かぶりもの・きもの・はきもの

宮本馨太郎『かぶりもの・きもの・はきもの』岩崎美術社,1968年

本書は、著者の父・宮本勢助の影響から、日本の服物・服装の種類と変遷と系統について書かれた本です。父勢助の研究法である文献史料、民俗調査、服物収集を踏襲して書かれているので、概ね民俗学的な衣服史となっています。本書の構成は2部構成で、前半に「服装の種類と変遷」、後半に「服物の種類と変遷」に分かれています。といっても、前半は約50頁、後半は170頁ほどを割いているので、中心は後半にあります。

「服装の種類と変遷」では「服装の概念」がまず述べられ、時代別の服装史として「服装の変遷」、TPOの服装習慣として「服装の種類」が展開されています。後半の「服物の種類と変遷」では、「服物の着装」で、服物の説明と着用状況が説明されます。次いで「服物の種類」が本書の醍醐味で、被物、外套、着物、襷(たすき)、腕貫(うでぬき)、手甲と手袋、袴と股引、褌、腰巻、脛巾と脚絆(はばきときゃはん)、履物、扇と傘、以上に細分化されて、前近代の衣装が詳しく説明されます。

絵図資料がほとんどありませんが本文の説明は分かりやすいです。近年、民俗学上の服飾史関係で写真集がたまに出版されていて視覚的に理解しやすくなっているので、本書のような文献中心の本は分かりにくいかもしれません。しかし、衣服史の写真集はあくまでも視覚的に分かった気がするように成るだけで、説明が丁寧で分かりやすいとは限りません。その点を含めて、本書が古典をも参照し、現物と向き合って説明している説得力は、写真に撮って付けたような説明を付する最近の民俗学資料に比べて、深みがあることは明らかです。理想的な勉強の仕方は、この本を据えておいて、近年の写真集の理解を深めるというやり方です。特に日本の衣装史に関する刊行物は年々ダメになっていますし(中身が無くなっている)、色んな服や呼称を取り上げた本書は衣料品と名称のズレにも目配りをしているので、柳田国男まで遡るのは大変だという方にはもってこいの良書だと思います。

宮本馨太郎『かぶりもの・きもの・はきもの』岩崎美術社,1968年


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[投稿日]2017/03/05
[更新日]2017/05/24