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世界の民俗衣装 - 装い方の知恵をさぐる



本書の概要・感想

田中千代,世界,民俗衣装,装い方田中千代『世界の民俗衣装 - 装い方の知恵をさぐる』平凡社、1985年

著者自身が単独で世界各地を歩き回って集めた衣装を紹介。

衣服は、人間が裁断や縫製をして、作り上げたものであり、着用とは衣服に身体が入ることだという基本的な発想にもとづいて、「まく(巻く)」「あな(穴)」「わ(輪・環)」「はく(穿く)」という4種類の着用法ごとに着方・歴史・平面図などを掲載し、それぞれの代表的な民俗衣装を図版で紹介している(カラー図版、白黒図版ともに多数)。

掲載する図版は、裁断・縫製され刺繍が施された民俗衣装とは別に、衣装の原点ともいえる一枚布から取り上げ、ファッションの原点を忘れない筆者の態度が、読者にも優しい民俗衣装紹介となっている。

なお、民俗衣装という用語は、柳田国男の指摘をもとに、民族衣装とせず、戦争による被征服民族が従来の衣料を手放しにくかった点を重視し、民俗衣装用語を採用した経緯も触れられている。

著者の民俗衣装コレクションは、1930年代に鐘淵紡績(現カネボウ)社長を務めていた津田信吾の傲慢な「世界中の人に鐘紡製の布を着せたい」という欲望をきっかけに、大東亜共栄圏研修の仕事でジャワに派遣されたのが本格的なスタートだったようだが、戦争によって民俗は民族となり、逆に、日本製衣料の方も民俗衣料に過ぎないという認識は、津田らカネボウ側には毛頭なく、派遣された側の田中の方が痛感したことであろう。

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