売る者には、各業種ごとに厳しい区分が敷かれており、仕立屋が裏地や飾り物作成の分野に手を伸ばしてはいけない等、他業種への関与や逸脱が禁じられていたのである。自分で作った物以外を売ってはならない、という規制によって、衣料素材を売る業者と、素材に加工を施す業者とも明瞭に区別されていた。つまり、買い手としては非常に面倒なことになっていたのである。

フランス革命を経て、1791年の法令によって、商工分離が解消されると、生地業者と仕立業者(衣服加工業者)との敷居が取り払われた。また93年には旧制度下の衣服令そのものが否認された。こうして、自由・平等・博愛というフランス革命の3つの理念のうち「自由」だけは実現したことになるが、著者は、国民皆制服の提案が否決された革命政府の状況に触れつつ、「平等」については疑問を呈している。

衣服が自由になったということとシンクロして、最低の生活条件や身体の保護、そして清潔感というモデルが登場した。その基盤となった都市インフラから本書は掘り起こされ、第一章には「汚物都市パリ」として、メルシエや、20世紀前半にパリへ行った大杉栄のエッセイなどを引きながら、紙面を割いている。なお、傘やヒールの靴がヨーロッパで作られたのも、家から道路上に落とされる人糞を避けるためであったとの話もよく聞く。

帯から

清潔・身だしなみと社会倫理の結びつきは?フランス革命は衣生活に何をもたらしたか?デパートの発展は「衣」をいかに変えたか?文化的序列とモードの関わりは?欠乏から必要の充足へ、さらに快適さを求め贅沢へ向かう道すじ。エレガンスの生理学。


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