ものと人間の文化史 - 絣
本書の概要・感想
福井貞子『絣』法政大学出版局、2002年
40年間にわたり、西日本の絣産地で、老女たちに聞き取り調査をした絣の文化史。筆者が手織りを初めて学んだ昭和30年代には、明治時代から愛用している高機(たかはた)で手織りを楽しむという老女たちも結構いたようだ。
西日本の絣の名産地といえば、九州・四国・山陽・山陰と幅広く存在している。筆者は、これらの地方で数回にわたる現地調査を行ない、工業試験場や工場経営者と後継者、紺屋と古老、元女子従業員の技術保持者たちから、絣の見本帳や縞帳を見せてもらったそうだ。その上で、関連する記録をも実地調査し、無名の技術者たちの意見も採録し、日常生活も記録した成果が本書。
このような調査をもとに、本書では、絣文様の分類をはじめ、単なる報告書ではありえない、絣の移り変わりと特徴が詳細にまとめられている。絣の体系的研究、文様史などにも充分利用可能な濃度を持っている。1973年に出版された『図説 日本の絣文化史』(京都書院)に、その後の調査研究の成果を加え、増補・改訂したもの。
