デニム・バイブル

デニム・バイブル は、デニム・パンツ(ジーンズ)の歴史を色とりどりにたどった本です。アメリカのデニムはリーバイス(Levi’s / Levi Strauss)と思いがちですが、本書はリー(Lee)やエロッサーハイネマン(Eloesser Heynemann)等、他社デニム・メーカーも忘れていません。リヴェット等のデニムの細部にこだわった記事から掘り起こし、肉体労働者向け衣料品から始まったデニムの歴史を現代にまで展開。時代ごとに章立てされていて、大半はデニムの写真や着用者の写真で埋められています。章冒頭の時代背景と無数の写真に簡潔な説明があります。

グラハム・マーシュ、ジューン・マーシュ、ポール・トリンカ『デニム・バイブル』 田中敦子訳、 スペースシャワーネットワーク、2006年

デニム・バイブル の面白い所

当然、デニムまたはジーンズは衣料品となる前に生地の段階がある訳ですが、これを次のような展開で述べているので、デニムの世界が広がりそうでワクワクします。

デニムという言葉は、今日では広く知られているが、かつてはもっぱらアメリカの工場内で使われるだけだった。リーヴァイスが使ったデニム生地は、当初はニューハンプシャー州にあるアモスケイグの巨大工場で製造されていた。だが、1915年以降、リーヴァイ・ストラウス社はノースキャロライナ州のコーンミルズ社からデニムを仕入れるようになる。現在でもコーンミルズ社は世界有数のデニムメーカーである(22頁)。※コーンミルズ社(Cone Mills Corporation)

次の写真はエロッサー・ハイネマン社の「キャント・バステム」(CAN’T BUST’EM)商標の詳細です。銅製リベットではなくバータックでポケットを補強しているのを強調しています。

エロッサー・ハイネマン社の商標「キャントバステム」パンフレット(1919年)
エロッサー・ハイネマン社の商標「キャント・バステム」(CAN’T BUST’EM)パンフレット/1919年(グラハム・マーシュ、ジューン・マーシュ、ポール・トリンカ『デニム・バイブル』 田中敦子訳、 スペースシャワーネットワーク、2006年、43頁)

この手の本は《文化史》で終わりがちですが、本書にはデニム生地の製造工場とデニム・パンツの製造工場の写真と説明があって(23頁、27頁・42頁)、アメリカの大量消費社会を支えた大量生産工場の具体的なイメージも掴めます。次の写真はエロッサー・ハイネマン社のキャントバステム製造工場の様子です。ミシンと縫製工と縫糸がずらりと並んでいます。足踏式ミシンか、それに電動モーターを付けたミシンかが写真では分かりません。奥にはミシン加工を待つ半製品(裁断済みデニム)がドッサリと積まれています。

デニム・バイブル エロッサー・ハイネマン社キャントバステム製造工場
エロッサー・ハイネマン社キャントバステム製造工場(グラハム・マーシュ、ジューン・マーシュ、ポール・トリンカ『デニム・バイブル』 田中敦子訳、 スペースシャワーネットワーク、2006年、42頁)

本書はデニムを身に付けた有名人たちの写真もたくさん載せられています。その中で惚れた写真が次のマドンナです。2000年9月に発売されたアルバム『ミュージック』用の宣伝写真で、この撮影にマドンナはドルチェ&ガッバーナのカウボーイ衣装を選びました。

マドンナ(ドルチェ&ガッバーナ衣装、ジャン・バプティスト・モンディーノ撮影)。2000年9月発売アルバム『ミュージック』用宣伝写真。Madonna with Denim Cowboy’s Style, Designed by Dolce & Gabbana, Photographed by MONDINO, Jean-Baptiste. “On September 19 2000, Madonna’s eighth studio album Music was released by Maverick Records.  Music was released in some markets on September 18.” via Today in Madonna History: September 19, 2000 | Today In Madonna History and グラハム・マーシュ、ジューン・マーシュ、ポール・トリンカ『デニム・バイブル』 田中敦子訳、 スペースシャワーネットワーク、2006年、176・177頁

グラハム・マーシュ、ジューン・マーシュ、ポール・トリンカ『デニム・バイブル』 田中敦子訳、 スペースシャワーネットワーク、2006年


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[投稿日]2017/02/24
[更新日]2017/05/18