ブランドビジネス
本書の概要・感想
ライセンスブランドが日本の服飾文化の慣習や国内ブランドの育成をダメにしたという手厳しい日本ファッション界の戦後ビジネス論。
格好の失敗例(と同時に一時的な大成功例ともいえる)がピエール・カルダン。かつては日本のトイレにまでロゴが溢れたカルダン社の栄光と失墜は有名な話だが、他にも、ディオール+カネボウ等々、日本のアパレルメーカーや百貨店がフランス頼み・トップブランド頼みの商売で大赤字を弾き出した経緯が実に詳しい。
ブランド側への批判も手厳しい本書では、ヴィトンは既にトップ・ブランドではなく、カジュアル・ブランドと位置づけられている。大胆だが、素直な的を射た発想である。
「モードの世紀」のブランド辞典も、「ルイ・ヴィトン」に関しては、それを参考に少し書き換えたが、トップ・ブランドとは、そもそも「歴史」があるからこそ、そのようにいえる面もある。したがって、ルイ・ヴィトンというブランドは、ついつい「トップ」と思いがちだが、誰もが持っているブランドだからこそカジュアル・ブランドとしかいえない。
実際、街を歩いていても、小学生でさえもっているブランド・バッグがルイ・ヴィトンであることはよく分かるし、そのバッグを持ち歩きながら、寝起きの汚らしい茶髪の頭にスニーカー、そしてブヨブヨのジーンズにトレーナーというオバサマたちに出合うには、数歩歩くだけで十分だ。
本書のキーワード
サイト内関連ページ
- (1)ブランド前史:デザイナーとその顧客 (ファッションの歴史)
- (5)ブランドの変貌:プレタ・ポルテの登場 (ファッションの歴史)
- (4)ブランド帝国の成立:デザイナーと市場 (ファッションの歴史)
- ライセンス:licence (ファッション用語集)
- ルイ・ヴィトン:Louis Vuitton (ブランド辞典)
- クリスチャン・ディオール:Christian Dior (ブランド辞典)
- ピエール・カルダン:Pierre Cardin (ブランド辞典)

三田村蕗子『ブランドビジネス』平凡社、2004年