晶子とシャネル
本書の概要・感想
≪私≫一個の表現を生き抜いた魂の姉妹。
日本とフランスに前例のなかった女性のライフスタイルを作り出した女性、与謝野晶子とガブリエル・シャネルの2名に焦点を当て、詩とファッションだけでなく、恋や仕事を中心にした生き方にまで迫った力作。
「はたらく女」という用語がキーワードの一つになっており、労働が女性解放に必要なものだったと山田は指摘している。男性に寄生する女性を晶子とシャネルは相手にしなかったのである。シャネルが恋多き女性だったということはよく知られているが、結婚ということに関しては相応の男性が存在しなかったという。20世紀初頭の二人の生き方は、1世紀近くを経た現在でも示唆的な事例となっている。
どこでも見かける・必ず私たちが持っているファッション・アイテムを思いだそう。手が入るポケット、金のボタン、セーター、カーディガン、ジャージー、ショルダーバッグ。ファッションに限定してシャネルの意義を付け加えておくと、今挙げたような、現在も多用されている実用的なファッション・アイテムは、ほとんど全てシャネルによるものである。
本書では、シャネルが意図せずとも強烈な破壊力で結果的に行った「モード革命」がファッションからライフスタイルにまで及ぼした影響を知ることができる。また、与謝野晶子という同時代人を重ね合わせることによって、心を飾る詩、身体を飾る衣服、双方が女性のためのものとなった「革命」をより一層楽しめる内容となっている。

山田登世子『晶子とシャネル』勁草書房、2006年