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ココ・シャネル-悲劇の愛



本書の概要・感想

ソフィ・トゥルバック『ココ・シャネル-悲劇の愛』松本百合子訳、集英社、1998年

帽子デザイナーとして出発し、20世紀モード界の女王とよばれるガブリエル・シャネル。ジャージー素材の利用にはじまり、ツイード・スーツやパンタロンなど、規範に囚われない発想とデザインに比類なき評価が下されてきたのは、強調するまでもない。

彼女のプライベートに関する書物は、伝記をはじめ数多いが、本書は、私生活まで含めたシャネルの歩みを小説という形で描いている。特に本書は、彼女が生涯愛し続けたといわれるイギリス人アーサー・カペルとの恋愛、出会いから別れまでに焦点を当てている。

とはいえ、小説でのカペルの登場はほど遠く遅いのは、なぜか?シャネルは、カペルについて「生涯で一度しか愛さなかった。あたしのために創造されたような男」と言っており、シャネル自身、カペルとの出会いを自身にマッチしたものだと判断していた。つまり、カペルがこの小説で非常に遅く登場するのは、二人の出会いがどのようにマッチするのかを必然性で解き明かそうとしたからだ。

実際、カペルが没した直後、シャネルは「カペル失ったあたしは何もかも失った」とも述べている。放縦、激情、冷徹など、好き勝手に評されることの多いシャネルだが、恋にあっては、脆く繊細な感情も持ち合わせている点も描かれており、女性としてのシャネルを扱った小説、いいかえればシャネルの登場する恋愛小説として、本書は成功しているだろう。サブタイトルは「悲劇の愛」であって、本書は、恋多き女性と言われ続けているシャネルの、恋ではなく愛の記録となっている。


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