ファッションデザイナー-ココ・シャネル
本書の概要・感想
実川元子『ファッションデザイナー-ココ・シャネル』こんな生き方がしたいシリーズ、理論社、2000年
筆者の実川元子は、54年生まれのライター、翻訳家。アパレルメーカー、繊維業界の団体で12年間広報を担当した後に独立。ファッション、恋愛、映画に関する著書、訳書が多い。
有名企業や商標・ロゴにおいて全て言えることだが、ブランドとしてのシャネルの知名度に比べ、創始者ガブリエル・シャネルについて知っている人は少ない。伝記である本書は、シャネルの伝記によくあるプライベートな恋愛を強調するよりも、むしろ、彼女自身がデザイナーとして成功する過程を追っている。筆者が強調するのは、20世紀初頭、19世紀の影響下にあった、男性から見た女性像というモードを女性から見た女性像、私から見た私像をシャネルが提出したことにある。
シャネルは、コレクションの準備期間中、ホテル・リッツの一室で急死したが、没する直前まで働いていたというエネルギーも、その作品群に劣らず、シャネルの人気の理由となっている。そして、女性自身が喜ぶ服を作ったこと、それまでの抑圧された女性ファッションを解放したことは、女性自身の気分をも自由なものとした。
本書は、シャネルを通じて、ファッション・デザイナーたちが、服を着る人の人生を演出するプロデューサーとして、どれほどダイナミックな仕事をしているかを教えてくれる。なお、本書は、中学生・高校生にも読めるような文体を心がけており、女性が元気になるような配慮が十二分に為されている。
巻末では、基本的なシャネルの伝記をいくつも押さえた参考文献、3ページの簡単な「ココ・シャネルプロフィール」、ファッション・デザイナーを実際に目指すための心構えや業界の簡単な紹介などをまとめた「ファッションデザイナーになりたいあなたへ」が付されていて便利。
