パリ - モダニティの首都
本書の概要・感想
デヴィッド・ハーヴェイ『パリ - モダニティの首都』大城直樹・遠城明雄訳、青土社、2006年
ハーヴェイはアメリカのマルクス主義経済地理学の筆頭。本書は、近代を産みだし断絶の神話を作ったとされるパリ・コミューンを中心に、断絶がどのような連続のなかで実現したかを、経済・社会・地理・都市計画・文学・芸術という種々の食材を利用して検証した力作である。
例えば、パリの中心部の破壊について、169ページにそれを象徴する写真(図46)を掲げる一方で、175ページのグラフ(図48)では、19世紀中葉のパリにおける新しい建築物から不動産税基盤が上昇したデータと破壊による損失を計上したデータをグラフ化している。当時ダゲールに代表される写真技術の台頭という背景の元で、写真(や絵画)と統計データを共存させた本という点、人文科学と社会科学の融合という意味で、夢のような本といえば大げさか・・・。
もっとも、著者は経済地理学者である点、文学を論じる手法に荒さが目立つという指摘もあろうが、パリを当然フランスの首都とせずに、近代の首都として捉えた観点に評価を出したいところ。当然、ヴァルター・ベンヤミンの「パリ - 19世紀の首都」という論文を念頭に置いているのは言うまでも無かろう。
それにしても、図46、破壊と掘っ立て小屋の共存、今の上海とかなりかぶっている。
