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モードの物語:パリ・ブランドはいかにして創られたか

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「モードの物語」はオート・クチュール業界やプレタ・ポルテ業界の動向からパリの衣料品ブランドが確立されていった点を詳しく説明した本です。
言い換えますと、「ファッションビジネスにおける冒険と挫折、創造と発展の物語」(7頁)で、そのため、各企業やその創業者(兼設計師)も含めた経営面の話が中心になっています。原書名はHistoires de la Mode(流行の歴史)。巻末に関連年表、索引。
Amazon.co.jp: モードの物語 パリ・ブランドはいかにして創られたか : ディディエ・グランバック, 古賀 令子, 井伊 あかり: 本
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著者経歴

著者のディディエ・グランバック(Didier Grumbach)はフランスの実業家で、1937年に既製服製造会社C.マンデス社の創業者の孫としてパリに生まれました。同社、イヴ・サンローラン社などの主要企業、関連組織、研究機関、諸組合の要職を歴任しています。
たとえば、1998年からMode à Paris(Fédération Française de la Couture du Prêt-à-Porter des Couturiers et des Créateurs de Mode/フランス・クチュールおよびクチュリエとモードのクレアトゥールのプレタポルテ連盟)会長を務め、その一部門Fédération française de la couture(オートクチュール組合会)会長やIFM(フランス・モード学院)の主席教授も務めました。
2014年12月からMusée national d’Art moderne(MNAM/フランス国立近代美術館)館長を務めています。このような経歴を踏まえて、本書は著者の個人的な記憶に基づいて書かれていますが、内容に客観性を持たせるために当事者の証言も数多く集めています。
なお、他の経歴も含めた詳細な情報は、以下の報告書に日本語で紹介されています(独立行政法人中小企業基盤整備機構「「繊維・ファッション産業欧州事情調査」報告書」(2007年2月28日)第3部「企業支援・人材支援状況について」第1章「フランスにおける関連団体・組織とその活動」16頁)。

本書の醍醐味

本書の醍醐味は、普段聞くことの少ない、オート・クチュール業界やプレタ・ポルテ業界の経営史に詳しい点です。著者はその歴史の画期として3つの画期を挙げます。

  1. 1910年 : 注文服と既製服の業界・組合が分離し、競合的になった
  2. 1943年 : ヴィシー政権下で流行産業の呼称が法制化された(クチュール、オート・クチュール、クチュリエなど)
  3. 1973年 : 分離していた業界・組合・部門がMode à Parisに統合された
オート・クチュール(注文仕立服)は衣料品の民衆化によって経営に破綻をきたし、その後プレタ・ポルテ(既製服)その他の部門への進出によって企業体として存続してきました。従来の先入観では、モードといえばパリ、パリといえばオート・クチュール、オート・クチュールといえばサンディカ(Chambre Syndicale de la Haute Couture)という連想が出てきますが、本書を読めばそれが流行史・衣服史・衣装史の非常に限られた側面しか示さないことがよく分かります。
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アンドレ・クレージュに関する叙述

第1部2章「クチュールの新しい収入源」でアンドレ・クレージュ(127~133頁)が取り上げられています。クリストバル・バレンシアガの下で仕事をするまでの経緯、仕事期間中のバレンシアガとの確執、また独立後の経営展開とその危機、といったように詳細に述べられています。
本書の特徴は写真のほとんどが設計師(デザイナー)の作品では無く、彼ら・彼女らの仕事の風景を掲載した点にあります。クレージュの項目の場合、「クレージュの1965年のコレクション」として1つの作品が掲載されていますが、他はすべて工場や仕事風景の写真ばかりです。これは貴重です。

ポーにあるクレージュのアトリエの様子

ポーにあるクレージュのアトリエの様子 (c) Courreges / DR, ディディエ・グランバック『モードの物語―パリ・ブランドはいかにして創られたか―』古賀令子監修、井伊あかり訳、文化出版局、2013年、130頁


130頁には3点の貴重な写真が載っています。まず、女優Romy Schneider(ロミー・シュナイダー)の仮縫いをしているアンドレ・クレージュと妻コクリーヌの写真(1969年頃)、次いで、72年完成のフランス・ポーの製造工場、当時600人の従業者がいたそうです。最後に、ポーにあるアトリエの様子。手前と奥の部屋にはアンドレを含め約15人の従業者、手前の部屋には、作業台3つ・アイロン台1つ・ミシン台1つ、2台のトルソー、ミシン1つにアイロン2つ。
作業の手元を明るくさせる吊るし電灯が10個以上。奥の部屋には巻かれた布地が数本束ねられています。非常に活気が溢れています(下図)。本書はアンドレは仮縫いの手間にうんざりし、既製服への抵抗を持たなかった点もよく調べられています。たとえば衣服概念を変えるスウェーデン既製服の成果を述べたルネ・アンリの講演にアンドレが参加したこと、既製服業者サミー・エ・モーリス・ヴァンベルグのブールジュ工場を見学したこと、以上です。

一目惚れ

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いろんなファッション歴史の本を読んで何も学べなかった残念なファッション歴史家。パンチのあるファッションの世界史をまとめようと思いながら早20年。2018年問題で仕事が激減したいま、どなたでもモチベーションや頑張るきっかけをください。

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