更紗とプリントドレス展

更紗とプリントドレス展/神戸ファッション美術館
更紗とプリントドレス展/神戸ファッション美術館

(以下の記事は2006年に書いたものを再構成しました。)

更紗とプリントドレス展/神戸ファッション美術館

[開催期間] 2006年10月21日(土)~2007年1月16日(火) ※ベーシック展示「服飾ガイド2006」は通年開催です。
[開館時間] 10:00~18:00(入館は17:30まで)
[ 休館日 ]水曜日 (祝祭日の場合は開館、翌日休) 、年末年始(12/29~1/3)

インドを発端に、主にアジアで広まってきた染色技術とデザインである更紗と、ヨーロッパで普及した大量生産向けのプリントとを並列的に展示しており、アジアからヨーロッパへのデザイン技術、意匠の影響をはっきりと確認することができる。

19世紀の貴族が着ていたドレスにポケットはなく、また、20世紀のブランド・デザイナーたちがデザインしたドレスにもポケットはなく、スーツにポケットがあるのはなぜか? このような問いを考えながら見ていくのも楽しい。そもそも、19世紀までの貴族は実用性からかけ離れた衣服を身につけることで、自分の権威を誇示したのであり、この点は服飾史の大事なポイント。

20世紀になると、そのような非合理性は否定されるまではいかなくとも、さして重視されるようなものではなくなり、スーツのような便利さを加味された衣服は、その登場とともにポケットが付けられていた。今でいうような軽装が重視されるようになったのは、ジーンズやTシャツなど、アメリカ合衆国産の様々なカジュアル・ウェアによるところが大きいが、20世紀初頭ではガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)がマニッシュ・ルック風の活動的なデザインをアピールした点も忘れてはならない。

更紗とプリントドレス展/神戸ファッション美術館
苗族女性盛装用衣装(20世紀中期/中国)。中袖、膝丈でツー・ピース。グレーと黒だけの幾何学模様。立襟で引き締まる。/更紗とプリントドレス展/神戸ファッション美術館
更紗とプリントドレス展/神戸ファッション美術館
柔らかい緑を幾層にも重ねたイブニング・ドレス(エミリオ・プッチ)/更紗とプリントドレス展/神戸ファッション美術館

20世紀のデザイナーたちの作品では、エミリオ・プッチ(Emilio Pucci)の開放感溢れる柄とラフなデザインのビーチ・ドレスと、柔らかい緑を幾層にも重ねたイブニング・ドレスが気に入った。また、「苗族女性盛装用衣装」(20世紀中期/中国)は、中袖、膝丈のツー・ピース。グレーと黒だけの幾何学模様だが、立襟で引き締まった感じがして、こちらもお気に入り(袖には、一部、赤・黄・緑の正方形の柄がまぶしてあるが)。

神戸ファッション美術館は、常設展示の入り口がナポレオンの戴冠式から始まっており、ペチコート(petticoat)、クリノリン(crinoline)など、19世紀までのフランス貴族女性の服装も充分に楽しめる。とくに、マリー・アントワネット( Marie Antoinette)やポンパドゥール(Madame de Pompadour)たちの衣服の形態や、貴族たちの衣服の変遷も辿ることができ、ドレスの歴史として展示を楽しむことができるが、今回は、アジアの更紗とヨーロッパのプリントドレスとを合わせた形で、相互交流の活気が伝わってきた。

パンフレットより

インド更紗、ジャワ更紗、ペルシャ更紗、ヨーロッパ更紗・・・

「さらさ」という、異国情緒漂う美しい響きをもったインド起源の舶載(はくさい)の模様布は、何百年の長きに渡り日本人を魅了し続けています。更紗の技法には、木版、銅版、型紙などを使った捺染(なっせん)、ロウや糊(のり)などを使用した手描きの防染(ぼうせん)、さらにその模様布の上に金箔(きんぱく)や金泥(きんでい)で装飾した印金(いんきん)などがあります。

一方、プリントとは、布に柄を捺染する染色技法全般のことをいいます。技法的にはほぼ更紗と同じですが、ヨーロッパの産業革命後の大量生産を目指して製造されたため、銅版ローラープリント、シルクスクリーン、インクジェットプリントなど新しい技術が次々と実用化され、現在最も広く用いられている染色技法といえます。

本展では、世界中の伝統的な更紗から、マリアノ・フォルチュニィ(Mariano Fortuny)、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)、エミリオ・プッチ、ルディ・ガーンライヒ(Rudi Gernreich)など20世紀を代表するデザイナーのドレス、日本独自の友禅(ゆうぜん)、筒描(つつがき)、紅型(びんがた)、型染銘仙(めいせん)の着物などを一堂に展示いたします。


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[投稿日]2006/12/30
[更新日]2017/05/29