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ものと人間の文化史 - 木綿口伝(第2版)



本書の概要・感想

福井貞子『木綿口伝(第2版)』法政大学出版局、2000年

山陰地方の綿織物と機織り女性の生活に関する詳細な記録。木綿の継ぎ接ぎは、裂織りに再生され、着捨てのボロ布は、廃品回収業者の手に渡った。筆者は年々少なくなっていく縞や絣の断布を丹念に収集している。本書では、筆者の精力的な収集による、様々な綿布の柄を楽しむことができる。また、詳細な聞き書きをつうじて、本書では、女性の生活に焦点を当て、綿布が経てきた歴史を明らかにしている。

古来から、織物は献上布であった。親方小方関係の隷属的な家内労働として、田舎の女性たちは従事した。しかし、機織りは現金収入の唯一の道であり、簡単に抜け出すわけにはいかなかったのである。しかし、女性たちは、機織り労働を悲惨という印象だけで捉えていたのではない。寄せ集めの屑糸で、愛する人への贈り物を作ったり、嫁入り荷物にしたりしたのだ。また、織物は、娘への財産分与であり、親の形見として重視された。

このように親子代々引き継がれてゆく織物文化について、本書では、織物の技法や木綿口伝を拾い集め、木綿や機を通じて受け継がれた生活文化を活かし、明治・大正期の女性が、どれほど勤勉に生きてきたかを探っている。


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