服飾の歴史をたどる世界地図

服飾の歴史をたどる世界地図 は、14項目に分けて衣装のアイテムや事柄ごとに略史を説明した本です。随所に簡単なイラストが入っているので、読んでも眺めても楽しめます。

辻原康夫『服飾の歴史をたどる世界地図―現在のスタイルになった、意外なルーツと変遷とは?―』河出書房新社、2003年

衣食住の内、衣は最も無駄が多いものと筆者は言います。時には苦痛や不自由に耐えることを強いられます。それでも人々が服飾(衣)を愛用してきたことには理由があり、筆者は、服飾が他人に見せると同時に他人から見られる双方向文化だからだと述べています。そして奇妙奇天烈な衣装や事柄を取り上げて、納得のいく説明をしています。たとえば、ネクタイの起源を紀元前1世紀の古代ローマまで遡り、防寒具として使われていたことを述べます。

そして、世界地図で各地の衣装やモードを比較することで、地理的な観点から服飾の歴史を捉えています。本書を読めば、着物とチマ・チョゴリの関係や、チャイナドレスがアオザイに与えた影響、ファッション先進地としてのオリエント地方、スカート文化圏とズボン文化圏の分布などの興味深い話が活き活きと伝わってきます。

服飾の歴史をたどる世界地図
辻原康夫『服飾の歴史をたどる世界地図―現在のスタイルになった、意外なルーツと変遷とは?―』河出書房新社、2003年、84・85頁。

筆者はノンフィクションライター、地誌研究家、観光民俗学などの経歴をもちます。その分、服飾に関しては厳密な専門性に欠けるかもしれませんが、歴史と現在を捉えた説明は非常に分かりやすいです。

服飾の歴史をたどる世界地図 目次

本書で取り上げられた14項目は次の通りです。

  1. 序文―意外なルートをたどった服飾文化の壮大な旅路
  2. 上着の歴史―奇妙な形の上着はこうして今日の背広へと進化した
  3. ネクタイの歴史―胸元を彩るネクタイのめまぐるしい変遷とは
  4. ズボンの歴史―フランス革命がもたらしたズボンの大変化
  5. スカートの歴史―女らしさの追求から起きた“膨張スカート”の悲喜劇
  6. 制服の歴史―水兵から子供、学生まで波及したセーラー服の不思議
  7. 民族衣装の歴史―地理、宗教、政治…あの衣装の形を決定づけた要因は何か
  8. 下着の歴史―下着が普及し、ファッションになるまでの長い道のり
  9. コルセット、ブラジャーの歴史―ブラジャーは、拷問具同然のコルセットから誕生した
  10. パンティーの歴史―自由で活発な新時代の女性たちが生んだパンティー
  11. 褌、腰巻の歴史―男専用でなかった褌、武家の女の正装だった腰巻
  12. ナイトウェアの歴史―寝間着の代名詞パジャマはイスラム世界から広がった
  13. アクセサリーの歴史―実用からオシャレへ発展したハンカチ、帽子、かつら…の物語
  14. 化粧の歴史―アイシャドーのルーツははるか古代エジプトにあった
  15. 香水の歴史―ヨーロッパで香水が発達したやむにやまれぬ生活事情とは

辻原康夫『服飾の歴史をたどる世界地図―現在のスタイルになった、意外なルーツと変遷とは?―』河出書房新社、2003年


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[投稿日]2017/02/16
[更新日]2017/05/24