近代日本の身装文化

近代日本の身装文化 は、身装(身体と装い)の観点から近代化を捉えたもの。近代、洋服化と和服化が進行する中で、身体という客観と装いという主観は交錯しました。本書は当時の衣服構造と裁縫技術を踏まえ、現代に残る膨大な資料(絵画・写真等の画像資料、新聞・雑誌・小説等の文献資料)を細かく分析し、身装の展開を丁寧に説明しています。

高橋晴子『近代日本の身装文化―「身体と装い」の文化変容』三元社、2005年

従来の衣服史・ファッション史に関する本には「服飾や服装の歴史を述べた本なのに、なぜ服が出てこないのか、丁寧に説明されないのか」という根本的な問題が孕まれています。しかし、本書は衣服本体や裁縫技術の歴史性と本質性が述べられ、時間や場所によって異なる流行や仕草が捉えられています。「物」と「事柄」と「技術」を知り尽くした上での歴史が本書では描かれています。そのため、説得性は類似本の中で断トツで、本当の意味での世界衣服史ともなりえます。本書には姉妹編というべき『年表 近代日本の身装文化』があります。これは、身装の実態を成立させた物的環境や社会的環境の推移にも視野を配り、広域な周縁資料を用いた独特な年表となっています。

本書は類似図書の中で最も深く服装史と社会史に言及した本です。衣服、服飾、服装、ファッションの歴史に関する本を勉強する場合、徒労で終わらせないために、まず本書を読み始めることを強くお勧めします。もっと早く知っていれば良かったと後悔しています。

高橋晴子『近代日本の身装文化―「身体と装い」の文化変容』三元社、2005年


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[投稿日]2017/01/09
[更新日]2017/05/29